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しおりを挟むその日はご飯らしきものは出してもらえず、うっすいスープみたいなものとパンを少しもらった。
母親は
「あんたは我が家の労働力なんだから!
この恩を忘れてくれるなよ!」と言っていたが
母親や姉、もうすぐ働きに行くらしい兄が僕のお金で美味しそうなスープとパンを食べてるところを見ると恩を感じるより、飢えを感じる。
この体、僕が転生する前はどんな気持ちでこの家にいたんだろうか。
まぁ、そんな事考えた所で現状は何も変わらないんだけどね。
僕はゆっくりと小さいパンを咀嚼し、スープを飲み、まだお腹が空いたよー!と訴えるお腹の虫を無視して寝床につく。
藁で作られた(藁が集められただけの束)寝床は意外に暖かい。
明日からは自分の食料を確保しようと心に決めて、僕は目蓋を下ろした。
**
寝たら次は朝が来る。
僕はこれが普通だと本気で思っていました。
そして、この常識を今覆されました。
目の前には大きな扉。ピタリと隙間なく閉ざされた扉は押してみてもびくともしない。
手の届かないような場所に設置されている小さな窓から、オレンジ色の光が差し込み、部屋の中を照らす。
あたりを見渡すと、周りにはバケツらしきものや、使い終わった魔道具なんかがあった。
どうやらここはゴミ倉庫らしい。
何でこんなところにいるのか。どうしてもう夕方なのか。何もわからない。
扉に突進すれば…いや、僕の家には倉庫はないから、ここって他の家だろう。それはよくないな、
とりあえず、突進を最終手段として残して置きつつ、脱出を試みるとしますか!
転生者、倉庫の脱出を試みます!
「まずは、あの窓に届くような土台だな。」
幸い、未だに細い、この体は小さい窓でも突っかかる事なく抜けて行けそうだ。
ただ届かない。
自分の身長の倍くらいありそうな高さにある窓を見上げた。
暗くなる前に出ないと!
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