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二章 学校で夜遊び

033 変わった趣味

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 ボローズ王国の移動1日目は、フィリップがダグマーに殺されそうになって終了。翌日の馬車移動では、ダグマーに膝枕されているのにフィリップは機嫌が悪そうだ。

「どうして寝る前に言ってくれないかな~?」
「これだけ嫌がっているのですから、わかってくれていると思っていたからです」
「いや、寝返りで触れる場合もあるよ? その場合は??」
「下手したら死にます」
「ダメじゃん!?」

 ダグマーは根っからの暗部。そんな女が隣に寝ていたら、落ち落ち寝てられない。しかしフィリップは、拗ねたフリしてダグマーの太ももを顔でグリグリしてる。ぜんぜん懲りてないな……
 実はフィリップは、昨日の攻撃も反応できていたからそれほど怖いと思っていないのだ。

「逆に聞きますけど、殿下はどうしてそこまでして私なんかにセクハラして来るのですか?」

 なので、ダグマーも気になっている。命の危険もかえりみずセクハラなんて普通しないもん。

「セクハラじゃなくて、これは好意だよ?」
「好意……」
「だって、ダグマーって綺麗じゃん? そんな女性に好意を持つのは普通でしょ??」

 フィリップの反論は、実はほとんどウソ。暇すぎるのに話し相手がダグマーしかいないから、ずっとちょっかい掛けているのだ。あわよくば、関係を持とうと……

「私が綺麗……」

 でも、ダグマーは照れちゃった。

「うん。綺麗だよ~?」
「そんなこと初めて言われました。私のことを知っている男性は、ほとんど怖がって逃げて行きますし……」
「見る目ないね~。こんなに綺麗なのに」
「殿下は怖くないのですか? こんな血で汚れた女は……」
「ぜんぜん。仕事以外では人殺しなんてしないでしょ?」
「殿下は殺し掛けましたが……」
「僕が初めての男なんだ~。アハハハハ」
「初めてとは言ってません!」

 フィリップが笑うものだから、ダグマーは顔を赤くして怒る。その反応が面白いから、フィリップは笑い続けるのであった。

「変な人ですね……」

 ダグマーは呆れた顔はしているが、フィリップからの好意は悪い気がしないと少し思うのであった。


 それからもフィリップがダグマーにセクハラまがいの話をしていたら、本日の宿泊場所に到着。町の中ではカーテンの隙間から女性を品定めし、ダグマーに止められて、宿屋に着いたらまた兵士に囲まれて部屋に監禁されたフィリップ。
 食事も部屋で済まし、お風呂ではダグマーにフィリップが洗われていたら事件が起こる。

「うっ! ご、ごめん……」

 勢い余って溜まっていたモノが出てしまったのだ。そんなつもりはなかったフィリップだから、恥ずかしそうに謝っている。

「今回だけです。出し切ってください」
「あうっ! もう大丈夫だから~~~」

 その直後は、さすがにフィリップもこちょばい。しかしフィリップが止めても、ダグマーはしばらく洗う手を止めてくれないのであった。


 なんだかんだでスッキリしたフィリップは、ベッドに入るとニヤニヤしながらダグマーが来るのを待っていた。そしてダグマーがベッドに入ると、フィリップはお願いしてみる。

「馬車移動で体がガッチカチなんだよね~。普通のマッサージは、セクハラじゃない?」
「はい。それぐらいでしたら」
「じゃあ、腰を揉んでもらってもいい? あ、指圧は肌に痣が残るから、足で踏んでもらいたいんだけど」
「殿下を踏むのですか……」
「エイラにもいつもやってもらってたの~」
「そうですか。わかりました」

 腐っても第二皇子を踏むなんて、メイドとしては断るほうが賢明かと思ったダグマーも、エイラがやっていたなら「まぁいいか」と立ち上がった。

「これでいいですか? 痛くないですか??」
「うん。もうちょっと体重かけても大丈夫。きっく~~~」

 上半身裸になったフィリップが腰を片足で踏まれて気持ち良さそうな声を出すので、ダグマーも「こんなのがいいんだ」と踏みまくる。そして背中や肩辺りも踏んでもらったフィリップは、上を向いた。

「さっきの要領で肩を踏んでもらいたいだけど」
「こうですか?」
「う~ん……ちょっと違うな。馬車のせいでコリが変になっているのかも? 両肩を踏んでくれる??」
「はあ……」

 ダグマーも変なマッサージとは思ったけど、フィリップの要望通りやると気持ち良さそうな声を出すのでしばらく続けてみる。

「ブッ!」
「痛かったですか?」
「いや、超気持ちいい~」
「では、続けますね」

 フィリップが吹き出したのは、ダグマーの寝巻きがワンピースだから。暗いから見えづらいが、ノーパンだったからラッキーとか思っているのだ。
 なのでこのマッサージは長く続けてもらっていたら、フィリップの口元に水滴が落ちた。

「なんだろ……汗? ペロッ。疲れたよね? もうだいぶ楽になった。ありがと~」

 その水滴を舐めたフィリップが終了を告げると、ダグマーはフィリップを避けるようにドサッと座った。フィリップは疲れたのだろうと、ベッドの端に移動して寝息を立てるのであった。


 それからしばらくして、ダグマーが何やらゴソゴソしていたら声が聞こえる。

「手伝おっか?」
「ででで、殿下!? 寝てたんじゃないのですか!?」

 フィリップだ。その声に、ダグマーはとんでもなく焦っている。

「寝たフリしてたの~」
「なんですって!?」
「ダグマーがさっき触ってたところを、僕の顔にムリヤリ押し付けていいよ~?」
「なんのことですか!?」

 そう。フィリップはお風呂場から、ダグマーの顔に気付いていた。フィリップが恥ずかしくすると、ダグマーの顔が恍惚の表情をしていたのを……

「第二皇子の僕を踏む背徳感……ビチョビチョになるほどなんだ~」
「うっ……申し訳ありません」

 さらに、水滴の味からその正体を……

「謝らないでよ~。罵って踏んで蹴って! 全部受け入れるから~」
「あの……その……もう! この変態皇子~~~!!」
「あ~~~ん!!」
 
 こうしてドSなダグマーに、踏んだり蹴ったりされて喜ぶフィリップであったとさ。
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