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奇天烈パーティー、発進?!
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私達の奇妙奇天烈なパーティーが森に入ること約一日。
ーお腹空いたぁ~ー
と騒ぐ私達に
ーちっ、しょうがないなぁ...ー
ブツクサ言いながら、ルノアが魔獣を狩ってきてくれて、魔法で火を起こしてじゅわじゅわと焼いてくれる。傍らで、
「スープも欲しいですよね」
とボーゲさんがバッグから鍋を取り出す。
「用意いいのね」
と感心すると、調味料と野菜も出てきた。
「市場で買っておいたんですよ」
準備いいのね、ボーゲさん。そう言えばこのパーティーで唯一の草食獣人。サイラったら草食獣人のふりしてるけど、あんたはカワウソじゃん。肉食系じゃん。
「どうぞ.....」
と差し出してくれた器のスープが、これがまたコクがあって美味い。
「美味しい。ボーゲさん、料理上手なんですね」
と褒めるとサイラが胸を張って代弁。
「そこがボーゲのいいところよ。料理出来る男子っていいよね。厨房男子モテるよね」
うん、確かに前世でも料理の出来る男子モテてたな。あいつが作ってくれた雑炊美味しかったな。......女子にモテても嬉しくなさそうだったけど。
ついボーっとしてたら、ルノアが変な顔をして見ていた。そうしみじみ見ないでよ。でも、なんかなぁ......ちょっとした表情とか似てるんだよね、あいつに。
「今日は出て来なさそうですね、もう寝ますか」
と食事の終わったところでボーゲさんが言う。え、野宿?野宿するの?...まぁ獣体とれば寒くはないけど.......とこれまたバッグからテントを引っ張り出し、器用に組み立てていく。しかも、ふたつ。次から次に色んなものが出てきてド○えもんのポケットみたい。
「すげぇ......」
とルノアも目をまん丸。
「あぁ、異次元に繋げて収納してるんですよ。何があるかわからないし、大事なグッズは持ち歩きたいから」
さすがオタク。ド○えもんならぬオタえもんですね。極めてますね。
なんだかんだ言いながら、私とサイラ、ルノアとボーゲさんがそれぞれのテントに収まって横になった。サイラが内緒で教えてくれたんだけど、ボーゲさんは、ずっとあのバッグを抱えて放浪してたんだって。で、サイラんちの近くでチンピラに絡まれてたのをサイラが兵隊さん呼んでチンピラを追い払ってもらって保護したんだって......。
ーたぶんねぇ.....前世からオタクだったから、オタ仲間が欲しかったんだと思うの。助けてあげてすぐに、何か芸見せてって言ったら、迷わずオタ芸だったものー
はい、転生確定ですね。オタ芸は前世ニッポンの固有の文化ですからね。
ー早く思い出せるといいねぇ......ー
ーそうねぇ......ー
サイラにもこの世界で初めて会ったオタ仲間、ジャンル違ってもお互いの感性の分かり合えるパートナーに出逢えて幸せだと思う。前世の私達の社会は決して悪くはなかったよね。こんなに綺麗な星は見えなかったけどさ。夜空を見上げて、ちょっとシンミリ。アウトドア得意じゃなかったけど、都会しか知らないあいつに、この星空、見せてやりたいな......。
で、翌朝目覚めて、テントを畳み、出発支度をする私達の目に、少し離れた木の影から様子を窺う姿が.....。
「あのぅお兄さん達にお尋ねしたいことがあるんですが......」
「あ、なんだい?」
親切に声をかけるルノアににっこりされて、遠慮がちに近寄ってくる十歳くらいのツインテールの男の娘。背中にはとんでもなくデカいリュック、微かに漂う妖気......。
ー出たな、魔物ー
ーお腹空いたぁ~ー
と騒ぐ私達に
ーちっ、しょうがないなぁ...ー
ブツクサ言いながら、ルノアが魔獣を狩ってきてくれて、魔法で火を起こしてじゅわじゅわと焼いてくれる。傍らで、
「スープも欲しいですよね」
とボーゲさんがバッグから鍋を取り出す。
「用意いいのね」
と感心すると、調味料と野菜も出てきた。
「市場で買っておいたんですよ」
準備いいのね、ボーゲさん。そう言えばこのパーティーで唯一の草食獣人。サイラったら草食獣人のふりしてるけど、あんたはカワウソじゃん。肉食系じゃん。
「どうぞ.....」
と差し出してくれた器のスープが、これがまたコクがあって美味い。
「美味しい。ボーゲさん、料理上手なんですね」
と褒めるとサイラが胸を張って代弁。
「そこがボーゲのいいところよ。料理出来る男子っていいよね。厨房男子モテるよね」
うん、確かに前世でも料理の出来る男子モテてたな。あいつが作ってくれた雑炊美味しかったな。......女子にモテても嬉しくなさそうだったけど。
ついボーっとしてたら、ルノアが変な顔をして見ていた。そうしみじみ見ないでよ。でも、なんかなぁ......ちょっとした表情とか似てるんだよね、あいつに。
「今日は出て来なさそうですね、もう寝ますか」
と食事の終わったところでボーゲさんが言う。え、野宿?野宿するの?...まぁ獣体とれば寒くはないけど.......とこれまたバッグからテントを引っ張り出し、器用に組み立てていく。しかも、ふたつ。次から次に色んなものが出てきてド○えもんのポケットみたい。
「すげぇ......」
とルノアも目をまん丸。
「あぁ、異次元に繋げて収納してるんですよ。何があるかわからないし、大事なグッズは持ち歩きたいから」
さすがオタク。ド○えもんならぬオタえもんですね。極めてますね。
なんだかんだ言いながら、私とサイラ、ルノアとボーゲさんがそれぞれのテントに収まって横になった。サイラが内緒で教えてくれたんだけど、ボーゲさんは、ずっとあのバッグを抱えて放浪してたんだって。で、サイラんちの近くでチンピラに絡まれてたのをサイラが兵隊さん呼んでチンピラを追い払ってもらって保護したんだって......。
ーたぶんねぇ.....前世からオタクだったから、オタ仲間が欲しかったんだと思うの。助けてあげてすぐに、何か芸見せてって言ったら、迷わずオタ芸だったものー
はい、転生確定ですね。オタ芸は前世ニッポンの固有の文化ですからね。
ー早く思い出せるといいねぇ......ー
ーそうねぇ......ー
サイラにもこの世界で初めて会ったオタ仲間、ジャンル違ってもお互いの感性の分かり合えるパートナーに出逢えて幸せだと思う。前世の私達の社会は決して悪くはなかったよね。こんなに綺麗な星は見えなかったけどさ。夜空を見上げて、ちょっとシンミリ。アウトドア得意じゃなかったけど、都会しか知らないあいつに、この星空、見せてやりたいな......。
で、翌朝目覚めて、テントを畳み、出発支度をする私達の目に、少し離れた木の影から様子を窺う姿が.....。
「あのぅお兄さん達にお尋ねしたいことがあるんですが......」
「あ、なんだい?」
親切に声をかけるルノアににっこりされて、遠慮がちに近寄ってくる十歳くらいのツインテールの男の娘。背中にはとんでもなくデカいリュック、微かに漂う妖気......。
ー出たな、魔物ー
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