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ミスコン開催!!
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さて、今日はお待ちかねのミスコン。あ、ミス・コンテストじゃないよ。ミステリアス・ビューティ・コンテストなんだって。納得。
で、俺はやっぱり楽しみ。男だもん。やっぱり可愛い子は見たいじゃん。下半身は意識外に飛ばして、青春を思い出すの。前世はほら男子校だったし、ミスコンなんて無かった。完全におふざけな女装コンテストはあったけど、レベル全然違う。あっちは完全おふざけだから。
可愛いは正義!......なんちって。
で、今日は休日なんで、マグリットやルートヴィヒも見に来てくれるって。
俺も二人の学校の学園祭みたいの見に行ったけど、マグリットの方は完璧、体育祭。士官学校だからね。
ルートヴィヒんとこは、ん~、なんというか、魔法見本市?
だから二人もとっても楽しみにしてくれてる。
で、二人を迎えに行こうと、教室から外へ出たら、裏庭のほうでガサガサしてる。あと、悲鳴みたいな声。
ーなんだぁ?ー
やっぱり気になるじゃん。上級生が下級生苛めてたら止めなきゃだし。
そっちの方に駆けて行ったら、背の高い上級生に囲まれてるピンクブロンドの髪が見えた。主人公だ。
ーおかしい......ー
確かにゲームにこのシーンはあったけど、俺、ラフィアンは今は親衛隊の取り巻きいないし、主人公に敵対してはいないから、このシーンは存在しないんだよね。
ストーリー補正、という言葉が頭を過った。
でも、助けに来るはずのアントーレの姿が見当たらない。何やってんだよ、王子!
近くに寄って会話に耳を澄ます。
『なぁ、可愛い子ちゃん。コンテストなんて俺たちと遊ぼうぜ』
んわ、下品。こいつら五年生の不良どもだ。
『可愛い顔に傷つけられたくなかったら、大人しく言うこと聞けよ』
「嫌です!離してください!」
主人公の声。そりゃ当たり前だ。こいつら、まじクソだもん。喧嘩だの、集団レイプだので、退学寸前のクソ野郎ども。誰に雇われた?......いや、その前に、集団レイプ?ヤバいじゃん。これ全年齢よ、健全ルートよ。
『いいから犯っちまおうぜ。レディの命令だしよ』
「止めてください!」
つい飛び出して、主人公を背に隠して、不良どもを睨み付ける俺。モブレなんて冗談じゃない。R18ルートに引きずり込まれるのは嫌だ!尻大事。俺のも主人公のも大事。
「何してるんですか、先輩!下級生を苛めちゃダメです!」
必死に主人公を庇う俺。アントーレはまだ来ない。ニヤニヤしながら、ジリジリ寄ってくる不良ども。
「苛めてないさ。イイコトしようって言ってるだけさ」
「嫌です!」
嘘言うな!お前らのイイコトがいい事なわけないだろう!
主人公はもう涙目。
「邪魔すんな!」
俺を押し退けようとする不良A 。名前なんか知らない。モブだから。
「なぁ、なんならコイツも犯っちまうか。よく見りゃあ、結構な美人さんだしな」
不良Bが下品な笑いを浮かべる。うっ、キモい。鳥肌たまらん。
「いいだろ?レディ」
不良どもの視線の先を見ると、見かけそれなりの気取ったヤツがひとり。
あ、知ってる、コイツ。四年のビッチだ。お前、ウィスタリア殿下推しじゃなかったのか?趣旨替えか?
バカ王子はまだ来ない。仕方ない。
「離せよ!バカ野郎!」
俺の腕を掴んでいた不良Cの股間を思い切り蹴飛ばす。
「何しやがる!チビッ子!」
むきーっ!
チビッ子言うな!
そりゃまだあんまり背は高くないけど、これから伸びるんだ。伸び代充分なんだから。
怒りに任せて、不良B のボディにパンチを叩き込む。咳き込む不良。
「逃げろ!クリス!」
俺は主人公の背中を思い切り叩いて、不良の輪から弾き出す。だってアイツ喧嘩出来ねぇもん、邪魔。
一目散に走り去るのを片目で確かめながら、不良A に頭突きを喰らわす。
「こんのガキ、何もんだ?」
不良B に蹴りを食らわせながら答える。
「ラフィアン・サイラスだ。文句あるか!」
不良達と黒幕ビッチが一瞬、目を剥く。そりゃそうだろ。ラフィアン・サイラスは優等生のいい子ちゃん。学園の『姫』のはずだからなっ!
「や、やっちまえ!」
そっからはマジの喧嘩。パンチと蹴りの応酬。しかし、この体格で三人相手はキツい。息切れてきた。
.......と、不良Cが誰かに引っ張られて後ろにもんどり売って転げた。続いてA もB もあっと言う間に地面とキスしてる。見上げると......。
「大丈夫か?ラフィ?」
「マグ!」
俺の大好きな友達の赤っ毛が光を弾いてた。
「ルー、そっちは?」
「捕獲、完了です」
にっこりと笑う黒髪の傍らには魔法で捕縛された黒幕ビッチが転がっていた。
「大丈夫か?!ラフィ」
振り返ると、主人公に袖を引っ張られて、王子登場。遅ぇよ、お前。
その後ろにはレイトン先生。
「大丈夫ですか?ラフィアン・サイラス。....その人達は?」
「僕は大丈夫です。彼らは僕の友人で、助けてくれたんです」
俺は先生に事情を話し、不良連中を魔法でお縄にして連行してもらった。
R18ルート回避成功!やったぜ!
「ラフィ、血が出てる」
アントーレが俺の右腕を掴んだ。さっき避けた時、植え込みの枝でかすったやつだ。俺はやんわりその手を離した。
「大丈夫、大した怪我じゃない。医務室行くから。......それより、その子をお願いします、殿下」
主人公は真っ青になって、王子にしがみついて、まだ震えてた。いたいけだねぇ、王子、任せた。
「行こう。マグ、ルー、案内するよ」
俺は王子に一礼して、ふたりを連れてその場を立ち去った。
そして、予定どおりつつがなくミスコンは開催。シナリオどおり。主人公が優勝。
でも、主人公を見つめるはずのシーンで俺を睨んでるんだよ、王子。
確かに美味しいとこは持ってったけど、あんたがノロマなのが悪い。いいじゃん、別に。主人公はあんたに首ったけになる予定なんだから。
ところで......
「マグ、なんで俺があそこにいるってわかったの?」
鳶色の瞳がクレープ片手にニコッと笑う。
「迎えが遅いから、ルーが魔法で探してくれた。ラフィのことだから、自分の学校で迷子になってるかも、って」
おいおい大概だな。でも助けてくれてありがとう。
ふたりと一緒にいっぱい遊べてたのしい学園祭だった。
アントーレ王子と。主人公の出会いイベントも無事完了。
ミスコンで俺の名前の無効票が沢山出て困ったって?そんなの知らない。
で、俺はやっぱり楽しみ。男だもん。やっぱり可愛い子は見たいじゃん。下半身は意識外に飛ばして、青春を思い出すの。前世はほら男子校だったし、ミスコンなんて無かった。完全におふざけな女装コンテストはあったけど、レベル全然違う。あっちは完全おふざけだから。
可愛いは正義!......なんちって。
で、今日は休日なんで、マグリットやルートヴィヒも見に来てくれるって。
俺も二人の学校の学園祭みたいの見に行ったけど、マグリットの方は完璧、体育祭。士官学校だからね。
ルートヴィヒんとこは、ん~、なんというか、魔法見本市?
だから二人もとっても楽しみにしてくれてる。
で、二人を迎えに行こうと、教室から外へ出たら、裏庭のほうでガサガサしてる。あと、悲鳴みたいな声。
ーなんだぁ?ー
やっぱり気になるじゃん。上級生が下級生苛めてたら止めなきゃだし。
そっちの方に駆けて行ったら、背の高い上級生に囲まれてるピンクブロンドの髪が見えた。主人公だ。
ーおかしい......ー
確かにゲームにこのシーンはあったけど、俺、ラフィアンは今は親衛隊の取り巻きいないし、主人公に敵対してはいないから、このシーンは存在しないんだよね。
ストーリー補正、という言葉が頭を過った。
でも、助けに来るはずのアントーレの姿が見当たらない。何やってんだよ、王子!
近くに寄って会話に耳を澄ます。
『なぁ、可愛い子ちゃん。コンテストなんて俺たちと遊ぼうぜ』
んわ、下品。こいつら五年生の不良どもだ。
『可愛い顔に傷つけられたくなかったら、大人しく言うこと聞けよ』
「嫌です!離してください!」
主人公の声。そりゃ当たり前だ。こいつら、まじクソだもん。喧嘩だの、集団レイプだので、退学寸前のクソ野郎ども。誰に雇われた?......いや、その前に、集団レイプ?ヤバいじゃん。これ全年齢よ、健全ルートよ。
『いいから犯っちまおうぜ。レディの命令だしよ』
「止めてください!」
つい飛び出して、主人公を背に隠して、不良どもを睨み付ける俺。モブレなんて冗談じゃない。R18ルートに引きずり込まれるのは嫌だ!尻大事。俺のも主人公のも大事。
「何してるんですか、先輩!下級生を苛めちゃダメです!」
必死に主人公を庇う俺。アントーレはまだ来ない。ニヤニヤしながら、ジリジリ寄ってくる不良ども。
「苛めてないさ。イイコトしようって言ってるだけさ」
「嫌です!」
嘘言うな!お前らのイイコトがいい事なわけないだろう!
主人公はもう涙目。
「邪魔すんな!」
俺を押し退けようとする不良A 。名前なんか知らない。モブだから。
「なぁ、なんならコイツも犯っちまうか。よく見りゃあ、結構な美人さんだしな」
不良Bが下品な笑いを浮かべる。うっ、キモい。鳥肌たまらん。
「いいだろ?レディ」
不良どもの視線の先を見ると、見かけそれなりの気取ったヤツがひとり。
あ、知ってる、コイツ。四年のビッチだ。お前、ウィスタリア殿下推しじゃなかったのか?趣旨替えか?
バカ王子はまだ来ない。仕方ない。
「離せよ!バカ野郎!」
俺の腕を掴んでいた不良Cの股間を思い切り蹴飛ばす。
「何しやがる!チビッ子!」
むきーっ!
チビッ子言うな!
そりゃまだあんまり背は高くないけど、これから伸びるんだ。伸び代充分なんだから。
怒りに任せて、不良B のボディにパンチを叩き込む。咳き込む不良。
「逃げろ!クリス!」
俺は主人公の背中を思い切り叩いて、不良の輪から弾き出す。だってアイツ喧嘩出来ねぇもん、邪魔。
一目散に走り去るのを片目で確かめながら、不良A に頭突きを喰らわす。
「こんのガキ、何もんだ?」
不良B に蹴りを食らわせながら答える。
「ラフィアン・サイラスだ。文句あるか!」
不良達と黒幕ビッチが一瞬、目を剥く。そりゃそうだろ。ラフィアン・サイラスは優等生のいい子ちゃん。学園の『姫』のはずだからなっ!
「や、やっちまえ!」
そっからはマジの喧嘩。パンチと蹴りの応酬。しかし、この体格で三人相手はキツい。息切れてきた。
.......と、不良Cが誰かに引っ張られて後ろにもんどり売って転げた。続いてA もB もあっと言う間に地面とキスしてる。見上げると......。
「大丈夫か?ラフィ?」
「マグ!」
俺の大好きな友達の赤っ毛が光を弾いてた。
「ルー、そっちは?」
「捕獲、完了です」
にっこりと笑う黒髪の傍らには魔法で捕縛された黒幕ビッチが転がっていた。
「大丈夫か?!ラフィ」
振り返ると、主人公に袖を引っ張られて、王子登場。遅ぇよ、お前。
その後ろにはレイトン先生。
「大丈夫ですか?ラフィアン・サイラス。....その人達は?」
「僕は大丈夫です。彼らは僕の友人で、助けてくれたんです」
俺は先生に事情を話し、不良連中を魔法でお縄にして連行してもらった。
R18ルート回避成功!やったぜ!
「ラフィ、血が出てる」
アントーレが俺の右腕を掴んだ。さっき避けた時、植え込みの枝でかすったやつだ。俺はやんわりその手を離した。
「大丈夫、大した怪我じゃない。医務室行くから。......それより、その子をお願いします、殿下」
主人公は真っ青になって、王子にしがみついて、まだ震えてた。いたいけだねぇ、王子、任せた。
「行こう。マグ、ルー、案内するよ」
俺は王子に一礼して、ふたりを連れてその場を立ち去った。
そして、予定どおりつつがなくミスコンは開催。シナリオどおり。主人公が優勝。
でも、主人公を見つめるはずのシーンで俺を睨んでるんだよ、王子。
確かに美味しいとこは持ってったけど、あんたがノロマなのが悪い。いいじゃん、別に。主人公はあんたに首ったけになる予定なんだから。
ところで......
「マグ、なんで俺があそこにいるってわかったの?」
鳶色の瞳がクレープ片手にニコッと笑う。
「迎えが遅いから、ルーが魔法で探してくれた。ラフィのことだから、自分の学校で迷子になってるかも、って」
おいおい大概だな。でも助けてくれてありがとう。
ふたりと一緒にいっぱい遊べてたのしい学園祭だった。
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