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後日談.......のようなもの
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「そう言えばさ......」
ここは、コンスタンツィア帝国皇宮の応接室。
皇太子、皇太子妃にお呼ばれしてのお茶会。レイトン先生も転移で参加。はい、チーム青薔薇の定例ミーティングでっす。
「鬼島さんだけ無事ってズルくないっすか?」
アントーレこと二宮が口を尖らせる。うちらの転生の元凶、隣の二課長。この恨み晴らさずおくべきか......って恨んでませんけどね、今さらだし。
「無事じゃねぇだろ、たぶん」
とレイトン先生の課長。エメルさんの宮下さんが頷く。
「過労死して、転移してたんじゃないの?」
してた?過去形ですか。
「ダルニア国王をそそのかしてた宰相、鬼島さんに似てたもん」
宮下さん=エメルさんにバッサリやられたあの人ですか。なんか鬼気迫ってたって噂ですけど、納得です。可愛い二宮の仇ですもんね。愛されてんなぁ、二宮。
「そう言えば、また子ども出来たんだって?何人目だ?」
「三人目です.....」
課長に尋ねられて、顔真っ赤なアントーレこと二宮。お盛んだねぇ。
「逆が良かったのに......」
って、お前が宮下さんを押し倒せるわけがないだろ。でも幸せそうで良かったじゃん。
「そう言うお前はどうなんだよ、須藤?」
「いや、まだ俺は一人で充分です」
思ってたより大変なのよ、子育て。大きな子どもがひとり居るし。本当、手が掛かるんだわ、マグリット。子どもと俺を取り合うし......。男っていつまで経っても子どもよね?!
と、転生者達が呑気にお茶を啜っている頃......。
日本の某地方都市の某社、社長室。
「社長、まぁたそのゲームいじってんすか?」
「うん?」
とにっこり笑う社長。
「だってさ、彼らの血と汗の結晶だろ?」
「そう言って、もう原型無いじゃないですか?」
眉をひそめる秘書にしれっと言う社長。
「彼らには断罪だの、ざまあだの似合わないだろ。暑苦しいくらいの愛と友情の物語のほうが似合ってる」
「まぁそうですけど......」
「村上君の机に二宮君からの郵便が残ってて良かったよ。鬼島君は追及出来なかったけど」
「自分から退職しましたからね」
チラッと秘書に目線を投げる社長。
「自殺したって聞いたけど.....」
「表沙汰になれば刑事事件ですからね。怖かったんでしょ」
「あの先生も男を見る目無かったよな......。開発中止になって一番喜ぶのはあいつだし、前社長も不祥事で退任だ。......私は大事な部下を四人も失った」
コトリ、と秘書がお茶を置いた。
「でも、社長自らBL育成ゲームに作り直して、販売されるとは.....」
「部長時代の話だろ、それは......私の力不足だったんだ」
社長は、机の端に置かれたフォトスタンドに目を向けた。
「彼らの成長が見れなかったからね、気休めだよ」
満開の桜の下ではしゃぐ四人の元社員達にほんの少し笑いかける。
「君達の『奇跡の青薔薇』は大ヒットになったよ。見てるかい?」
よく晴れた夏の日のことでした。
ー今度こそ、おしまいっ!
ここは、コンスタンツィア帝国皇宮の応接室。
皇太子、皇太子妃にお呼ばれしてのお茶会。レイトン先生も転移で参加。はい、チーム青薔薇の定例ミーティングでっす。
「鬼島さんだけ無事ってズルくないっすか?」
アントーレこと二宮が口を尖らせる。うちらの転生の元凶、隣の二課長。この恨み晴らさずおくべきか......って恨んでませんけどね、今さらだし。
「無事じゃねぇだろ、たぶん」
とレイトン先生の課長。エメルさんの宮下さんが頷く。
「過労死して、転移してたんじゃないの?」
してた?過去形ですか。
「ダルニア国王をそそのかしてた宰相、鬼島さんに似てたもん」
宮下さん=エメルさんにバッサリやられたあの人ですか。なんか鬼気迫ってたって噂ですけど、納得です。可愛い二宮の仇ですもんね。愛されてんなぁ、二宮。
「そう言えば、また子ども出来たんだって?何人目だ?」
「三人目です.....」
課長に尋ねられて、顔真っ赤なアントーレこと二宮。お盛んだねぇ。
「逆が良かったのに......」
って、お前が宮下さんを押し倒せるわけがないだろ。でも幸せそうで良かったじゃん。
「そう言うお前はどうなんだよ、須藤?」
「いや、まだ俺は一人で充分です」
思ってたより大変なのよ、子育て。大きな子どもがひとり居るし。本当、手が掛かるんだわ、マグリット。子どもと俺を取り合うし......。男っていつまで経っても子どもよね?!
と、転生者達が呑気にお茶を啜っている頃......。
日本の某地方都市の某社、社長室。
「社長、まぁたそのゲームいじってんすか?」
「うん?」
とにっこり笑う社長。
「だってさ、彼らの血と汗の結晶だろ?」
「そう言って、もう原型無いじゃないですか?」
眉をひそめる秘書にしれっと言う社長。
「彼らには断罪だの、ざまあだの似合わないだろ。暑苦しいくらいの愛と友情の物語のほうが似合ってる」
「まぁそうですけど......」
「村上君の机に二宮君からの郵便が残ってて良かったよ。鬼島君は追及出来なかったけど」
「自分から退職しましたからね」
チラッと秘書に目線を投げる社長。
「自殺したって聞いたけど.....」
「表沙汰になれば刑事事件ですからね。怖かったんでしょ」
「あの先生も男を見る目無かったよな......。開発中止になって一番喜ぶのはあいつだし、前社長も不祥事で退任だ。......私は大事な部下を四人も失った」
コトリ、と秘書がお茶を置いた。
「でも、社長自らBL育成ゲームに作り直して、販売されるとは.....」
「部長時代の話だろ、それは......私の力不足だったんだ」
社長は、机の端に置かれたフォトスタンドに目を向けた。
「彼らの成長が見れなかったからね、気休めだよ」
満開の桜の下ではしゃぐ四人の元社員達にほんの少し笑いかける。
「君達の『奇跡の青薔薇』は大ヒットになったよ。見てるかい?」
よく晴れた夏の日のことでした。
ー今度こそ、おしまいっ!
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爆笑しました😂有無を言わさず拉致られてってもう笑うしかありません。😂🤣😂
でも全員幸せで良かったです🥰
お読みいただきありがとうございます(*^^*)
きっと今頃、皇太子宮で悪い話してるかもです♪<ヤンデレ・ブラコン・コンビ
ありがとうございました(*^^*)💕
完結おめでとうございます。
アントーレがお嫁さんで子沢山っていうのが、1番の衝撃でした(笑)
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お読みいただきありがとうございました(*^^*)
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました(*^^*)💕
完結おめでとうございます!
すごく面白かったです。
やっぱり宮下女史カッコいい…。ポンコツ王子が幸せになってくれて良かったです。もちろん、ラフィもですが、ポンコツ王子が気になってしかたなかったもので(笑)
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すてきな作品ありがとうございます。
お読みいただきありがとうございました(*^^*)
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ありがとうございました(*^^*)💕