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第2章 魔導帝国の陰謀
お茶会
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少年がギルディスティアフォンガルド王城に招かれてから、きっちり三日後。彼は、王宮庭園で開かれた小規模な茶会に参加していた。勿論、参加したくて参加した訳ではない。金の王に是非と請われ、断ることもできずなし崩しに参加することになってしまったのだ。
女官に先導されて庭園に向かう道中は、断頭台へ向かう囚人のような心地でいた彼だったが、実際に茶会の会場を目にしたらその緊張は多少ではあるが和らいだ。
というのも、用意された会場は、会場と呼ぶには手狭な東屋だったのだ。
陽射しを遮るための小洒落た屋根の下には、小さな円卓と四脚の椅子が設置されており、茶会の会場というよりは庭園の景観を楽しむために用意された休憩所のようであった。
だが、いくら会場が小さかろうと、正面に座る金髪の幼王ギルヴィスを前に緊張するなという方が無理な話である。それに、東屋の中には少年と金の王の二人しかいないが、少し離れた場所には数人の近衛兵が立ち、こちらを窺っているのだ。絶対に無礼なことをする訳にはいかないといった空気を感じてしまうのは仕方がないだろう。
案の定がちがちになって俯いてしまっている少年に、ギルヴィスは内心で小さく溜息をついた。こうなることが目に見えていたから、できれば近衛兵も傍に置きたくなかったのだ。
(せめて近衛としてここに居たのがヴァーリアならば、キョウヤさんももう少し緊張せずに済んだのかもしれませんが……)
少年と面識のあるカリオスならこの場で護衛として適任だったのだろうが、現在彼は傷の完治のために療養中である。こんなことのために呼び出す訳にはいかなかった。
「そんなに緊張なさることはないのですよ、キョウヤさん」
そう微笑んだ金の王が、テーブルに置いてあるティーポットを取って、少年のカップへと紅茶を注ぐ。ふんわりと上質な香りが少年の鼻を擽ったが、そんなことよりも国王が手ずから給仕してくれたという事実が更に彼を委縮させてしまったようだった。
これはいけないと思った金の王が、慌てて少年へ向けた笑みを深めてみる。
「お口に合うか判りませんが、よろしければどうぞ」
その、花が咲き綻ぶような可憐な微笑みに、少年は思わず金の王を見つめてしまった。なにせ綺麗なものに目がない少年なので、幼王の花のかんばせをこの距離で拝むのは、少々刺激が強かったのだろう。
やや惚けたような顔で見つめてくる少年に、ギルヴィスは小さく首を傾げた。
「キョウヤさん?」
「っ、え、あ、あの、す、すみません!」
名を呼ばれ、はっと我に返った少年は慌てて謝罪し、目の前にあるティーカップを手に取った。
緊張で喉はカラカラだが、明らかに高そうな食器に飲みたいという欲求は全く湧いてこない。だが、国王がわざわざ淹れてくれた紅茶である。
(の、飲まないと、失礼だよね……)
仕方なく無理矢理喉に流し込んだが、案の定あまり味は感じられなかった。しかし、飲んだからには何か言うべきだろう。
「……お、美味しい、です。ありがとう、ございます」
全く気の利かない台詞を吐き出した少年に、しかしギルヴィスはふわりと微笑んだ。
「お口に合ったのなら良かった。お菓子もご用意しましたので、是非召し上がってくださいね」
そう言ったギルヴィスが、皿に綺麗に盛りつけられている菓子に手を伸ばす。上質なバターを含んだしっとりとした焼き菓子を取り、手でちぎった金の王は、上品な手付きでそれを小さな口に運んだ。まるで絵画のようなその光景に、少年がまた惚けたような顔をする。
「ふふふ、これは私のお気に入りのお菓子なんです。昨日帰られたヴェールゴール王も大層気に入られて、お土産にとお持ち帰りになったのですよ」
「そ、そうなんですか」
乾いた笑いを浮かべた少年に、ギルヴィスが少しだけ申し訳なさそうな顔をする。
「すみません。やはり、私と二人では居心地が悪いですよね」
「い、いえ! あの、全然、そんなことは、」
慌てて首をぶんぶんと横に振った少年に、金の王が苦笑する。
「いいえ、ご無理をなさらず。突然お茶のお誘いをしてしまったのはこちらなのですから」
そう言ってやはり困ったような笑いを浮かべたギルヴィスの様子を窺いつつ、少年がおずおずと口を開く。
「……あの、なんで、僕、お茶会にお誘い頂いたんでしょうか……?」
まさかこの幼い王が自分と交流を持ちたくて、などということはあるまい。そう思っての問いだったのだが、金の王はぱちぱちと瞬きをした後、少し困った顔をした。
「ええと……、……実は、お茶会にはもう二人ほど参加する予定なのです。その内のお一方が、是非キョウヤさんとお茶を飲みながらお話がしたいと仰られて」
「……はあ」
「少々到着が遅れているようですが、じきにいらっしゃると思います。……ただ、その方から誰が来る予定かは言わないで欲しいとお願いをされてしまいまして。こう、サプライズがしたいのだとか」
だからこれから来るのが誰なのかは教えられないのだと、金の王は申し訳なさそうな顔で謝罪した。だが、金の王が尊敬語を使う相手で、かつサプライズだのなんだのとを言い出す人間となると、嫌でも察しがつくというものである。
まあ、つまり、
「……もしかしなくても、その二人の内の一人って、ロス、」
「キョウヤ!」
思い至った名前を言いかけたところで、少年の後方から呑気な声が聞こえてきた。声の持ち主が誰かなど、振り返るまでもない。
そう、グランデル王国の国王、ロステアール・クレウ・グランダである。
「……やっぱり……」
とても疲れたような声で吐き出された呟きは、幸いなことに誰の耳にも入らなかったようだった。
「ロステアール王、ようこそお越しくださいました」
立ち上がった金の王が、胸に片手を当て、赤の王に向かって軽く会釈する。
「こちらこそ、お招き感謝する。少々遅れてしまったようで、申し訳ないことをした」
「いえ、お陰さまでキョウヤさんと少しお話することもできましたから」
そう言ってギルヴィスは微笑んだが、実際は少年が緊張しっぱなしだったせいでろくに会話などできていない。
「それは良かった。ギルヴィス王とキョウヤは年が近いからな。会話も弾んだことだろう」
(何言ってんだろうこの人……)
はっはっはっ、と呑気に笑う赤の王に、少年は思わずそう思った。確かに歳は近いと言えなくもないのかもしれないが、それ以前に身分がまったく近くない。それでどうして会話が弾むと思うのだろうか。
ちらりとギルヴィスに目をやれば、案の定彼もやや困ったような微笑みを浮かべている。
「ああそうだ、今日はもう一人連れて来ていてな。現在グランデルの賓客として迎え入れているスオウ殿だ」
そう言った赤の王の背後、やや離れた場所に居たのは、三日前にグランデル王国を強襲したあの女性だった。そして、王宮庭園を物珍しそうに眺めている彼女の姿を視認した瞬間、少年は珍しく驚きを表情に出した。
「お、お師匠様!?」
滅多にない少年の大きな声に、赤の王と金の王がやや目を開く。そんな中、少年へと顔を向けた蘇芳は、へぇと声を洩らした。
「金の国の天ヶ谷鏡哉っつってたからもしやとは思ったが、やっぱりお前だったか。暫く見ない内に図体だけはまあまあ成長したな」
そう言いながらすたすたとやってきた蘇芳が、国王二人に許可を取ることなく椅子を引いて着席する。そしてそのまま彼女は、テーブルの上の焼き菓子を掴んで無造作に口に放り込んだ。
「え、あ、あの、お師匠様、ちょっと、ぶ、無礼なの、では、」
「あぁ? 良いんだよ。アタシは賓客だからな。接待される謂れはあっても怒られる謂れはない」
やはり自分で勝手に紅茶を注いでぐいっと飲んだ彼女は、ギルヴィスに向かってティーカップを振った。
「紅茶も悪くはないんだが、酒の方が良いな。用意してくれ」
不遜が過ぎる態度に、さすがのギルヴィスも一瞬呆気に取られてしまったが、それでもさすがは一国の王といったところだろうか。彼はすぐに柔らかい微笑みを浮かべて卓上のベルを鳴らし、やってきた侍女に上質な酒を用意するようにと告げた。
「すまない、ギルヴィス王。スオウ殿はどうにも自由なお方でな」
こそっとそう謝罪してきた赤の王に、ギルヴィスは首を横に振った。
「いいえ。グランデル王国の賓客であれば、我が国の賓客も同然ですから」
どうやら金の王に怒る様子はなく、周囲の近衛兵たちも目を剥いたようではあったが、手を出す気はないようである。しかし、少年の方は落ち着いてなどいられなかった。
「お、お師匠様、も、もう少し、遠慮を、」
「うるせぇなぁ。お前はいつから師匠に指図できるほど偉くなったんだ? ん?」
「え、ええ……」
青褪めた少年がわたわたしていると、その隣に着席した赤の王がその頭を撫でてきた。恐らく赤の王本人は落ち着かせようとしたのだろうが、突然触れられた少年は驚いてびくっと肩を跳ねさせたので、逆効果である。
だがそんなことは気にしない赤の王は、少年の頭を撫でたまま口を開いた。
「まさかキョウヤがスオウ殿と知り合いだとは思わなかった。一体どういう関係だ?」
「え、あ、えっと、……お師匠様は、僕に刺青を教えてくれた、先生、です」
「ほう」
少し驚いた顔をした赤の王に、蘇芳が肩を竦める。
「つっても世話をしたのは数年だけどな。死にかけのところを拾って、生きる上での最低限を仕込んでほっぽり出したから、会うの自体……、…………何年ぶりだ?」
首を傾げた蘇芳に、少年が小さく声を出す。
「五年ぶりです」
「ああ、そんなもんか」
大して興味がなさそうに言った蘇芳が、女官の運んだ酒をぐいっと煽った。酒瓶から直接呑むのはどうなんだと思った少年だったが、彼女に何を言ったところで無駄なのはよく判ったので、そっと目を逸らすだけに留めた。
「なるほど、つまりスオウ殿は、キョウヤの命の恩人なのだな」
確認するように見て来た赤の王に、少年がこくりと頷く。
「お師匠様が、ひとりでもやっていけるようにって、僕に刺青を教えてくれたんです。あのお店も元々はお師匠様のお家だったんですけど、貸して貰いました」
「まあ長生きしてる分、拠点なら至るところに持ってるからな。ひとつくらいは良いさ」
そう言った蘇芳が、また酒を煽る。どうにもお茶会とは言い難い光景になってきたように思えるのは、少年の気のせいではないだろう。
蘇芳の豪快な飲みっぷりにやや気圧されていたギルヴィスが、しかし、と言って赤の王を見た。
「キョウヤさんの方は判りましたが、ロステアール王の方は、何故スオウさんを賓客としてお迎えになったのです? キョウヤさんとの関係はご存じなかったようですし、別件で何かあったのですよね?」
その当然の疑問に、赤の王はにこりと笑って返した。
「スオウ殿は、グランデルの国境近辺一帯を破壊せんと送られてきた帝国の刺客でな。ちょうど三日前に私と死闘を繰り広げたところだ」
なんでもないことのようにさらっと言ってのけた赤の王に、少年は真っ青になって目を剥き、金の王は飲んでいた紅茶を喉に詰まらせて咳き込んだ。
「あ、貴方、お師匠様と戦ったんですか!?」
思わずといった風に叫んだ少年に、赤の王が不満そうな顔をする。
「敬語はやめてくれと言ったはずだぞ、キョウヤ」
「え、あ、ああ、ごめんなさい。って、そうじゃなくて、お師匠様はとても強かったでしょう!? 貴方、怪我とかは大丈夫なの!?」
顔面蒼白でそう言った少年に、一瞬きょとんとした顔をした赤の王が、次いでやたらと甘ったるく蕩けたような笑みを浮かべる。
「そうか、心配してくれるか」
そう言って少年の方に両手を伸ばした王は、そのまま子猫にするような気軽さで、ひょいっと少年を抱き上げた。ひえっと小さな悲鳴が少年の喉から漏れたが、そんなことはお構いなしに横抱きにした彼を膝の上に乗せた王は、愛おしげに少年の頭を撫でる。
「キョウヤは優しい子だな」
やはり甘ったるい声でそう言った王が、少年の髪やら頬やらにキスを落とした。人目というものをまったく気にしないその行動に、少年は最終的に泣きそうになっていたのだが、やはり王が気にした様子はない。
焼き菓子を口に詰めながらそんな様を眺めていた蘇芳は、どこか感心したような表情を浮かべた。
「へぇ。お前、本当に王様と付き合ってんだな」
「ち、ちが、」
違うんです。そんな事実はないんです。
そう言いたかったのだが、赤の王の唇に自分のそれを塞がれてしまって、後の言葉は声にならなかった。
そんな中、ようやく呼吸を落ち着けたらしい金の王が、蘇芳を見る。
「あの、貴女が帝国の刺客というのは本当ですか……?」
ここで赤の王に話を振らなかったのは、空気を読んだ結果なのだろう。ギルヴィスは幼くとも聡明な王なのである。
「ああ。そこのとぼけた王様と戦り合ったしな」
「……ロステアール王と、ですか」
短い言葉の裏にある疑念に答えたのは、相変わらず少年を膝の上で愛でている赤の王だった。
「スオウ殿はかなりの強者だぞ。なにせ人ではなく、異なる次元からやってきた上位種だ。お陰でうちの騎士団長の一人が深手を負う羽目になった。今回はなんとか休戦に持ち込むことができたが、あのまま戦いが続けば私も危うかったやもしれんな」
その言葉に、ギルヴィスが目を丸くする。
赤の王は円卓の連合国の中でも随一の戦闘力を誇る王である。その彼がここまで高く評価するということは、蘇芳という女性は紛れもなく脅威であり、そんな彼女を従えている帝国は自分たちが想定しているよりも遥かに恐れるべき存在なのではないだろうか。
しかし、そんな赤の王の言葉に蘇芳はふんと鼻を鳴らした。
「本気を出しもせずによく言う」
「それはお互い様というものだ」
にこりと微笑んだ王に、蘇芳が肩を竦める。
「食えない王様だ」
そういって次の酒に手を伸ばした蘇芳を見てから、ギルヴィスは赤の王へと視線を戻した。
「休戦、というのは?」
「詳しいことは後日、円卓会議にて話す予定だが、帝国の雇われ兵士だったスオウ殿を私が雇い直した、といったところだろうか。故に、取り敢えずは彼女が敵に回ることはないと見て良いだろう」
「つまり、逆に我らの側についたと?」
それならば僥倖だ、と思ったギルヴィスだったが、赤の王は首を横に振った。
「いや、残念ながら帝国とのいざこざに関しては加担できないと断られてしまった。だから、円卓の連合国全体を雇用主と定めて雇い直すことで、不可侵の契約だけ結んで貰ったのだ」
「……なるほど。スオウさんが雇い主たる我々を害することはないけれど、帝国との戦争において味方になってくれる訳でもない、ということですか」
「そういうことになる」
頷く赤の王に、しかしギルヴィスは内心で首を傾げ、蘇芳へと目を向けた。
「何故我々を助けてはくださらないのですか?」
その問いに、蘇芳は口につけていた酒瓶をどんとテーブルに置いて幼王を見た。
「簡単な話さ、小さな王様。アタシは勝ち目の薄い戦には加担したくないんだよ。まだ死ぬつもりはないからな」
当然のことのようにそう言った彼女に、金の王は険しい表情を浮かべた。
「……円卓の連合国が、帝国に負けると?」
睨むようにして見てきた幼王に、しかし蘇芳は怯まない。
「まあそういうことだな。何か文句でもあるのかい?」
「文句はありません。しかし、我々が帝国に後れを取るという考えの根拠が判らない」
そう言ったギルヴィスを、蘇芳がまじまじと見つめる。
「随分とお綺麗だから飾りみたいな王様かと思っていたが、なかなかどうして芯が強そうな坊ちゃんじゃないか」
感心したように言った蘇芳を、赤の王が咎めるような目で見る。
「スオウ殿。その発言は些か無礼が過ぎる」
暗に謝罪を要求するその声に、蘇芳は素直に応じた。
「確かにそうか。悪かったな」
「いいえ。それよりも、根拠があるのならばお聞かせ願えないでしょうか」
蘇芳の謝罪を静かに受け止めたギルヴィスがそう言えば、蘇芳は頬杖をついて息を吐いた。
「まあ、相手が帝国だけなら、アンタらが負ける可能性はほとんどゼロだろう」
「ならばどうして?」
詰め寄ったギルヴィスに、蘇芳は指先で酒瓶を軽く弾いた。
「あっちには化け物がいるのさ。私やそこの赤い王様も絶対に太刀打ちできないくらい、規格外のやつがね」
「……ロステアール王すら敵わない、化け物……!?」
驚愕したような声でギルヴィスが小さく呟く。一方で、未だに赤の王の膝の上から逃れられないままでいる少年も、驚いて赤の王を見上げた。
赤の王の実力を知っているギルヴィスは勿論のこと、その力の片鱗を見たことがある少年にも、赤の王が太刀打ちできないような状況など考えられなかったのだ。
「……まさか、ドラゴン……?」
思わず少年が呟く。ドラゴンという存在のことはグレイから学んだので、それなりに知っている。そして、赤の王を脅かす存在となると、少年が想像できる範囲ではドラゴンしかいなかった。
しかし、少年のその言葉は赤の王によって否定される。
「それはない。ドラゴンは誇り高い種族だからな。身の程知らずに呼びつけた人間に怒ることはあれ、手助けすることなど有り得ん。仮にドラゴンの召喚がなされていたのだとしたら、その怒りに触れたこの世界は既に滅んでいるさ」
きっぱりと言い切った王に、蘇芳はへぇと呟いた。
「アタシはドラゴンに会ったことがないから知らないが、王様の言葉を信じるんなら、やっぱりあれはドラゴンじゃないんだろうな。アタシが見たあれは、誇りだのを気にするような生き物には見えなかった。どっちかって言うと……」
そこで言葉を切った蘇芳が、何かを思い出すように空を見て目を細めた。
「……気に入った玩具で遊んでいるときの餓鬼に似てる」
呟くように吐き出された言葉に、少年の背筋をぞわりとした何かが這い上がった。
恐らく蘇芳のことをこの場の誰よりも理解しているのは少年だったが、そんな少年ですら、彼女のこんな声は聞いたことがない。そこに含まれていたのは、強者が抱いた恐怖のような何かだ。それは、あの圧倒的な強さを誇る蘇芳ですら畏怖するほどの存在がいるということを示しているに他ならない。
女官に先導されて庭園に向かう道中は、断頭台へ向かう囚人のような心地でいた彼だったが、実際に茶会の会場を目にしたらその緊張は多少ではあるが和らいだ。
というのも、用意された会場は、会場と呼ぶには手狭な東屋だったのだ。
陽射しを遮るための小洒落た屋根の下には、小さな円卓と四脚の椅子が設置されており、茶会の会場というよりは庭園の景観を楽しむために用意された休憩所のようであった。
だが、いくら会場が小さかろうと、正面に座る金髪の幼王ギルヴィスを前に緊張するなという方が無理な話である。それに、東屋の中には少年と金の王の二人しかいないが、少し離れた場所には数人の近衛兵が立ち、こちらを窺っているのだ。絶対に無礼なことをする訳にはいかないといった空気を感じてしまうのは仕方がないだろう。
案の定がちがちになって俯いてしまっている少年に、ギルヴィスは内心で小さく溜息をついた。こうなることが目に見えていたから、できれば近衛兵も傍に置きたくなかったのだ。
(せめて近衛としてここに居たのがヴァーリアならば、キョウヤさんももう少し緊張せずに済んだのかもしれませんが……)
少年と面識のあるカリオスならこの場で護衛として適任だったのだろうが、現在彼は傷の完治のために療養中である。こんなことのために呼び出す訳にはいかなかった。
「そんなに緊張なさることはないのですよ、キョウヤさん」
そう微笑んだ金の王が、テーブルに置いてあるティーポットを取って、少年のカップへと紅茶を注ぐ。ふんわりと上質な香りが少年の鼻を擽ったが、そんなことよりも国王が手ずから給仕してくれたという事実が更に彼を委縮させてしまったようだった。
これはいけないと思った金の王が、慌てて少年へ向けた笑みを深めてみる。
「お口に合うか判りませんが、よろしければどうぞ」
その、花が咲き綻ぶような可憐な微笑みに、少年は思わず金の王を見つめてしまった。なにせ綺麗なものに目がない少年なので、幼王の花のかんばせをこの距離で拝むのは、少々刺激が強かったのだろう。
やや惚けたような顔で見つめてくる少年に、ギルヴィスは小さく首を傾げた。
「キョウヤさん?」
「っ、え、あ、あの、す、すみません!」
名を呼ばれ、はっと我に返った少年は慌てて謝罪し、目の前にあるティーカップを手に取った。
緊張で喉はカラカラだが、明らかに高そうな食器に飲みたいという欲求は全く湧いてこない。だが、国王がわざわざ淹れてくれた紅茶である。
(の、飲まないと、失礼だよね……)
仕方なく無理矢理喉に流し込んだが、案の定あまり味は感じられなかった。しかし、飲んだからには何か言うべきだろう。
「……お、美味しい、です。ありがとう、ございます」
全く気の利かない台詞を吐き出した少年に、しかしギルヴィスはふわりと微笑んだ。
「お口に合ったのなら良かった。お菓子もご用意しましたので、是非召し上がってくださいね」
そう言ったギルヴィスが、皿に綺麗に盛りつけられている菓子に手を伸ばす。上質なバターを含んだしっとりとした焼き菓子を取り、手でちぎった金の王は、上品な手付きでそれを小さな口に運んだ。まるで絵画のようなその光景に、少年がまた惚けたような顔をする。
「ふふふ、これは私のお気に入りのお菓子なんです。昨日帰られたヴェールゴール王も大層気に入られて、お土産にとお持ち帰りになったのですよ」
「そ、そうなんですか」
乾いた笑いを浮かべた少年に、ギルヴィスが少しだけ申し訳なさそうな顔をする。
「すみません。やはり、私と二人では居心地が悪いですよね」
「い、いえ! あの、全然、そんなことは、」
慌てて首をぶんぶんと横に振った少年に、金の王が苦笑する。
「いいえ、ご無理をなさらず。突然お茶のお誘いをしてしまったのはこちらなのですから」
そう言ってやはり困ったような笑いを浮かべたギルヴィスの様子を窺いつつ、少年がおずおずと口を開く。
「……あの、なんで、僕、お茶会にお誘い頂いたんでしょうか……?」
まさかこの幼い王が自分と交流を持ちたくて、などということはあるまい。そう思っての問いだったのだが、金の王はぱちぱちと瞬きをした後、少し困った顔をした。
「ええと……、……実は、お茶会にはもう二人ほど参加する予定なのです。その内のお一方が、是非キョウヤさんとお茶を飲みながらお話がしたいと仰られて」
「……はあ」
「少々到着が遅れているようですが、じきにいらっしゃると思います。……ただ、その方から誰が来る予定かは言わないで欲しいとお願いをされてしまいまして。こう、サプライズがしたいのだとか」
だからこれから来るのが誰なのかは教えられないのだと、金の王は申し訳なさそうな顔で謝罪した。だが、金の王が尊敬語を使う相手で、かつサプライズだのなんだのとを言い出す人間となると、嫌でも察しがつくというものである。
まあ、つまり、
「……もしかしなくても、その二人の内の一人って、ロス、」
「キョウヤ!」
思い至った名前を言いかけたところで、少年の後方から呑気な声が聞こえてきた。声の持ち主が誰かなど、振り返るまでもない。
そう、グランデル王国の国王、ロステアール・クレウ・グランダである。
「……やっぱり……」
とても疲れたような声で吐き出された呟きは、幸いなことに誰の耳にも入らなかったようだった。
「ロステアール王、ようこそお越しくださいました」
立ち上がった金の王が、胸に片手を当て、赤の王に向かって軽く会釈する。
「こちらこそ、お招き感謝する。少々遅れてしまったようで、申し訳ないことをした」
「いえ、お陰さまでキョウヤさんと少しお話することもできましたから」
そう言ってギルヴィスは微笑んだが、実際は少年が緊張しっぱなしだったせいでろくに会話などできていない。
「それは良かった。ギルヴィス王とキョウヤは年が近いからな。会話も弾んだことだろう」
(何言ってんだろうこの人……)
はっはっはっ、と呑気に笑う赤の王に、少年は思わずそう思った。確かに歳は近いと言えなくもないのかもしれないが、それ以前に身分がまったく近くない。それでどうして会話が弾むと思うのだろうか。
ちらりとギルヴィスに目をやれば、案の定彼もやや困ったような微笑みを浮かべている。
「ああそうだ、今日はもう一人連れて来ていてな。現在グランデルの賓客として迎え入れているスオウ殿だ」
そう言った赤の王の背後、やや離れた場所に居たのは、三日前にグランデル王国を強襲したあの女性だった。そして、王宮庭園を物珍しそうに眺めている彼女の姿を視認した瞬間、少年は珍しく驚きを表情に出した。
「お、お師匠様!?」
滅多にない少年の大きな声に、赤の王と金の王がやや目を開く。そんな中、少年へと顔を向けた蘇芳は、へぇと声を洩らした。
「金の国の天ヶ谷鏡哉っつってたからもしやとは思ったが、やっぱりお前だったか。暫く見ない内に図体だけはまあまあ成長したな」
そう言いながらすたすたとやってきた蘇芳が、国王二人に許可を取ることなく椅子を引いて着席する。そしてそのまま彼女は、テーブルの上の焼き菓子を掴んで無造作に口に放り込んだ。
「え、あ、あの、お師匠様、ちょっと、ぶ、無礼なの、では、」
「あぁ? 良いんだよ。アタシは賓客だからな。接待される謂れはあっても怒られる謂れはない」
やはり自分で勝手に紅茶を注いでぐいっと飲んだ彼女は、ギルヴィスに向かってティーカップを振った。
「紅茶も悪くはないんだが、酒の方が良いな。用意してくれ」
不遜が過ぎる態度に、さすがのギルヴィスも一瞬呆気に取られてしまったが、それでもさすがは一国の王といったところだろうか。彼はすぐに柔らかい微笑みを浮かべて卓上のベルを鳴らし、やってきた侍女に上質な酒を用意するようにと告げた。
「すまない、ギルヴィス王。スオウ殿はどうにも自由なお方でな」
こそっとそう謝罪してきた赤の王に、ギルヴィスは首を横に振った。
「いいえ。グランデル王国の賓客であれば、我が国の賓客も同然ですから」
どうやら金の王に怒る様子はなく、周囲の近衛兵たちも目を剥いたようではあったが、手を出す気はないようである。しかし、少年の方は落ち着いてなどいられなかった。
「お、お師匠様、も、もう少し、遠慮を、」
「うるせぇなぁ。お前はいつから師匠に指図できるほど偉くなったんだ? ん?」
「え、ええ……」
青褪めた少年がわたわたしていると、その隣に着席した赤の王がその頭を撫でてきた。恐らく赤の王本人は落ち着かせようとしたのだろうが、突然触れられた少年は驚いてびくっと肩を跳ねさせたので、逆効果である。
だがそんなことは気にしない赤の王は、少年の頭を撫でたまま口を開いた。
「まさかキョウヤがスオウ殿と知り合いだとは思わなかった。一体どういう関係だ?」
「え、あ、えっと、……お師匠様は、僕に刺青を教えてくれた、先生、です」
「ほう」
少し驚いた顔をした赤の王に、蘇芳が肩を竦める。
「つっても世話をしたのは数年だけどな。死にかけのところを拾って、生きる上での最低限を仕込んでほっぽり出したから、会うの自体……、…………何年ぶりだ?」
首を傾げた蘇芳に、少年が小さく声を出す。
「五年ぶりです」
「ああ、そんなもんか」
大して興味がなさそうに言った蘇芳が、女官の運んだ酒をぐいっと煽った。酒瓶から直接呑むのはどうなんだと思った少年だったが、彼女に何を言ったところで無駄なのはよく判ったので、そっと目を逸らすだけに留めた。
「なるほど、つまりスオウ殿は、キョウヤの命の恩人なのだな」
確認するように見て来た赤の王に、少年がこくりと頷く。
「お師匠様が、ひとりでもやっていけるようにって、僕に刺青を教えてくれたんです。あのお店も元々はお師匠様のお家だったんですけど、貸して貰いました」
「まあ長生きしてる分、拠点なら至るところに持ってるからな。ひとつくらいは良いさ」
そう言った蘇芳が、また酒を煽る。どうにもお茶会とは言い難い光景になってきたように思えるのは、少年の気のせいではないだろう。
蘇芳の豪快な飲みっぷりにやや気圧されていたギルヴィスが、しかし、と言って赤の王を見た。
「キョウヤさんの方は判りましたが、ロステアール王の方は、何故スオウさんを賓客としてお迎えになったのです? キョウヤさんとの関係はご存じなかったようですし、別件で何かあったのですよね?」
その当然の疑問に、赤の王はにこりと笑って返した。
「スオウ殿は、グランデルの国境近辺一帯を破壊せんと送られてきた帝国の刺客でな。ちょうど三日前に私と死闘を繰り広げたところだ」
なんでもないことのようにさらっと言ってのけた赤の王に、少年は真っ青になって目を剥き、金の王は飲んでいた紅茶を喉に詰まらせて咳き込んだ。
「あ、貴方、お師匠様と戦ったんですか!?」
思わずといった風に叫んだ少年に、赤の王が不満そうな顔をする。
「敬語はやめてくれと言ったはずだぞ、キョウヤ」
「え、あ、ああ、ごめんなさい。って、そうじゃなくて、お師匠様はとても強かったでしょう!? 貴方、怪我とかは大丈夫なの!?」
顔面蒼白でそう言った少年に、一瞬きょとんとした顔をした赤の王が、次いでやたらと甘ったるく蕩けたような笑みを浮かべる。
「そうか、心配してくれるか」
そう言って少年の方に両手を伸ばした王は、そのまま子猫にするような気軽さで、ひょいっと少年を抱き上げた。ひえっと小さな悲鳴が少年の喉から漏れたが、そんなことはお構いなしに横抱きにした彼を膝の上に乗せた王は、愛おしげに少年の頭を撫でる。
「キョウヤは優しい子だな」
やはり甘ったるい声でそう言った王が、少年の髪やら頬やらにキスを落とした。人目というものをまったく気にしないその行動に、少年は最終的に泣きそうになっていたのだが、やはり王が気にした様子はない。
焼き菓子を口に詰めながらそんな様を眺めていた蘇芳は、どこか感心したような表情を浮かべた。
「へぇ。お前、本当に王様と付き合ってんだな」
「ち、ちが、」
違うんです。そんな事実はないんです。
そう言いたかったのだが、赤の王の唇に自分のそれを塞がれてしまって、後の言葉は声にならなかった。
そんな中、ようやく呼吸を落ち着けたらしい金の王が、蘇芳を見る。
「あの、貴女が帝国の刺客というのは本当ですか……?」
ここで赤の王に話を振らなかったのは、空気を読んだ結果なのだろう。ギルヴィスは幼くとも聡明な王なのである。
「ああ。そこのとぼけた王様と戦り合ったしな」
「……ロステアール王と、ですか」
短い言葉の裏にある疑念に答えたのは、相変わらず少年を膝の上で愛でている赤の王だった。
「スオウ殿はかなりの強者だぞ。なにせ人ではなく、異なる次元からやってきた上位種だ。お陰でうちの騎士団長の一人が深手を負う羽目になった。今回はなんとか休戦に持ち込むことができたが、あのまま戦いが続けば私も危うかったやもしれんな」
その言葉に、ギルヴィスが目を丸くする。
赤の王は円卓の連合国の中でも随一の戦闘力を誇る王である。その彼がここまで高く評価するということは、蘇芳という女性は紛れもなく脅威であり、そんな彼女を従えている帝国は自分たちが想定しているよりも遥かに恐れるべき存在なのではないだろうか。
しかし、そんな赤の王の言葉に蘇芳はふんと鼻を鳴らした。
「本気を出しもせずによく言う」
「それはお互い様というものだ」
にこりと微笑んだ王に、蘇芳が肩を竦める。
「食えない王様だ」
そういって次の酒に手を伸ばした蘇芳を見てから、ギルヴィスは赤の王へと視線を戻した。
「休戦、というのは?」
「詳しいことは後日、円卓会議にて話す予定だが、帝国の雇われ兵士だったスオウ殿を私が雇い直した、といったところだろうか。故に、取り敢えずは彼女が敵に回ることはないと見て良いだろう」
「つまり、逆に我らの側についたと?」
それならば僥倖だ、と思ったギルヴィスだったが、赤の王は首を横に振った。
「いや、残念ながら帝国とのいざこざに関しては加担できないと断られてしまった。だから、円卓の連合国全体を雇用主と定めて雇い直すことで、不可侵の契約だけ結んで貰ったのだ」
「……なるほど。スオウさんが雇い主たる我々を害することはないけれど、帝国との戦争において味方になってくれる訳でもない、ということですか」
「そういうことになる」
頷く赤の王に、しかしギルヴィスは内心で首を傾げ、蘇芳へと目を向けた。
「何故我々を助けてはくださらないのですか?」
その問いに、蘇芳は口につけていた酒瓶をどんとテーブルに置いて幼王を見た。
「簡単な話さ、小さな王様。アタシは勝ち目の薄い戦には加担したくないんだよ。まだ死ぬつもりはないからな」
当然のことのようにそう言った彼女に、金の王は険しい表情を浮かべた。
「……円卓の連合国が、帝国に負けると?」
睨むようにして見てきた幼王に、しかし蘇芳は怯まない。
「まあそういうことだな。何か文句でもあるのかい?」
「文句はありません。しかし、我々が帝国に後れを取るという考えの根拠が判らない」
そう言ったギルヴィスを、蘇芳がまじまじと見つめる。
「随分とお綺麗だから飾りみたいな王様かと思っていたが、なかなかどうして芯が強そうな坊ちゃんじゃないか」
感心したように言った蘇芳を、赤の王が咎めるような目で見る。
「スオウ殿。その発言は些か無礼が過ぎる」
暗に謝罪を要求するその声に、蘇芳は素直に応じた。
「確かにそうか。悪かったな」
「いいえ。それよりも、根拠があるのならばお聞かせ願えないでしょうか」
蘇芳の謝罪を静かに受け止めたギルヴィスがそう言えば、蘇芳は頬杖をついて息を吐いた。
「まあ、相手が帝国だけなら、アンタらが負ける可能性はほとんどゼロだろう」
「ならばどうして?」
詰め寄ったギルヴィスに、蘇芳は指先で酒瓶を軽く弾いた。
「あっちには化け物がいるのさ。私やそこの赤い王様も絶対に太刀打ちできないくらい、規格外のやつがね」
「……ロステアール王すら敵わない、化け物……!?」
驚愕したような声でギルヴィスが小さく呟く。一方で、未だに赤の王の膝の上から逃れられないままでいる少年も、驚いて赤の王を見上げた。
赤の王の実力を知っているギルヴィスは勿論のこと、その力の片鱗を見たことがある少年にも、赤の王が太刀打ちできないような状況など考えられなかったのだ。
「……まさか、ドラゴン……?」
思わず少年が呟く。ドラゴンという存在のことはグレイから学んだので、それなりに知っている。そして、赤の王を脅かす存在となると、少年が想像できる範囲ではドラゴンしかいなかった。
しかし、少年のその言葉は赤の王によって否定される。
「それはない。ドラゴンは誇り高い種族だからな。身の程知らずに呼びつけた人間に怒ることはあれ、手助けすることなど有り得ん。仮にドラゴンの召喚がなされていたのだとしたら、その怒りに触れたこの世界は既に滅んでいるさ」
きっぱりと言い切った王に、蘇芳はへぇと呟いた。
「アタシはドラゴンに会ったことがないから知らないが、王様の言葉を信じるんなら、やっぱりあれはドラゴンじゃないんだろうな。アタシが見たあれは、誇りだのを気にするような生き物には見えなかった。どっちかって言うと……」
そこで言葉を切った蘇芳が、何かを思い出すように空を見て目を細めた。
「……気に入った玩具で遊んでいるときの餓鬼に似てる」
呟くように吐き出された言葉に、少年の背筋をぞわりとした何かが這い上がった。
恐らく蘇芳のことをこの場の誰よりも理解しているのは少年だったが、そんな少年ですら、彼女のこんな声は聞いたことがない。そこに含まれていたのは、強者が抱いた恐怖のような何かだ。それは、あの圧倒的な強さを誇る蘇芳ですら畏怖するほどの存在がいるということを示しているに他ならない。
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