(転生)悪役令息は、バックレたい!

葛城 惶

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おさらいしましょう

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 さて、主人公ヒロインが出てきたところで、ゲームスタート......なので、『奇跡の青薔薇』のストーリーを再度おさらいしてみる。
 あ、あくまでも全年齢のほうね。
 俺、R18の方は覚えていないのだ。

 て言うか、未成年がガッコの中でエッチいことしちゃ駄目でしょ。そういうストーリー多いけどさ、フツーの青春ものの漫画とかラノベとかでも。

 でもさ、青春後期ならともかく、俺達、13歳よ。前世で言えば中坊よ。
 中坊でビッチなんて、ないわー。

 普通はさ、彼女のいい匂いにときめいたり、彼女の手を握りたくてドキドキだったり、初チューに夢を見るお年頃じゃん?
 
 いくらゲームとは言え、BL とはいえ、それは駄目っしょ。異世界だって、検閲に引っ掛かるって。児童福祉法違反で。

 まぁよく覚えてないんだけど、スタート年齢引き上げてたかもなR18バージョン。
ということは、この世界は健全バージョンてことだよね、ね?



 てわけで、自宅に帰って風呂の中で頭を巡らせる俺。薔薇の花びらとか浮かべちゃってあるのは、いわゆるリラックス効果。この世界で風呂入る目的ってむしろそっちだから。いい匂いだから別に気にしない。

 俺は結構な長風呂なんで、俺が入浴を頼むと、メイドやら執事が心配して、しょっちゅう覗きにくるんだわ。倒れてないか、って。大丈夫、俺、温泉大好きタイプだから。

 

 それで......だ。

 主人公ヒロインは確か庶民の出....ということで最初は始まるんだよな。エンディングの頃には、ある貴族の隠し子ってことが判明して、身分違いを責める周囲を黙らせる......。

 主に王族と婚約者ラフィアンの実家、サイラス公爵家の反対を押し切る切り札だから、ずっと後。

 まずは庶民として学園に入ってきた主人公ヒロインは、貴族出身の生徒達に苛められる。礼儀作法も出来ないって、苛める貴族の筆頭格が俺、筆頭公爵家の息子、ラフィアン。

 当然ながら、今回はこれは無し。転校生のクリスに限らず、学園に入ってきた庶民の子は苛めの対象になってる。持ち物隠されたり、パシリにされたり。

 でも、この世界の今の学園にはそれは無い。初っぱなのホームルームで、差別反対・苛め根絶を提案したからな、俺が。

『誰であれ苛めをしたら、俺、いや僕が許しません。苛められた子に代わって僕が報復します』

 ってブチ上げたら、さすがに皆が引いてた。
 筆頭貴族よ、俺ん家。逆らったら、家潰すよ?みたいな立場のヤツが、苛めすんなって言ったら、まあ大人しくはなるわな。
脅迫?いいの、ハッタリだから。喧嘩も受けてたつけど、苛めはダメ、絶対。 
 
 だから一学年からはほぼ、苛めは無くなったんだけど、上がね。フツーの生徒は先輩でも言うことを聞いてくれるんだけど、あいつ、アントーレ王子とあいつの取り巻きが問題。

 この前、喧嘩になりそうだったからな、あいつの取り巻きと。あいつはいなかったけど、一年の生徒を苛めてるから注意したら、

ー王子の婚約者だからって図に乗るな!ー

とか言いやがったから、危うく手が出そうになった。まぁ、たまたま通りかかった生徒会長が止めてくれたから良かったけど。

 あ、この生徒会長も攻略対象、主人公ヒロインの。
 俺、ラフィアンや貴族に苛められる主人公ヒロインを助けるのが正義の味方の生徒会長。そいで、学園の貴族を仕切るラフィアン一派と対立して、主人公ヒロインクリスを守るわけ。

 で、学園祭でアイドルに押し上げられたクリスをアントーレ殿下が見初めて、障害を乗り越えてハッピーエンドに至るわけなんだけど.....。

 障害ってほとんどラフィアン絡みなんだよね。
 最初は彼の美貌を妬む同級生とか、根性の悪い教師とかだけど、アントーレ王子との学園祭の出逢い以降は、ラフィアンとその取り巻きが敵役なわけ。

 まぁ俺が全面的に表に出るのは終盤のクライマックスになってからだけど。それまでは顔見せ程度。

 でもねぇ......。

 取り巻きいないんだよね、俺。

 んで、苛めもほとんど根絶してるし。

主人公ヒロイン、クリスの攻略対象は、クラスの隣の席の子から始まって、風紀委員、魔法学の教師、生徒会長、最後にアントーレ王子なんだけど、はっきり言って、俺、誰も全然興味なし。

 基本、男と恋愛する気ねぇし......。

 厄介なのは、魔法学の教師だな。たらしこんで、どんな魔法を手に入れるかは気になる。

 そこさえクリアできれば、アントーレ王子は熨斗つけてくれてやる。
 
ー肝心なのは、断罪される前にどう上手く婚約解消に持っていくかなんだよな......ー

 バックレるにはタイミングが大事。
 
 風呂の中で唸っていると、扉の向こうから執事のクレビオの声が叫んだ。

「ラフィアンさま、大丈夫ですか?もう一時間になりますぞ!」

「大丈夫、すぐ出るから!」

 叫び返して、冷たい水を一杯、頭から被る。

ーまぁ、なんとかなるだろ。俺はアントーレのこと好きじゃないし、あっちだって同じだー 



 ツキン......と小さく胸が痛んだ。

 


 
 
 
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