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あまりにも現実離れした話の内容に私はポカンとアホ面を晒していた。
ーいやいやいや、この平成の世の中に安倍晴明て。神様て。少年誌のバトル漫画の読みすぎでしょうよ。
信じない。信じないぞ私は。
そんなことを思っていると、その間にも青年は言葉を続ける。
「ーやからな、君ぃ、数年前に京都来たことあるやろ?」
…なんで知ってるんですか。
「そん時にやな、こいつら全員から君を嫁にしたいという話がありまして。」
…神様なのにこいつら呼ばわりなんですか。
「まぁこいつらもいわゆるお年頃ってやつやし?僕もええと思ってたんやけどな、なんぼ話し合っても誰の嫁になるか決まらんねん」
「…はぁ」
「そこで賢い僕は名案を考えついたんよ」
…この自称安倍晴明なんかちょっとイラつくんですけど。
「こいつら最近ぜーんぜん自治の仕事もせぇへんし、ここは僕が審判になって嫁取り合戦してもらおーと思ったんや!」
…もう帰ってもいいですかね…
「ここは京都!神々や妖怪、人にあらざるものがひしめき合い住まう土地や!強いもんが土地も納めて嫁も手にする!弱者は滅びる!それがルールやっ」
…なんか熱く語り出した…
「…あの、もういいですか…?
私東京に帰らなくちゃ…。どうもありがとうございました…」
そさくさと本殿を後にしようと木の扉に手をかける。
「…帰れる訳ないやん」
「…!?」
自称安倍晴明の声のトーンが少し低くなるのが聞こえると同時に、自分が手をかけていた木の扉の温度が一気に上昇したのなわかった。
「あっつ!!!」
思わず手を離す。
ーバチバチっ
白い煙が上がり、閃光が扉に走る。
ーどうして?!ただの木の扉なのに!!
突然のことに驚いていると、自称安倍晴明の声が後ろから聞こえてきた。
「…結界爆符の十式や、君は東京には帰れへんし帰る場所もあらへん」
「…どういうことですか」
「…神に愛されるってのはな、そういうことなんや。残念やけど。こっち側の世界に嫌でも引きずりこまれる。神が無意識に君の世界のもんに嫉妬して、君と周りとの繋がりを全て断ち切ってしまうねん。」
「…そんな…」
…なんか話が重くなってきた。この安倍晴明が本物だとすれば、私はずっと日常に帰ることは出来ないのか…??まだ信じたくないけど、さっきの術のようなものからしておそらく本当のようだ。
「そんな!困ります!何とかして…何とかして元の生活に戻る方法は無いんですか…?」
「君も諦めが悪いなぁ」
「…お願いします!」
「…まぁ無い事も無いんやけどな」
晴明はぽりぽりと頬を掻きながらそう言った。
「…本当ですか?!」
*ここまで神達空気。
ーいやいやいや、この平成の世の中に安倍晴明て。神様て。少年誌のバトル漫画の読みすぎでしょうよ。
信じない。信じないぞ私は。
そんなことを思っていると、その間にも青年は言葉を続ける。
「ーやからな、君ぃ、数年前に京都来たことあるやろ?」
…なんで知ってるんですか。
「そん時にやな、こいつら全員から君を嫁にしたいという話がありまして。」
…神様なのにこいつら呼ばわりなんですか。
「まぁこいつらもいわゆるお年頃ってやつやし?僕もええと思ってたんやけどな、なんぼ話し合っても誰の嫁になるか決まらんねん」
「…はぁ」
「そこで賢い僕は名案を考えついたんよ」
…この自称安倍晴明なんかちょっとイラつくんですけど。
「こいつら最近ぜーんぜん自治の仕事もせぇへんし、ここは僕が審判になって嫁取り合戦してもらおーと思ったんや!」
…もう帰ってもいいですかね…
「ここは京都!神々や妖怪、人にあらざるものがひしめき合い住まう土地や!強いもんが土地も納めて嫁も手にする!弱者は滅びる!それがルールやっ」
…なんか熱く語り出した…
「…あの、もういいですか…?
私東京に帰らなくちゃ…。どうもありがとうございました…」
そさくさと本殿を後にしようと木の扉に手をかける。
「…帰れる訳ないやん」
「…!?」
自称安倍晴明の声のトーンが少し低くなるのが聞こえると同時に、自分が手をかけていた木の扉の温度が一気に上昇したのなわかった。
「あっつ!!!」
思わず手を離す。
ーバチバチっ
白い煙が上がり、閃光が扉に走る。
ーどうして?!ただの木の扉なのに!!
突然のことに驚いていると、自称安倍晴明の声が後ろから聞こえてきた。
「…結界爆符の十式や、君は東京には帰れへんし帰る場所もあらへん」
「…どういうことですか」
「…神に愛されるってのはな、そういうことなんや。残念やけど。こっち側の世界に嫌でも引きずりこまれる。神が無意識に君の世界のもんに嫉妬して、君と周りとの繋がりを全て断ち切ってしまうねん。」
「…そんな…」
…なんか話が重くなってきた。この安倍晴明が本物だとすれば、私はずっと日常に帰ることは出来ないのか…??まだ信じたくないけど、さっきの術のようなものからしておそらく本当のようだ。
「そんな!困ります!何とかして…何とかして元の生活に戻る方法は無いんですか…?」
「君も諦めが悪いなぁ」
「…お願いします!」
「…まぁ無い事も無いんやけどな」
晴明はぽりぽりと頬を掻きながらそう言った。
「…本当ですか?!」
*ここまで神達空気。
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