8 / 37
入学してしまいました......
しおりを挟む
結局、抵抗も虚しく、王立学園に入学してしまいました。俺、ラフィアン・ガルネク・サイラス、十三歳。トホホです。
まあ寄宿舎に入らなくて済んだのがせめてもの救い。
学園は王都のど真ん中にあるので、王都に屋敷のある学生はみんな通ってます。辺境に領地のある一部の子弟が寄宿舎住まい。まあノーマルな設定です。
庶民の子もいます。成績優秀だったり、裕福な家の子も入学できます。
マグリットはやっぱり士官学校へ、ルートヴィヒは魔法学校へ進みました。俺の我が儘で彼らの未来を閉ざす訳にはいかない。シナリオ変わって彼らには新しい未来が拓けてるんだから。
な~んて士官学校は東に二ブロックいった先に、魔法学校は南に一ブロック行ったところにある。まあ王都の教育特区みたいなところに学校が寄せ集まっている感じ。
元々のゲームのシナリオだと士官学校も魔法学校も、名前しか出てこない。ゲームはほとんど、学園の中か、サイラス邸、あとは王宮がちょびっと。マップもすんごく小さくて、β版のユーザーコメントでも散々指摘されてた。
だから俺自身にとってもゲームのステージに出てこない場所は未知の世界。マグリットやルートヴィヒの学校が近かったのは超ラッキーだった。
でも、それだって何時でも会える訳じゃない。マグリットの士官学校は団体行動を身に付けるために寄宿制だし、ルートヴィヒは研究に夢中になると、夜遅くまで学校に居残ってる。近くだけどなかなか会えない。やっぱり寂しい。
だからと言って、あのバカ王子にすり寄る気には全くならない。
アントーレ王子は僕よりふたつ年上で中等部の最高学年なんだけど、やっぱりアホです。
いつも大勢の取り巻きを連れていて、問題起こしまくり。試験の後はいつも連中と一緒に補習を受けてる。街中でナンパしてる暇があったら勉強しろよ、な世界です。
ゲームの元のシナリオだと、婚約者のラフィアンはそんなバカでも王子が好き。やっぱり取り巻き達を引き連れて、王子の気を引こうと一生懸命。
悪い遊びを止めたり、すり寄ってくる下心ありありのビッチどもを蹴散らしたり、果てはカンニングの隠蔽までする。
結局、それで鬱陶しがられて後から出てくる主人公に王子を取られて泣きを見るんだけど、今の俺は違う。
まずラフィアン・サイラスは取り巻きを作らない。俺が欲しいのは本当の友達だけ。だから、おべんちゃらを言ってすり寄ってくるヤツはみんなガン無視。
お茶の一杯も自分で淹れなかったラフィアンは、みんなのぶんのスコーンを焼いてくるぐらいに成長しました。もちろん師匠はマルタ。だから味も保証つき。
でも、王子にはやらない。クラスの仲間とお茶会はするけど、学年違う王子は呼ばない。だって話が合わないじゃん?
だから学園にいても王子とはまず会わない。すれ違った時に二言三言、交わすだけ。
だって取り巻きいっぱい囲んでるし、悪巧みとナンパで忙しそうだし、俺の出る幕なんてありません。
よくよく考えてみれば、一目惚れされたって、相手は五歳児だよ?
五歳と三歳のままごと以前の会話をなんで大の大人が真に受けるの?
で、なんで正式文書まで作るのさ。正気の沙汰とは思えない。
まあ大人達の事情としてはさ、俺の親は王家に忠誠を示したかったろうし、王家は由緒ある公爵家を味方につけておきたい腹だろうけど、ちょっと気が早すぎないか?
というか短絡的過ぎるわ。
俺も迷惑だけど、子どもの単純思考でつい言っちゃった王子はもっと後悔してると思う。あのポンコツぶりは、いわゆるグレてるのかもしれない。
とにかく、どっちにしても俺は知ったこっちゃない。充分な知識と腕をつけたら、学園の卒業前に、断罪イベントの前に、この学園から、この都から、この国からバックレるんだから。
で、学園でも友達出来ました。
ひとりは貿易商の息子のニコル・シュタット。庶民だけど父親と船で海を渡ったこともあるタフで物知りなヤツ。だから同じ学年だけど、すこし年上。
もうひとりはケヴィン・ターナー。辺境伯の次男坊で、冒険者を目指して家出した経験ありの無鉄砲だが、気持ちのいいヤツ。
彼らのおかげで、俺の学園生活は楽しくなった。
でも一番の楽しみはやっぱり週末に帰ってくるマグリットに士官学校の話を聞いたり、ルーの新しい魔術の成果を見せてもらうことなんだけど。
まあ寄宿舎に入らなくて済んだのがせめてもの救い。
学園は王都のど真ん中にあるので、王都に屋敷のある学生はみんな通ってます。辺境に領地のある一部の子弟が寄宿舎住まい。まあノーマルな設定です。
庶民の子もいます。成績優秀だったり、裕福な家の子も入学できます。
マグリットはやっぱり士官学校へ、ルートヴィヒは魔法学校へ進みました。俺の我が儘で彼らの未来を閉ざす訳にはいかない。シナリオ変わって彼らには新しい未来が拓けてるんだから。
な~んて士官学校は東に二ブロックいった先に、魔法学校は南に一ブロック行ったところにある。まあ王都の教育特区みたいなところに学校が寄せ集まっている感じ。
元々のゲームのシナリオだと士官学校も魔法学校も、名前しか出てこない。ゲームはほとんど、学園の中か、サイラス邸、あとは王宮がちょびっと。マップもすんごく小さくて、β版のユーザーコメントでも散々指摘されてた。
だから俺自身にとってもゲームのステージに出てこない場所は未知の世界。マグリットやルートヴィヒの学校が近かったのは超ラッキーだった。
でも、それだって何時でも会える訳じゃない。マグリットの士官学校は団体行動を身に付けるために寄宿制だし、ルートヴィヒは研究に夢中になると、夜遅くまで学校に居残ってる。近くだけどなかなか会えない。やっぱり寂しい。
だからと言って、あのバカ王子にすり寄る気には全くならない。
アントーレ王子は僕よりふたつ年上で中等部の最高学年なんだけど、やっぱりアホです。
いつも大勢の取り巻きを連れていて、問題起こしまくり。試験の後はいつも連中と一緒に補習を受けてる。街中でナンパしてる暇があったら勉強しろよ、な世界です。
ゲームの元のシナリオだと、婚約者のラフィアンはそんなバカでも王子が好き。やっぱり取り巻き達を引き連れて、王子の気を引こうと一生懸命。
悪い遊びを止めたり、すり寄ってくる下心ありありのビッチどもを蹴散らしたり、果てはカンニングの隠蔽までする。
結局、それで鬱陶しがられて後から出てくる主人公に王子を取られて泣きを見るんだけど、今の俺は違う。
まずラフィアン・サイラスは取り巻きを作らない。俺が欲しいのは本当の友達だけ。だから、おべんちゃらを言ってすり寄ってくるヤツはみんなガン無視。
お茶の一杯も自分で淹れなかったラフィアンは、みんなのぶんのスコーンを焼いてくるぐらいに成長しました。もちろん師匠はマルタ。だから味も保証つき。
でも、王子にはやらない。クラスの仲間とお茶会はするけど、学年違う王子は呼ばない。だって話が合わないじゃん?
だから学園にいても王子とはまず会わない。すれ違った時に二言三言、交わすだけ。
だって取り巻きいっぱい囲んでるし、悪巧みとナンパで忙しそうだし、俺の出る幕なんてありません。
よくよく考えてみれば、一目惚れされたって、相手は五歳児だよ?
五歳と三歳のままごと以前の会話をなんで大の大人が真に受けるの?
で、なんで正式文書まで作るのさ。正気の沙汰とは思えない。
まあ大人達の事情としてはさ、俺の親は王家に忠誠を示したかったろうし、王家は由緒ある公爵家を味方につけておきたい腹だろうけど、ちょっと気が早すぎないか?
というか短絡的過ぎるわ。
俺も迷惑だけど、子どもの単純思考でつい言っちゃった王子はもっと後悔してると思う。あのポンコツぶりは、いわゆるグレてるのかもしれない。
とにかく、どっちにしても俺は知ったこっちゃない。充分な知識と腕をつけたら、学園の卒業前に、断罪イベントの前に、この学園から、この都から、この国からバックレるんだから。
で、学園でも友達出来ました。
ひとりは貿易商の息子のニコル・シュタット。庶民だけど父親と船で海を渡ったこともあるタフで物知りなヤツ。だから同じ学年だけど、すこし年上。
もうひとりはケヴィン・ターナー。辺境伯の次男坊で、冒険者を目指して家出した経験ありの無鉄砲だが、気持ちのいいヤツ。
彼らのおかげで、俺の学園生活は楽しくなった。
でも一番の楽しみはやっぱり週末に帰ってくるマグリットに士官学校の話を聞いたり、ルーの新しい魔術の成果を見せてもらうことなんだけど。
15
お気に入りに追加
2,837
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

皇帝の立役者
白鳩 唯斗
BL
実の弟に毒を盛られた。
「全てあなた達が悪いんですよ」
ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。
その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。
目を開けると、数年前に回帰していた。

もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中


悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?
「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。
王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り
更新頻度=適当

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる