【完結】かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜

倉橋 玲

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第3章 虚ろの淵より来たるもの

目覚め

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 慌ただしい足音と飛び交う人々の声に、天ヶ谷鏡哉はゆるりと目覚めた。何度か瞬きをしてから漂う緊張感を肌で感じた少年が、微睡から覚醒していく。
(……何か、あったのかな……?)
 身体を起こしてから近くに置いてあった眼帯を身に着け、寝間着の上に上着を羽織ったところで、いつの間にか傍に来ていたらしいトカゲがするすると肩に上ってきた。
「なんだか騒がしいけど、どうしたんだろうね……」
 念のためにとストールを巻いて首元を隠しつつ、少年はトカゲに向かってそう呟いた。そのとき、突然ノックもなしに部屋の扉が開け放たれた。そしてそこから、固い表情をしたアグルムが跳び込んでくる。
「っ、アグルムさん……!?」
「先程、リィンスタット王国全土における帝国の襲撃が確認された。これより俺はお前の護衛に専念する。判ったなら、事態が収束するまでは俺の指示にだけ従え。良いな」
 アグルムの言葉に、少年が身を固くして頷く。アグルムの言葉にはやや引っ掛かりを感じさせるものがあったが、それに言及させて貰えるような空気ではなかった。
「悪いがお前の着替えを待っている余裕はない。今すぐ王宮から離脱するぞ」
 そう言って腕を掴まれ、少年は困惑した。
「え、あ、あの、離脱って、なんで、」
 国土全体に兵を派遣しているため、王宮の守護が手薄になっていることは知っている。だが、それでもここから離れるよりは安全な筈だ。そう思った少年だったが、苛立ったような表情を浮かべたアグルムに睨まれ、口をつぐんで身を竦ませた。
 押し黙った少年の腕を強く引いたアグルムが、そのまま部屋の外へ出て廊下を駆け出す。半ば引き摺られるような形で連れられた少年も、なんとか遅れないようにと足を動かした。途中で何人もの兵とすれ違ったが、皆アグルムや少年のことなど目にもくれない。かろうじて聞こえた会話の端々から察するに、この王宮内にも帝国からの侵入者が出たようだった。
 ならばなおさら単独行動はまずいのではないかと思った少年が再びアグルムを見たが、やはり彼は何も言わない。だが、そんな彼の態度に腹を立てたらしいトカゲが、少年の肩からするりと移動し、アグルムの腕をぺちぺちと叩いた。
「ティ、ティアくん、」
 慌てて止めようとした少年だったが、その前にアグルムがトカゲを一瞥し、眉間に皺を寄せる。そして、走る速度を緩めないまま、彼はぽつりと呟いた。
「陛下が今使っている魔法は、恐らく王宮だけ範囲外に設定されている」
「え、ええと……、」
 さっぱり飲み込めない話に、少年は困ったようにトカゲを見た。だが、トカゲも理解できていないようだ。
「陛下は今、帝国兵を排除する為に国土全域を対象とした大魔法を使っている。だが、あれは魔力消費が著しい魔法だ。だから、十中八九あの人は適用範囲外の場所を設定している。その条件は、十分な戦力がある場所。王宮は間違いなくその対象で、もしかすると王都全域すらも陛下の魔法の範囲外かもしれない」
「な、なるほど……。で、でも、王宮に十分な戦力があるなら、移動しなくたって、」
「駄目だ」
 言いかけた少年の言葉を、アグルムが遮った。
「俺の役目はお前を守ることだ。ならばより確実性の高い選択をしなければならない。お前が国王をどういうものだと考えているのかは知らないが、国王は間違いなくその国で最も長けた存在だ。ならば、俺にはお前を陛下の庇護が及ぶ場所にまで運ぶ義務がある。……それに、この様子ではどのみちお前の守護に回せる兵はいないだろう。そんな余裕があるなら、少しでも兵を王宮外に派遣している」
 だから王宮はお前を守護する上で最適な場所とは言えない、と続いた言葉に、少年は内心で感心してしまった。アグルムは、王の命を確実に守るためにここまで思考していたのだ。
(どっちにしても僕を守れるのはアグルムさんしかいないから、それならまだクラリオ王陛下の助力が期待できそうな方を選んだ方がマシ、ってことだ……)
 つまり、それだけ危機的な状況であるということである。
 少年が遅ればせながら状況を把握したとき、その腰にアグルムの腕が回された。思わず悲鳴を上げた彼をちらりと見てから、アグルムがそのまま少年を抱え上げる。そして彼は、廊下から続くバルコニーに出て、そのまま外へと身を躍らせた。
 その行動に驚いたのは少年である。なにせここは王宮の中でもそこそこの上階だ。そんな高さから地面に跳び下りるなど、それこそ赤の国で王獣の背から飛び降りたとき以来である。
(ひ、ひぇっ……!)
 そういえばあのときも、赤の王に抱えられて無理矢理こういうことになったのだったか。
 そんなことを思い出しながらきつく目を閉じた少年は、しかしアグルムが風霊の名を呼ぶと同時に落下の速度が弱まったのを感じ、恐る恐る目を開けた。
(そ、そういえば、この人も風霊魔法を使えるんだったっけ……)
 だが、だからと言っていきなりこういうことをされては心臓に悪い。もしかしてトカゲも同じことを思ったのではないだろうかと考えた少年は、自分の腕にしがみついているトカゲに視線を落としたが、トカゲはなんだか楽しそうに尻尾をぱたぱたと振っていた。
(…………そっか……、ティアくん、飛べないもんね……)
 多分、空を飛んでいるような心地になる落下が楽しいのだろう。少年には全く理解できないが。
 そんなことを考えている間に地面に着地したアグルムが、さっと少年を下ろして再び走り出す。腕を掴まれているので大人しくそれについて行くことしかできない少年は、アグルムの向かっている先にある建物を見て、内心でああと呟いた。
 すぐ目の前に迫っているあれは、騎獣舎だ。あそこで騎獣に乗って王都の外を目指すつもりなのだろう。確かにあの騎獣舎に行くならば、城内を突っ切ってあのバルコニーで跳び下りるのが最短ルートだ。それならそれで言って欲しかったものだが、アグルムはあまり口数が多い方ではないから仕方がないのかもしれない。
 ようやくたどり着いた騎獣舎の扉に、アグルムが手を掛ける。だが、その扉をアグルムが開けた瞬間、何か凄い力に引きこまれるように、アグルムと少年の身体が騎獣舎の中へと引っ張られた。
 抵抗することもできないまま、二人の身体が騎獣舎の中に転がり込む。咄嗟に少年を抱き寄せて受け身を取ったアグルムは、身体に触れた床の感触が慣れ親しんだ騎獣舎のものではないことに気づき、すぐさま身を起こした。
(ここはどこだ……!?)
 少年を腕に収めたまま周囲を見回したアグルムの目に入ったのは、不気味に曲がって枝分かれした木々たちに囲まれた空間だった。土の地面に、木々の隙間から覗く暗い空。少なくとも、リアンジュナイル大陸にこんな場所は存在しない。
 トカゲを見やれば、彼は警戒するように周囲に視線を巡らせていた。やはり、安全とは言い難い場所のようである。
 一方の少年も突然の出来事に混乱を隠せないようで、やや怯えた目をしてアグルムを見てきた。
「あ、あの、ここ、は……?」
「判らない。少なくとも俺が目指していた騎獣舎の中ではないな。……自然に考えるならば、どこか別の空間に飛ばされたと判断するのが妥当だ」
 アグルムが腰の曲刀を引き抜きつつそう呟いたとき、ぱちぱちと乾いた拍手が周囲の空気を震わせた。
「ご明察です」
 その声に、少年は聞き覚えがある。やや粘着質で、少年の肌に纏わりついてくるような、嫌な声だ。
 小さく身体を震わせた少年の背を、アグルムが一度だけ叩いた。そしてアグルムは、少年を背に庇うようにして声の方へと身体を向けた。
「……帝国の空間魔導師、デイガー・エインツ・リーヒェンだな」
「おやおや、栄えある円卓の国家の方に名を覚えられているとは、私も随分と有名になったものですね」
 アグルムの声に木々の隙間から姿を現したのは、まさしくあのとき赤の国で出会った魔導師だった。そしてその背後には、いつの間に現れたのか、あの大きな黒い竜のような魔物がいる。
「お久しぶりです、エインストラ。エインストラにおかれましてはご健勝のご様子、何よりのことと存じます」
 わざとらしく微笑んだデイガーが、恭しく頭を下げて寄越す。そんなデイガーに少年が小さく悲鳴を上げて後ずされば、すかさずトカゲが口を開いた。恐らく、炎を吐いて少年を安心させようとしたのだろう。
 だが直後、トカゲは炎を吐き出すことなく、小さく首を傾げて少年を見上げた。それがどういう意図なのかをはっきりと感じ取ることはできないが、何故だか少年にはトカゲが困っているように見えた。
「本当はエインストラのみをご招待しようと思っていたのですが、余計なものが二匹ほどついてきてしまいました。どうかご容赦くださいね」
 両の手を合わせて困った顔をしてみせたデイガーを、アグルムが睨む。そんな彼を見て、デイガーはわざとらしく肩を竦めて返した。
「おお、怖い怖い。そんな恐ろしい顔をしないでくださいよ。生まれもっての類稀なる才で魔法を操るお方が、私のような魔導師ごときにそのような目を向けるなど。恥ずかしいとは思わないのですか?」
「誰が恥じるものか。お前がそれだけ警戒すべき相手であるというのは、円卓の共通認識だ」
 そう言ったアグルムが、剣を握る手に力を籠める。
 空を飛ぶデイガーの魔物と対峙するには、魔法を用いるのが最も効果的だ。だが、生半可な魔法では空間魔導によって全て返されてしまう。このあたりのことは、アグルムも把握していた。だからこそあの赤の王すらも苦戦したという話だったか。
 だが、あれは飽くまでも国内においての話である。周囲への被害を考慮すると高威力の魔法は使えない、という状況だったが故の苦戦だ。
(だが、ここは十中八九リアンジュナイル大陸の外だ。高威力の魔法を制限するようなものは何もない。どう考えても、この場所に俺たちを転送する方が帝国側にとっては不利益だ。それなのに何故……)
 デイガーの考えが判らない以上、迂闊に手を出すことはできない。そう考えて剣を構えるだけに留まっていたアグルムだったが、そんな彼を見たデイガーは、心底愉快だとでも言うように笑った。
「そう警戒しないでくださいよ。我々のようなか弱い魔導師は、こうして周到に用意しなければ貴方たちと対峙することもできないのですから」
 そう言ってデイガーがぱちんと指を鳴らすと、彼の背後に空間の歪みが生まれた。そしてそこから、二体の巨大な生き物が現れた。四階建ての建物すらも越える高さのそれは、顔面一杯に大きな目がある、二足歩行型の魔物だった。
 デイガーの空間魔導によって出現したその魔物たちは、デイガーの姿を認めるや否や、彼に向かって足を振り上げた。味方であろう魔物の攻撃に、しかしデイガーは驚いた様子もなく、魔物の一蹴りを黒い竜の背に跳び乗って回避してみせた。そしてそのまま空へと逃れたデイガーが、地上にいるアグルムに向かって叫ぶ。
「失礼! このウスノロどもは、使役主である魔導師を殺された憐れな魔物でしてね! 見境がないのですよ!」
 そう言ったデイガーの口元が歪んだ笑みを象っているのを見たアグルムが、忌々しそうに舌打ちをする。
 使役主を失った魔物の危険性については、円卓全ての国で共有されている。一ツ目の魔物がデイガーを狙ったのは、デイガーが最も近い場所にいたからだ。その彼が空に逃れたとなれば、当然次に狙われるのは自分たちである。
 巨大な目玉たちが、ぎょろりとアグルムを捉えた。それと同時に、アグルムも風霊の名を叫ぶ。だが、
「っ!?」
 普段あまり変化を見せないアグルムの表情が、驚愕に染まった。しかし、彼が起こった事象に気を取られたのは一瞬。すぐさま頭を切り替えて曲刀を横に構え直したところで、魔物の強烈な蹴りが彼を襲った。間一髪でそれを避けたところに、今度はもう一体が拳を振り下ろす。後ろに跳んでそれを避けたアグルムは、眼前に落ちた拳をすぐさま刀で斬りつけた。
 そこそこの深さを以て肉を抉った刃に魔物が低く唸ったが、所詮手の甲の一部を斬っただけに過ぎない。大したダメージにはならなかっただろう。だが、そこで生まれた隙を利用し、アグルムは少年に向かって叫んだ。
「精霊がいない!」
 短い言葉は、少年がアグルムに対して抱いた違和感の正体を悟らせるに十分すぎた。
 風霊の名を呼んだのに、アグルムはなぜ風霊魔法を使わずに身一つで魔物と対峙しているのか。その疑問の答えが、アグルムの一言にあった。
 この世界の魔法は、世界中に存在する精霊の力を借りて発揮されるものがほとんどだ。そしてアグルムは、その精霊がいないと言った。
(つまり、この空間には何故か精霊がいないから、アグルムさんは魔法が使えないんだ……!)
 アグルムだけではない。少年がいる世界のおよそほとんどの生き物が、この空間では魔法を使えないことになる。
 そこまで思い至った少年が、はっとしてトカゲを見る。先程から何度も何度も試すように口を開けたり閉じたりしているトカゲもまた、同じなのではないだろうか。いかに高位の幻獣と言えど、魔法と同じ機構で炎を生み出しているのならば、トカゲもまた自身の炎を封じられたことになってしまう。
 トカゲの様子を見る限り、少年のその考えは大方正しいように思えた。
(ど、どうしよう。確か炎獄蜥蜴バルグジートの場合、最初の火種が火霊による炎で、それを固有能力によって体内で増幅させているって、あの人が……)
 そこまで考えた少年は、はたと気づいて、上着のポケットに入れっぱなしだった魔術具を取り出した。炎を食べるトカゲのために、グレイに作製して貰った錬金魔術式の卓上ライターである。
 炎獄蜥蜴バルグジートが最初の種火のみを魔法機構に頼っていて、その後の工程は全て己の固有能力のみで行っているのだとしたら、種火さえ与えれば力を発揮できる筈だ。
 そんな少年の手元を見たトカゲが、丸い目を細めて少年を見上げてから、ライターを持つ手元へとするりと移動した。そしてトカゲの小さな手が少年の手を叩くと同時に、少年がライターの魔術を発動させる。
「お願い! ティアくん!」
 少年の叫びと共に噴き上がった炎を、大きく口を開けたトカゲが吸い込む。そのままごくんと炎を飲み込んだトカゲは、少年の腕を跳び下りて、アグルムと対峙している一ツ目の魔物へと顔を向けた。
「っアグルムさん! 避けてください!」
 少年の声に反応したアグルムが魔物から大きく距離を取るのと同時に、トカゲの口がぱかりと開いた。そしてそこから、轟という音と共に灼熱が吐き出される。
 熱風を撒き散らしながら魔物に向かった炎が、見事にその片腕を捉え、見る見るうちに魔物の肉を焼いていく。だが、そこに砂蟲サンドワームを焼き尽くしたときのような威力はなかった。
(やっぱり、精霊の火じゃないと威力が落ちちゃうんだ……!)
 最初こそ魔物の腕を燃やしていた炎だが、すぐにその勢いは衰え、火力は徐々に弱まりつつあった。この様子では、あと少しもすれば炎は掻き消えてしまうだろう。
 それでも、この巨大な魔物たちに対抗できるだけの術が見つかったのは僥倖だ。アグルムに敵を牽制して貰いつつトカゲが攻撃することで、時間は掛かるが魔物を倒すことができるかもしれない、と少年は思った。
 恐らくアグルムを同じことを考えたのだろう。ちらりと少年を見てひとつ頷いた彼は、剣を構えて再び魔物へと向かって行った。
「ティアくん、まだ頑張れる?」
 ライターを手に少年がそう問えば、トカゲはふんと胸を張って頷いた。
 トカゲの返事によしと呟いた少年が、トカゲに向かって再びライターの魔術を発動させる。現れた炎をトカゲがごくりと飲み込み、魔物の方へと再び向き直った。だがそのとき、
「魔術道具とは盲点でした。ですがそれではこの空間の意味がない。申し訳ないですが、これはこちらでお預かり致しますね、エインストラ」
 少年の耳元で、舐るような声が鼓膜を震わせた。同時に、持っていたライターを強い力で奪われる。ぞわぞわと背筋を這い上がる悪寒がした少年が反射的に後ろを振り返れば、ライターを片手ににこりと微笑むデイガーが間近にいた。
 瞬間、トカゲの炎がデイガーに向かって放たれる。だが、少年の身を焼かないようにと威力を抑えたのだろうそれでは、デイガーにまでは届かなかった。トカゲの吐き出した炎は、デイガーが生んだ空間の歪に呆気なく呑みこまれてしまったのだ。
「はっ、炎獄蜥蜴バルグジートの名が泣きますね」
 小馬鹿にしたような顔をでトカゲを見下ろしたデイガーが、次いで少年に視線を戻してわざとらしく首を傾げる。
「いやしかし、そのトカゲは案の定厄介ですねぇ。これはもう、遊んでいないでエインストラを連れて行ってしまうべきでしょうか」
 そう言ったデイガーの手が、少年に向かって伸ばされた。ひっと小さな悲鳴を引き攣らせた少年が、縋るように後ろを振り返る。だが、アグルムは尚も魔物と交戦中だ。二体の巨大な魔物の猛攻をいなすことで精一杯な彼に、少年を助ける余裕があるとは思えなかった。
 残る護衛であるトカゲがすぐさま少年の元へと駆け寄ったが、その小さな身体をデイガーの爪先が蹴り上げた。抵抗することもできずに軽々と吹っ飛んだトカゲに、少年が再び悲鳴を上げる。
「ティアくん!」
「さあ、行きましょう、エインストラ」
 デイガーの手が伸びてくる。それを捉えた少年の目が、大きく見開かれた。
 この手に捕まってしまったら終わりだ。きっと誰の手も届かない場所に連れて行かれてしまう。もしかしたら、血を搾り取られて死んでしまうかもしれない。
 それは駄目だと、少年の奥底の何かが叫ぶ。
 死んでは駄目だ。死ぬわけにはいかない。終わる訳にはいかない。生きなければならないのだ。いや、生かさなければならないのだ。それこそが、自分が生まれた理由なのだから――!

 潤みに満ちた少年の瞳が急速に乾き、瞳孔が細く絞られる。そして唐突に、少年の纏う空気が一変した。
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