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一章 帝都で夜遊び
003 キャラ設定の追加
しおりを挟むフィリップがダメ皇子を演じる方針を固め、氷魔法で遊ぶようになってから2日……
「お? レベルが上がってる」
何故かレベルが2になった。
「やっぱりダンジョンでモンスターを倒さなくても上がるんだな。ステータスは……けっこう上がってる。倍ぐらいになった。このまま魔法で遊びたいのも山々だけど、そろそろエイラが覗きに来る頃だ。片付けよっと」
エイラ・メリーンとは、フィリップの専属メイド兼、教育係。歳は30歳の茶髪美人で、表情は堅いけど巨乳だからフィリップ好み。午前は付きっきりでフィリップの世話をして、午後はフィリップ関連の雑事をしている忙しい人物だ。
ただし、フィリップの記憶では体調不良で見守っている場合が多かったから、それに甘えていつもベッドに横になっている。
「殿下、体調はどうでしょうか?」
今日もフィリップはベッドに潜ってやり過ごそうとしていたが、布団を捲られてしまった。
「えっと……何か用??」
「はい。湯浴みの時間となっております」
「あ~……わかったよ」
フィリップ、忘れていた模様。でも、ちょっと嬉しそうに、エイラの前を歩いている。
(あ……そこは……胸が当たって……グフフ)
だってお風呂場では、美人で巨乳のエイラが全裸で隅々まで洗ってくれるもん。前世ではブサイクだったから、彼女どころか童貞のまま死んだフィリップでは、この好待遇は嬉しすぎるのだ。
「殿下……これは?」
「これは……いや、これは……その……」
今までなんとか我慢していたフィリップでも、記憶が元に戻ってからは耐えられるわけがない。ある部分が膨らんでしまったので、しどろもどろだ。
「よろしければ、私めが処理いたしましょうか?」
「……へ??」
「業務内容に含まれていますので」
「な、なんのこと??」
「ですから……」
エイラからいきなり性教育のような言葉が出て来たので、フィリップもフリーズ。いまから何をするかを聞いて、ようやく焦り出した。
「い、いいから! だだだ大丈夫……」
このチャンスに、フィリップは拒否。童貞だから覚悟が決まらないみたいで股間も隠してしまった。
「そうですか……フレドリク殿下と似てますね」
「お、お兄様? エイラは、僕の前はお兄様についていたの?」
「はい。初めては愛した人としたいとおっしゃっていました」
「へ、へ~……お兄様らしいね」
いまは体を洗ってもらうだけに留めたフィリップは、肩を落として自室に帰るのであった。
その日のフィリップは、夕食を終えるとエイラと共に自室に戻り、エイラが出て行くとベッドに寝転んでゴソゴソしていた。
「マジか~……皇族って、メイドにお手付きアリなのか……いや、なんかの本で読んだことあるかも? 結婚前に恥を掻かないように教育するとか……僕、7歳だよ? マジか~」
魔法のことも忘れて、なかなか寝付けないフィリップであったとさ。
それからもなんとかエイラとのお風呂を耐えていたフィリップは……
「や、やってしまった……」
いや、すぐに欲望に負けたフィリップは、ベッドで後悔していた。
「前世の歳を合わせたらアラフォーなのに、年下の子に全部やってもらって申し訳ない! いや、僕から攻めたらそれはそれで問題だし……てか、ただのマッサージをしてもらっただけだから何も問題ないか……グフフ」
でも、なんか言い訳しながら嬉しそうだな。
「あ~あ。まだ出ないってのが残念だったな~……」
何が出ないかはわからないけどマッサージをやってもらっただけなのに、幸せを噛み締めて眠るフィリップであった。
その2日後……
「へ? 父上が呼んでるって??」
ひと月に一度会いに来るかどうかの皇帝から初めてお呼びが掛かっていると聞いて、フィリップも緊張している。それを伝えたエイラはいつも通り澄まし顔なので、あのことではないとフィリップは思って行くことに決めた。
その道中、廊下を歩く人々がフィリップを見るとお辞儀をしたあとにコソコソ言ったりニヤニヤしていたことは気になってはいたが、遅れるわけにもいかないので時間通り皇帝の働く執務室に礼儀よく入った。
そこにはフィリップとはあまり似ていない、金髪で掘りの深いがっしりした体型の男性が豪華な椅子に座って書類を睨むように目を通していた。
「ち、父上。忙しいなか失礼するよ」
フィリップが緊張しながら挨拶すると、皇帝は厳しい顔のまま応える。
「うむ。もっと近くに寄れ」
「うん……」
「もっとだ。ここに座れ」
「……はあ」
皇帝は太ももをパンパンと叩くので、フィリップはわけもわからずそこに座った。
「あの……なんの用?」
「うむ。エイラとやったらしいな」
「……はい??」
「報告は聞いている。あの貧弱だったフィリップも、大人になったのだな」
「はあ~~~??」
突然のことに、フィリップも驚愕の表情。変な声も出ちゃった。
「まぁ、息子の成長は喜ばしい限りだが、エイラだけにしておけ。他に手を出してはならんぞ」
「は、はあ……それだけ??」
「いや、フレドリクを差し置いて先に進んだのだ。くれぐれも、よからぬことを考えてフレドリクの邪魔をするな。わかったな?」
「はい……わかりました」
「それだけだ。もう行け」
「はあ……」
皇帝はフィリップの頭を軽く撫でると抱いて下ろし、フィリップは首を傾げながら自室に戻るのであった。
「えっと~……どゆこと??」
「なんのことでしょうか?」
自室に戻ってもさっきの展開について行けてないフィリップ。なので知っていそうなエイラに質問している。
「ちなみになんだけど、僕の行動って父上に報告とかしてるの?」
「はい。包み隠さず事細かに」
「だからか~~~」
今日の呼び出しの理由に、フィリップは膝を突いた。そりゃ、父親に初めてのマッサージを知られては恥ずかしすぎる。
「もうひとついい? これって、どういう経路で父上に伝わるの??」
「報告書を直属の上司に渡して、それをメイド長が確認し、伝令係が運び、宰相閣下の部下が目を通し、問題がある場合は宰相閣下が確認して、ようやく皇帝陛下が確認なさると聞いております」
「やっぱり~~~!!」
道中、半笑いでコソコソ言う人が多かった理由に気付いたフィリップ。それだけ多くの人の目に触れているのだから、噂が噂を呼んで、フィリップは節操のない子供だと城内では話題になっていたのであったとさ。
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