戦国魔法奇譚

結城健三

文字の大きさ
上 下
4 / 201

物の怪

しおりを挟む
「その前に、お主にも着るものが必要だな 余っている具足はなかったか?」

「俺には、必要ない そこの彼が履いているズボンが動きやすそうだな それと草鞋というのか? 

 それだけ頼む この襷たすきは気に入っている」転移後 初めて笑顔がこぼれる

長年共に戦ったアランの事や、転移後 念話で語りかけているが、まったく返事のないブルートの事も

気になるが 今は、自分とエヴァの身の安全のためにも、この戦を早く終わらせる事が先決だった。

「ふむ まあ良いか 襷でなく軍旗じゃがな。。。敵味方の区別は、大丈夫だな? 

 赤黒でもよいが胴鎧に三つ葉葵が入っているのが敵だ」陣の隅に転がっている、黒い胴鎧を指差す

「なるほど 討ち取った首級を持って走り回るのか? 邪魔なんだが。。。」アイテムボックスに入れるといいのだが、人前では利用を躊躇う アイテムボックスも空で まさに裸で放り出させれた2人にとって 

今は、敵を倒して得られる報奨金が(貰えるとは確認していないが)頼りであった。

「ふむ 胴鎧のみの足軽は、鼻だけ削げばよい 兜を被ったのは大将首だからな 首級が必要だ この袋を渡しておく」 麻で編んだ丈夫そうな袋を受け取る

「そろそろ準備はよいか? あそこに見えるのが敵の本陣だ最短距離で行くぞ 合図を出せ!!」

従者が太鼓を3度叩くと 陣に向かって山県の兵士が集まってくる

「この雰囲気がたまらないね~ 残り魔力に不安があるが この十文字槍にも強化魔法を付与しておくか」

土魔法による硬化の魔法を付与する これにより木製や通常の金属であれば、いくら貫いても折れることはない

わずかの間に200人ほどの兵が集まり 号令を待つ


「皆のもの、よく聞け! この戦 もはや武田の勝ちは揺るがん あとは徳川の首を取るのみ!!

 我に続け!!!!」

戦功をあげようと男たちの雄叫びが響く 敵本陣では1000人ほどの兵が本陣を守り

四方から迫る 武田軍に対し そこかしこで小競り合いが始まっている

200人ほどだった山県の軍だが、行進するに連れ人数が増えていき正面から敵本陣に向かう

ルイはと言えば、先頭を駆け切り込むという誘惑と戦いながら 

騎乗した山県の前方で飛来する弓矢から山県を守ることに徹していた

数本の弓矢を弾いたが 放っておいても山県まで届いた矢は無い 

しかし左前方の藪の中から火薬の匂いがする

「山県。。様 あそこの藪に火薬を使った飛び道具の匂いがする ちょっと行って殲滅しくる

 ここで待ってて」そう言うと 縮地術を使って藪の中に切り込む

山県の目の前からルイが消え去り、ダンッ! 鉄砲の音が藪の中から聞こえてくる

山県の周囲を従者が囲む 『奴は忍びか? 物の怪か??』

3分も経たずにルイが藪から出てくる 両手で数丁の鉄砲を抱えている

「鼻を削いでいたら、遅くなった この飛び道具だが金になるか?」少年のような笑顔で聞いてくる

「ふむ ご苦労であった 金か? もっと良いものになるぞ ハハハハッ」従者に10丁の鉄砲を預ける

『まさしく物の怪であるな、飼いならすことが出来れば とんだ拾いものだぞ』

「ルイよ お主は、何が望みじゃ?」

「うん? はぐれた仲間を探すことと出来れば、エヴァや仲間と国に帰りたいな」

「そうか それであれば協力は惜しまんぞ」

「ありがとう 俺も絶対にあんたが死なないよう守るから 安心してくれ エヴァを助けてくれたしな」

先頭の集団が敵本隊とぶつかり合い 隊が横に広がっていく


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

婚約破棄?貴方程度がわたくしと結婚出来ると本気で思ったの?

三条桜子
恋愛
王都に久しぶりにやって来た。楽しみにしていた舞踏会で突如、婚約破棄を突きつけられた。腕に女性を抱いてる。ん?その子、誰?わたくしがいじめたですって?わたくしなら、そんな平民殺しちゃうわ。ふふふ。ねえ?本気で貴方程度がわたくしと結婚出来ると思っていたの?可笑しい!  ◎短いお話。文字数も少なく読みやすいかと思います。全6話。 イラスト/ノーコピーライトガール

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

処理中です...