厄師

1990年代にインターネットが台頭してから幾許かの時が流れ、SNSが普及し始めた。
そこから人々は様々な情報に触れやすくなっていった訳だが、その中でもとりわけ、根も葉もない様なゴシップやら噂やらは瞬く間に、まるでヒレを得た魚のようにネットの大海に拡散されていくのがお決まりとなりつつあった。

◯◯みたいだよ
◯◯らしい

人はどう進化しようが噂好きというものは無くならないようだ。

そんな"しょうもない噂"に紛れて一つ、最近どこから流れ出たか、囁かれ出したものがあった。

「金を払えば相手に厄(わざわい)を降り掛からせる事ができる"らしい"」

「厄師(やくし)なんて怪異がある"みたい"」

そんな噂が、静かに広がっている。





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