4 / 6
よん。
しおりを挟む
「すまんな、ここちょっと今から使うから、あ、清水もすまんな」
え・・・・・・?
「あ、わかりました!」
おおーーーーーーーーー!!!!!
まさかのチャンス到来ではないか!
「失礼しますっ!!!」
人が変わったかのように元気な挨拶をする。
いつもなら、なにするんすかと理由を聞きそうだがそんなことはどうだっていい。千載一遇の願ってもないチャンスを生かすことにだけ集中しよう。
扉を閉める前に、自分自身の緊張を和らげるためにわざとらしく挨拶し、二人で教室を後にする。
迷わず、校門への道筋に足を向ける。そして足を進める。
ところが、隣に彼女がいないことに気づく。
「あれ・・・・・?」
拍子抜けした声を漏らす。
「大丈夫なん・・・・?」
「えっ・・・・ん?」
「だって、トイレ行きたいって・・・・」
不思議そうな表情で彼女はきょとんとしている。
「あっ! えっと・・うん、大丈夫!!なんか治ったわ!笑」
「え?笑」
「うん、なんか立ち上がったら、平気になった!笑」
思いっきり立ちながら黒板を消していたおれは、自信気にいって足を進め始める。
「え・・・・? そうなん?笑 まあ、それなら・・・いいんやけど・・」
彼女は不可解な顔をしながらも、いつでも論破可能なおれに対してこれ以上ツッコむことをせずについてくる。
たしかに彼女がまってくれる可能性もなくはないが、このチャンスを絶対に逃したくないからこそ存在する一切のリスクを消し去りたかった。
夢にも思わなかった。おれは今、彼女と並んで廊下を進んでいる。
しかし、これはあくまで「下駄箱に一緒に向かっている」だけで、一緒に帰っているとは言えない。下駄箱、遅くとも校門にたどりつくまでには、必ず決着をつけなければならない。
「ふう・・・・。」
だがしかし、何を話せばいいのか全くわからない。昨日ユーチューブでみた「女子にしてはいけない行動13選」の知識がかえって裏手に出ているとか、一緒に帰るまでの会話の流れを模索しているとかみたいな理由では、おそらくない。
———————— ただただ純粋に、言葉が出てこない。
日本語禁止でもされてるんかというほどに。
終始前を向き続けていたが、一瞬だけ横をチラ見する。
改めて一緒にいることを再認識し、心拍数がさらに上がり始める。
おれははっきり言って女子と話すことが苦手な訳ではない。てかむしろ得意な部類なのに、どういうわけか彼女を前にすると戦闘力が0になってしまう。
「今日、暑いね・・・・・」
10月下旬なのにも関わらず、流石に耐えられなかったおれは謎のタイミングで沈黙打破の最終手段を使う。
「ね~、ほんまに・・・蒸し暑いって感じよね~」
優しすぎる彼女は、意味不明な発言にも応えてくれる。そして、ニコッとおれの目を見て笑う。
「うんっ!」
本能的に耐えられずに目を逸らす。心拍数がついにレッドゾーンに到達し、鼓動の音が分かりやすく聞こえる。
そこそこの音量でイヤホンしながら電車に乗ってる時に、流石に周りに聞こえてるんじゃないのかと不安になってくる状況とすごい似てる。
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
最後の手段を使ってしまい、もうなす術もなくなってしまった。本来めちゃくちゃ嬉しいはずなのにこの状況に心身ともに耐えられなくなる。
———————— もう、限界だ・・・・やばい・・・・。
「おお、たくみやん!」
「え?!」
さっきまでうざかったやつの声が天使のごとく前方から聞こえる。
「おお、やぎ!!!どしたん?」
オーバーヒートしかけていたこともあり、空吹かすかのごとく大きな声で答える。
「おお、なんや、お前元気やん笑よかった笑、お、清水も一緒か、ういっす」
「やぎくん!うん!笑」
唯一おれが、こいつに尊敬の念を抱いてる能力をさらっと見せつけられる。
「ふたりは~~~、もう帰り?」
「うん・・・まあ、せやな!」
まだその域に達することができていない状況なので、曖昧な返事をする。
だがしかし、ここで疑問が生まれる。
(こいつなんでわざわざ向こうから来たんだ? 帰り逆やろ・・・)
すると、丁度血流がよくなっていた分頭が冴えていたこともあり、すぐにことのやばさに気づく。
奇跡に奇跡がつながり、やっとの思いでこじつけたこの幸せが、一気にぶち壊される気がして、冷や汗が止まらなくなる。
やべえぞこれ・・・・。
「ん・・・・てかっ、やぎはなにしとん?!!」
言葉の意味なんてまるでない、むしろどうでもいい。ただ、「味方」には分かってほしい意味を込めた暗号を送る気持ちで訴えかける。
え・・・・・・?
「あ、わかりました!」
おおーーーーーーーーー!!!!!
まさかのチャンス到来ではないか!
「失礼しますっ!!!」
人が変わったかのように元気な挨拶をする。
いつもなら、なにするんすかと理由を聞きそうだがそんなことはどうだっていい。千載一遇の願ってもないチャンスを生かすことにだけ集中しよう。
扉を閉める前に、自分自身の緊張を和らげるためにわざとらしく挨拶し、二人で教室を後にする。
迷わず、校門への道筋に足を向ける。そして足を進める。
ところが、隣に彼女がいないことに気づく。
「あれ・・・・・?」
拍子抜けした声を漏らす。
「大丈夫なん・・・・?」
「えっ・・・・ん?」
「だって、トイレ行きたいって・・・・」
不思議そうな表情で彼女はきょとんとしている。
「あっ! えっと・・うん、大丈夫!!なんか治ったわ!笑」
「え?笑」
「うん、なんか立ち上がったら、平気になった!笑」
思いっきり立ちながら黒板を消していたおれは、自信気にいって足を進め始める。
「え・・・・? そうなん?笑 まあ、それなら・・・いいんやけど・・」
彼女は不可解な顔をしながらも、いつでも論破可能なおれに対してこれ以上ツッコむことをせずについてくる。
たしかに彼女がまってくれる可能性もなくはないが、このチャンスを絶対に逃したくないからこそ存在する一切のリスクを消し去りたかった。
夢にも思わなかった。おれは今、彼女と並んで廊下を進んでいる。
しかし、これはあくまで「下駄箱に一緒に向かっている」だけで、一緒に帰っているとは言えない。下駄箱、遅くとも校門にたどりつくまでには、必ず決着をつけなければならない。
「ふう・・・・。」
だがしかし、何を話せばいいのか全くわからない。昨日ユーチューブでみた「女子にしてはいけない行動13選」の知識がかえって裏手に出ているとか、一緒に帰るまでの会話の流れを模索しているとかみたいな理由では、おそらくない。
———————— ただただ純粋に、言葉が出てこない。
日本語禁止でもされてるんかというほどに。
終始前を向き続けていたが、一瞬だけ横をチラ見する。
改めて一緒にいることを再認識し、心拍数がさらに上がり始める。
おれははっきり言って女子と話すことが苦手な訳ではない。てかむしろ得意な部類なのに、どういうわけか彼女を前にすると戦闘力が0になってしまう。
「今日、暑いね・・・・・」
10月下旬なのにも関わらず、流石に耐えられなかったおれは謎のタイミングで沈黙打破の最終手段を使う。
「ね~、ほんまに・・・蒸し暑いって感じよね~」
優しすぎる彼女は、意味不明な発言にも応えてくれる。そして、ニコッとおれの目を見て笑う。
「うんっ!」
本能的に耐えられずに目を逸らす。心拍数がついにレッドゾーンに到達し、鼓動の音が分かりやすく聞こえる。
そこそこの音量でイヤホンしながら電車に乗ってる時に、流石に周りに聞こえてるんじゃないのかと不安になってくる状況とすごい似てる。
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
最後の手段を使ってしまい、もうなす術もなくなってしまった。本来めちゃくちゃ嬉しいはずなのにこの状況に心身ともに耐えられなくなる。
———————— もう、限界だ・・・・やばい・・・・。
「おお、たくみやん!」
「え?!」
さっきまでうざかったやつの声が天使のごとく前方から聞こえる。
「おお、やぎ!!!どしたん?」
オーバーヒートしかけていたこともあり、空吹かすかのごとく大きな声で答える。
「おお、なんや、お前元気やん笑よかった笑、お、清水も一緒か、ういっす」
「やぎくん!うん!笑」
唯一おれが、こいつに尊敬の念を抱いてる能力をさらっと見せつけられる。
「ふたりは~~~、もう帰り?」
「うん・・・まあ、せやな!」
まだその域に達することができていない状況なので、曖昧な返事をする。
だがしかし、ここで疑問が生まれる。
(こいつなんでわざわざ向こうから来たんだ? 帰り逆やろ・・・)
すると、丁度血流がよくなっていた分頭が冴えていたこともあり、すぐにことのやばさに気づく。
奇跡に奇跡がつながり、やっとの思いでこじつけたこの幸せが、一気にぶち壊される気がして、冷や汗が止まらなくなる。
やべえぞこれ・・・・。
「ん・・・・てかっ、やぎはなにしとん?!!」
言葉の意味なんてまるでない、むしろどうでもいい。ただ、「味方」には分かってほしい意味を込めた暗号を送る気持ちで訴えかける。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
夫以上の男、妻以上の女
ヘロディア
恋愛
不倫相手とデートに行く主人公。
その相手も既婚者で、かなり質の悪い行為とは知っていたものの、どうしてもやめられない。
しかしある日、とうとう終わりを告げる出来事が起きる…
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?
ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。
しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。
しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…
両隣から喘ぎ声が聞こえてくるので僕らもヤろうということになった
ヘロディア
恋愛
妻と一緒に寝る主人公だったが、変な声を耳にして、目が覚めてしまう。
その声は、隣の家から薄い壁を伝って聞こえてくる喘ぎ声だった。
欲情が刺激された主人公は…
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる