(転生)悪役令息は、バックレたい!

葛城 惶

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進路指導、お願いします

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 春休み。俺は思いっきり落ち込んでいた。
 この春、ルードヴィヒは初級魔術師になり、マグリットは正騎士になる。
 二人とも凄く誇らしげで嬉しそうだった。

ー俺は......ー

 剣術の師範に騎士になりたいと言ったら、体格が不足と言われた。どうせ俺はチビッ子だよ、ぷんすか!

 魔術師になりたい、と言ったらワグナー先生に頭を抱えられた。

『ラフィアン君は正直すぎるから.....』

 先生曰く、魔術師は魔物やら悪しき精霊とも渡り会わなきゃならない。俺ではすぐ騙されるって......。そんなに俺、単純馬鹿なの?

『君、前世でクライアントや取引先に丸め込まれそうになっただろ?俺、何回フォローしたと思う?』

 とレイトン先生の村上課長。はいそうでした。仰るとおりでございます。その節はお世話になりました。お辞儀っ!




「だいたい君が得意なのは、防御魔法と回復魔法ー光属性の魔法だろ?攻撃系や闇系はからきしじゃないか?」

「はい、そうでした.....」

 この世界での俺の魔法特性は、光属性特化。これが王子の嫁候補の確定に大きく響いてるんだよね。皮肉過ぎる。
 実際、俺の火炎魔法も水魔法もショボいの。キャンプファイアーとか公園の噴水止まり。土魔法なんて、地面が肥沃になるだけ。だから家の庭は綺麗だよ。植物、みんな元気。

 だからケヴィンの実家から遊びに来てってよく言われる。畑の収穫が豊かになるんだって。
 ちょっと遊びに行くと、次の秋には美味しい野菜が届くんだ。家の料理人は大喜び、えっへん。

 まあ魔法は少し使えれば生活には困らないからいいんだけどね。
 マグリットの攻撃魔法とか、ルードヴィヒの精霊術とか凄いの見ると、やっぱり地味に凹むの。ぐっすん。

 ちなみに、レイトン先生は全属性使えるけど、闇魔法が得意。なにげにお腹、黒かったですもんね、課長。




「でも、ラフィアン君は薬草の知識とか医術にも長けてますから、治療師にも向いてますよね」

と仰ってくださるのは、医薬術のリヴァロ先生。レイトン先生のパートナー。亜麻色の髪
の乙女ならぬ貴公子。レイトン先生の村上課長がこっちに来てすぐに一目惚れされたんだって。やるね~。
 まぁ課長は元からゲイだったから、問題なくお付き合いして、今はラブラブ伴侶。お熱いです。リア充爆発してます。羨ましいぜ、コンチクショウ!

「まぁ聖職者って道もあるんだが、王子も実家も許さんだろうしな......」

 あ、駄目です。俺、信仰心、無いから。じいちゃんの法事で、お経聞きながら爆睡してましたもん。

「ばか、形だけでいいんだよ。教会に逃げ込めば王族も手は出せない」

 でもそれってマグリットにもルードヴィヒにも会えなくなるってことですよね。それは嫌だ。絶対嫌だ。

「でも治療師の資格を得ておけば、教会でなくても、地方のギルドの診療所でも重宝されますよ?」

 あ、それいい。それ採用。王子に婚約解消されたら、さすがに王都には居づらいもんな。
 治療師なら何処にバックれても食っていける。

 俺の目標、決定!
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