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俺達はチームだ!

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 課長(レイトン先生)達と別れた俺は摩りきれた絨毯の敷かれた廊下をまっすぐ奥へと進んだ。

 そして一枚の扉の前で足を止めた。大きく息を吐き、二回、扉をノックする。

「ラフィアンだけど、入ってもいいか、アントーレ」

「どうぞ.......」

 平静なようでいて、少し震える声が答えた。

 俺は扉を開けて、部屋の中に足を踏み入れた。
 アントーレは窓を背にベッドに座っていた。表情は強い日差しの影になっていて、よく見えない。
 が、俯き加減の面差しが、じっと組んだ手元を見ているのがわかった。やつが困ったり困惑した時の癖だ。俺はさりげない素振りで語りかけた。

「剣の稽古は終わったのか?」

「ついさっき......」

 蜂蜜色の髪が小さく揺れた。
 俺はごくりと唾を飲み、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「教えてくれ。この先のストーリーを。アントーレ......いや、二宮」

 やつの首が上がり、俺をじっと見つめる。眼差しが揺れて今にも泣き出しそうだ。

 俺はこの表情を何回見てきたろうか。自信がなく不安で、だが自負だけは強かった。追及されることをいつもひどく恐がっていた。

「なんのことか......」

 そうやってしらばっくれようとするのも、お前の癖だ。だが、いつも言ってただろう?向きあわなきゃ解決の糸口は見つからない。

「お前を、アントーレを助けたいんだ。そのヒントを持っているのはお前だけなんだ。......お前のストーリーのラスボスは誰なんだ?」

「言っている意味がわからない......」

 アントーレは再び目線を足元に落とした。組んだ手の指先が微かに震えている。
 俺は意を決して言った。

「隠さないでくれ、二宮。俺達はチームだったろう?ずっと......フォローし合ってきたじゃないか」

 アントーレは、二宮は口を開こうとしなかった。
が、ひとつの足音がツカツカと歩み寄り、アントーレつまりは二宮の前に仁王立ちした。

「エメル......」

 エメルの宮下さんはその言葉には答えず、アントーレの襟首を引っ掴んだ。宮下さん、まだ言質取れてませんよ。

 けれど、彼(彼女)は、構わず、アントーレに向かって叫んだ。

「なんで死んだのよ!あんなに、辛い事があったら言ってって、言ったじゃない!」

 その目からは大粒の涙がぼろぼろと零れ落ちていた。
 アントーレ、いや二宮の頬を一筋、二筋、滴が伝った。

「宮下.....さん......」

 やっぱりアントーレは二宮だった。ほっとして振り向いた後ろで、レイトン先生の姿の課長が静かに頷いた。

「お前はひとりじゃない。何度も言ったろう。仲間を信じろ。少なくとも......」

 レイトン先生の課長がニッと笑った。

「部下のケツ拭くのが俺の仕事だ。前世からな」

 俺も大きく頷いた。

「ひとりで潰れるな。ちゃんとフォローさせろ」

「課長......宮下主任さん須藤先輩さん

 アントーレの二宮は目を見張り、涙でぐちゃぐちゃな顔で、笑った。




 課長、いやレイトン先生に外界遮断の魔法を施してもらって、俺達はアントーレに転生した二宮と向き合った。
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