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深草にグイグイと背中を押され、浴室に入れられる。結構この子力強いんだけど…。まぁ実際、少し汗もかいていたのでお風呂には入りたかったのでおとなしく従う。浴室の扉を閉めると、扉の向こう側から深草の
「お着替えの方、こちらにおいて置きますねー!」
という声が聞こえた。
湯船は広く、東京の自宅のマンションのユニットバスとは違ってのびのびと手足が伸ばせた。薬草湯のようで、お湯の中に乾燥させた植物のようなものが入った布の袋が浮かんでいた。
さっぱりして脱衣所へ出て体を拭き、深草が置いていった服を手にとった。白地に紺色の水仙模様が染めてある浴衣だった。下着も手に取ってみる。…銀色のレースがついた、ゴージャスな感じの白いブラとパンツの上下セット。まさかと思って見につけてみると、サイズぴったり。
…この短い時間でどうやってサイズ測って用意したんだろう…
考えるだけでも恐ろしい。
浴衣なんて夏祭りの時に来たことがあるくらいだったが、何とか思い出しながら帯を結んだ。
脱衣所から出て先ほどの部屋に戻ると、深草が待ち構えていた。部屋の奥をちらと見ると、皺一つ無く敷かれた厚手の高級そうな布団が2組。
…キスされた時から思ってたけど、この神は色々と手早すぎる…。なんとしてでも貞操は守りきらなければ。改めて心に堅く誓う。
私は深草に帯やおはしょり、襟をテキパキと直され、髪の毛に椿油を塗られ軽くまとめられた。
「ーいやぁ、こんなに美しい女性を手に入れなさるとはさすが玉藻様です!仕える身として鼻が高いです!!」
…だから別にそんな美人でもないんだけど…。
深草にされるがままに身支度をしていると、部屋の障子がからりと開いた。
「…おぉー、えらい別嬪に磨きがかかって。深草ご苦労さん。下がってええよ。」
真打ち登場。深草はピッと背筋を伸ばして、
「…はっ」
と返事をするとポン、という音と共に姿を眩ました。
「……」
うわ、2人っきり…。
せめてなんとか時間を稼ごうと声をあげる。
「あ、あの!私絶対に…その、そういうこと、しませんから!てゆーか、まだ人間の彼氏すらできたことないんですよ!まっぴらゴメンですよ神様だか何だか知りませんけど!ほんといい迷惑です!」
最後の方は、いきなりこんなところへ連れてこられてしまったことへの怒りと悲しみとやるせなさの感情がごちゃまぜになって、涙と嗚咽混じりの声しか出てこなかった。それでもなお声を上げようとすると、
「…そんなに僕とするのが嫌なんか…?」
気がつくとギュッと抱きしめられていた。そしてそのまま布団の上に押し倒される。
「何するんですかっ…嫌っ」
必死になって玉藻の体を押し返そうと、ジタバタと暴れる。しかし私の抵抗も虚しく、両手はしっかりと床に抑えつけられてしまった。力を込めて振り払おうとするが、この細い体のどこにそんな力があるのかビクともしない。
最後の抵抗と、精いっぱい玉藻を睨みつけて大声を出そうとした。
「…んんんっ」
すると玉藻が間髪入れず覆いかぶさってきて、私の唇に自身の唇を重ねた。声を出そうと半開きになっていた私の口内に、玉藻の人より長い、ぬるりとした舌が侵入してきた。
「お着替えの方、こちらにおいて置きますねー!」
という声が聞こえた。
湯船は広く、東京の自宅のマンションのユニットバスとは違ってのびのびと手足が伸ばせた。薬草湯のようで、お湯の中に乾燥させた植物のようなものが入った布の袋が浮かんでいた。
さっぱりして脱衣所へ出て体を拭き、深草が置いていった服を手にとった。白地に紺色の水仙模様が染めてある浴衣だった。下着も手に取ってみる。…銀色のレースがついた、ゴージャスな感じの白いブラとパンツの上下セット。まさかと思って見につけてみると、サイズぴったり。
…この短い時間でどうやってサイズ測って用意したんだろう…
考えるだけでも恐ろしい。
浴衣なんて夏祭りの時に来たことがあるくらいだったが、何とか思い出しながら帯を結んだ。
脱衣所から出て先ほどの部屋に戻ると、深草が待ち構えていた。部屋の奥をちらと見ると、皺一つ無く敷かれた厚手の高級そうな布団が2組。
…キスされた時から思ってたけど、この神は色々と手早すぎる…。なんとしてでも貞操は守りきらなければ。改めて心に堅く誓う。
私は深草に帯やおはしょり、襟をテキパキと直され、髪の毛に椿油を塗られ軽くまとめられた。
「ーいやぁ、こんなに美しい女性を手に入れなさるとはさすが玉藻様です!仕える身として鼻が高いです!!」
…だから別にそんな美人でもないんだけど…。
深草にされるがままに身支度をしていると、部屋の障子がからりと開いた。
「…おぉー、えらい別嬪に磨きがかかって。深草ご苦労さん。下がってええよ。」
真打ち登場。深草はピッと背筋を伸ばして、
「…はっ」
と返事をするとポン、という音と共に姿を眩ました。
「……」
うわ、2人っきり…。
せめてなんとか時間を稼ごうと声をあげる。
「あ、あの!私絶対に…その、そういうこと、しませんから!てゆーか、まだ人間の彼氏すらできたことないんですよ!まっぴらゴメンですよ神様だか何だか知りませんけど!ほんといい迷惑です!」
最後の方は、いきなりこんなところへ連れてこられてしまったことへの怒りと悲しみとやるせなさの感情がごちゃまぜになって、涙と嗚咽混じりの声しか出てこなかった。それでもなお声を上げようとすると、
「…そんなに僕とするのが嫌なんか…?」
気がつくとギュッと抱きしめられていた。そしてそのまま布団の上に押し倒される。
「何するんですかっ…嫌っ」
必死になって玉藻の体を押し返そうと、ジタバタと暴れる。しかし私の抵抗も虚しく、両手はしっかりと床に抑えつけられてしまった。力を込めて振り払おうとするが、この細い体のどこにそんな力があるのかビクともしない。
最後の抵抗と、精いっぱい玉藻を睨みつけて大声を出そうとした。
「…んんんっ」
すると玉藻が間髪入れず覆いかぶさってきて、私の唇に自身の唇を重ねた。声を出そうと半開きになっていた私の口内に、玉藻の人より長い、ぬるりとした舌が侵入してきた。
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