(転生)悪役令息は、バックレたい!

葛城 惶

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とりあえずの平穏な日々

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「おはようございます」

「おはよう!」

「おは~!」

 今日も朝から絶好調な俺、ラフィアン・サイラスは快適な学園生活を送っております。
 
 主人公ヒロイン、クリスちゃんは、順当に攻略を進めております。.苛めイベントは無いから、隣の席の子とは普通に仲良しになり、風紀委員とは制服の悩みを相談して仲良しに。
 生徒会長とは書類を拾ってあげた縁で、生徒会の仕事を手伝うようになった。

 うん、順調、順調。正しい青春のラブ・ストーリーが展開されております。

 若いっていいね~。俺、ラフィアンは見た目青春前期の美少年だけど、中身は二十五歳。立派な成人だけど、おっさんではない、まだ。

 前世の俺ってぱ十代の頃は、妹や弟の世話で忙しくくて、初恋どころじゃなかった。好きな子はいたけど、告白なんてとんでもない。遠くから見てるだけ......なうちに卒業。
 高校は男子校でした。はい、チーンです。泣き。
 大学入って、初めて彼女できた。初デートも初チューもドキドキだった。滑り込み十代で、オトナになりました。そん時の彼女は年上の先輩。
 先に卒業して、就職してエリートなご主人をゲットなさいました。
 で、その後、後輩と付き合いましたが、仕事多忙で逃げられました。イケメンのクリエイターさんをゲットなさった模様。

 二人ともね~好きだったんだよね、俺。ちょっと似てるの、主人公ヒロインちゃんに。
 可愛くて、あざとくて。ずいぶん貢ぎましたよ、バイト掛け持ちしたり、残業マシマシで。

 性格も似てるような気がするんだよね、主人公ヒロインちゃんは男だけど。だから、アホ王子、お似合いだと思う。ホイホイ乗せられて、いっぱい貢いで、国庫傾けて皇帝おとうさんに叱られなさい。そうすれば、少しは目が覚めるから。覚めなくても俺は知らないけど。




「ラフィ、何ボーッとしてるの。次、魔法学の授業だよ。教室移動しなきゃ」

「あ、そうだね。ケヴィンありがと」

 答えて俺は席を立った。
 そうなんだよね、メインの王子ステージに辿り着くまで、対生徒の攻略についてはあまり心配してないんだけど、この魔法学の教師の攻略が問題。

 泣き落としの色仕掛けで、主人公ヒロイン、クリスが教師に迫るんだけど、全年齢版なら問題無し。
 万が一、R18版だと結構エグい。こいつ変態ドすけべキャラに設定されてるから、使い魔とか触手とか出てきちゃう。ショタに触手はあかんでしょう~。
 腐った女子には美味しいシチュエーションだろうけど、間近で見たくないし、主人公が変な性癖に目覚めちゃったら大変。まじヤバい世界になっちゃう。
 主人公には、なんとか乙女の王道をいってもらわないと......男だけど。

 でないと、俺の尻までヤバくなるからね。




「そこ、廊下は走らない!」

 一目散に教室に向かう俺達を鋭い声が呼び止めた。チラッと見ると氷のごとく冷たい表情のイケオジが仁王立ちしていた。
 この人、実践魔術の教師で、レイトン先生。凄く厳しくておっかない人。

「すいませ~ん!!」

 とペコリ、頭を下げてスピードアップ。だって授業に遅れちゃう。背中に大きい溜め息が聞こえるけど、気にしない、気にしない。

 でもなんか、あの声に聞き覚えあるような気がするんだよね。思い出せないから、まあいいか。
スケベ変態教師をきっちり監視するほうが先だもんね。

 俺、ラフィアンはみんなの貞操を守る、正義の味方なのさっ!



 
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