明日は大事なプレゼンがあるのに異世界転生ってマジですか?

葛城 惶

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やってやろうじゃないですか!(ヤケ

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「ただいま」 

 家に帰った私はまず母さん思いっきりハグされた。次にロアをぎゅ!大きくなったね~。白いふわふわの髪がとってもキュート。

「僕ね、春からガッコ行くの~」

 そうか、もうそんな歳になったのね。キトンブルーだった眸はややグリーンを帯びた大人猫の瞳に変化していた。ロアは母さんに似て可愛い長毛種だからきっとモテモテだね。

「兄ちゃん、お帰り」

「ちゃむ~ただいま。会いたかったよー」

 ちゃむにもぎゅっとハグ。あれ、あんた随分、背が伸びてない?もしかして、私より身長高い?腕も太くなって.....えぇーっ!あの可愛かったちゃむが、めっちゃ男臭くなってるうぅ.....ショック。

「ちゃむは俺の親父に似たらしい。俺よりも逞しい山猫になるぞ」

 えーっ、そんなあぁ......。一番、父さんに似てるのは私だと思ってたのに。ショボン。

「イツキは曾祖母ひいおばあちゃんに似たんだよ。山猫でも美人さんで有名だったらしいよ。強くて、何人も求婚してきたけど、唯一、曾祖母ひいおばあちゃんに勝ったのが曾祖父ひいおじいちゃんだったんだって」

 じゃあ私も強くならなきゃ、強くなってルノアにバトルで勝利して婚約解消させるんだ。

「まぁ、ルノア君に勝つのは無理だな」

 なんでよ、父さん。 

決着バトルは獣体でするものだからな」

 ルノアの獣体.....見たこと無い。今でさえデカいのに、灰色狼の獣体ってどんだけよ。......溜め息。

「そう言えば、お前の言っていた爬虫類の野郎達に荒らされた被災地の復興な。王様に明日、上申してみようと思う」

「本当?」
 
「ああ、明日は鳥人国の将軍達も帰国前の挨拶に立ち寄られるそうだ」

 父さんの言葉に私、目をキランっ!

「私も行きたい!火喰鳥将軍って見てみたい」

 何てったって、鳥人国最強で、獣人うちの国の兵隊もこぞってビビるという噂のお方。

「しょうがないなぁ.....」


 
 翌日、父さんについてお城に行って.....後悔しました。
 噂の火喰鳥将軍...怖い。とっても綺麗な青い髪をしていて、何故かお髭は真っ赤。漆黒のボディは文字通りのガチムチ。でも、何より、目が、眼光鋭すぎるその目が......。前世で言えば道極めちゃってる方々のトップのごとき眼。

ー絶対目を合わせちゃいけない人だ、これ。ー

 そのお隣にいらした副官の白鶴はっかく様......綺麗な赤い髪に真っ白なお肌に黒い瞳。火喰鳥将軍と真逆な細面のスラリとしたイケメンなんだけど、えげつないくらいお強い。容赦なく攻撃魔法使いまくっていたという戦闘狂バトルマニア。鳥さん怖い.....。

「まぁ先祖代々、我らは蛇どもとは不仲だからねぇ.....」

 涼しい顔をして殲滅せんめつしたいとか怖いこと言わないとでください、白鶴はっかくさま。


 で、お二方の謁見が終わり、父さんが被災地復興のお願いの上申書を王様に奏上してくれた。

「頑張っているようだね、イツキくん」

 王様の言葉に侍従長さんも、にっこり。はい、頑張ってます。  

「しかし、復興には予算が必要です。資材も人手も足りておりません」

 言うと思ったわよ、マーシー財務長官。太い尻尾を優雅にヒラヒラさせてのたまう。

「もう少し、産業振興を勧めませんと.....。キャネット・シティ近くのツヴェル湖の辺りには貴重な薬草が生えていると聞きます。それを近隣の国に売って資金に出来れば.....」

「しかし、あの近辺の森には魔物がおると聞いておるが......」

 王様と近衛隊長さんが眉をひそめる。

「ここにいるイツキ君は大層、有能なようですから、なんとか事態を解決してくださるのではないかと......近衛隊きっての辣腕、ルノア・シャスターも近くの辺境警備隊を取り仕切っているようですし......」

 チラリと細い目がこちらを窺う。あからさまな嫌がらせよね、これ。お誘い断った仕返し、こんなとこでするわけ?大人げ無さすぎないか?
 でも、こんなとこで退いてはいられない。

「分かりました。全集中して事態解決に当たらせていただきます」

 やっちまった.....。キッパリ言い切ってから私はちょっと後悔した。だって冒険なんてバトルなんてしたことないんだもん。
 でも、私も男、カッコ今世は。男に二言は無いのです。やったろうではありませんか!
 
 



 ルノア、ごめん......。


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