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ボク、子どもですから♪
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ーーーー
「おぉ、気がついたか。良かった」
心配そうな顔で、ぱっと見は人の良さそうなおっさんが俺を見下ろしている。
けど、なんで髪の毛、そんなに茶色いんだ?あんなド田舎にこんな茶髪なオヤジいたか?
いや、そもそも何だ、そのけったいな格好は?中世の偉い人とかのコスプレか?......そんなイベントあったか?うちの街に......。
「ラフィ、どうしたんだ?そんな顔をして......。まだ、どこか痛むのか?」
おっさんがオロオロしながら俺の顔を覗き込む。隣には、これまた古臭いタイプのドレスを着たオバサン、もといご婦人.....まあかなり美形だから、美魔女ってやつか?.....にしても、周りの眺めが妙だ。
「ラフィて誰だ?俺は裕一だけど?」
頭をポリポリ掻きながら、むっくり体を起こすと、二人はもっと狼狽えた。
「何を言ってるんだ、ラフィ。お前らラフィアン・ガルネク・サイラス。この公爵家の可愛い息子だよ」
そんなに近寄るなよ、おっさん。キモイぞ。
「頭を強く打たれたようで、記憶が混濁しているようです。落ち着かれるのでは......」
モノクルを付けた白衣の爺さんがもっともらしく咳払いをした。
「アントーレ殿下も心配していらっしゃる。早く良くなっておくれ......」
ーーーー
というような会話と光景にぶち当たって、俺は自分の開発中のゲームの中に入りこんじまったことに気づいたわけだ。
だっさい名前にだっさいビジュアル......何番煎じだっつーようなテンプレなシナリオetc. .....俺にとって一番最悪な仕事としか思えないゲームの中になんで転生しなきゃならないんだ?
あの日だって、クライアントに18禁ゲームに変更するからエロシーン入れろってゲイビまで見せられてウンザリしてたんだ。
β版の評判がイマイチだとかユーザーのコメントがしょっぱいだの、当たり前だっての。
人気ゲームのパクりみたいなシナリオで客が食いつくわけがない。
俺はイヤだと言ったんだ。
なのに有名シナリオ作家の先生がご指名だからとか、スポンサーが付いてるから、絶対売れるもの作れとか、無茶振りし過ぎだろう。
それに俺は......俺はこのゲームの攻略キャラも男ヒロインも大嫌いなんだ。
ーはあぁ.....ー
まぁ、ハンドル切り損ねた時、目の前にデカいトラックのヘッドライト見た時に、もう死ぬとは思ったさ。三速にギア入れてたから、ブレーキなんか間に合うわけがない。
ーだけどよぉ......ー
普通に三途の川、渡りたかったわ。
ーこんなクソゲーの中に放り込まれるなんて、何の罰ゲームだよー
そして、俺は思った。おっさん達、つまり両親の言うには、俺、ラフィアンは今、八歳。
ーゲームスタートは、確か十三歳だったな......ー
いわゆる『学園』に入学するところから、シナリオは始まっていた。だったら......。
「バックレてやる!」
俺は拳を握りしめ、ベッドの上で高く突き上げた。こんなゲーム、めちゃくちゃにしてやる。
だって、俺はまだ『子ども』なんだもん。
「おぉ、気がついたか。良かった」
心配そうな顔で、ぱっと見は人の良さそうなおっさんが俺を見下ろしている。
けど、なんで髪の毛、そんなに茶色いんだ?あんなド田舎にこんな茶髪なオヤジいたか?
いや、そもそも何だ、そのけったいな格好は?中世の偉い人とかのコスプレか?......そんなイベントあったか?うちの街に......。
「ラフィ、どうしたんだ?そんな顔をして......。まだ、どこか痛むのか?」
おっさんがオロオロしながら俺の顔を覗き込む。隣には、これまた古臭いタイプのドレスを着たオバサン、もといご婦人.....まあかなり美形だから、美魔女ってやつか?.....にしても、周りの眺めが妙だ。
「ラフィて誰だ?俺は裕一だけど?」
頭をポリポリ掻きながら、むっくり体を起こすと、二人はもっと狼狽えた。
「何を言ってるんだ、ラフィ。お前らラフィアン・ガルネク・サイラス。この公爵家の可愛い息子だよ」
そんなに近寄るなよ、おっさん。キモイぞ。
「頭を強く打たれたようで、記憶が混濁しているようです。落ち着かれるのでは......」
モノクルを付けた白衣の爺さんがもっともらしく咳払いをした。
「アントーレ殿下も心配していらっしゃる。早く良くなっておくれ......」
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というような会話と光景にぶち当たって、俺は自分の開発中のゲームの中に入りこんじまったことに気づいたわけだ。
だっさい名前にだっさいビジュアル......何番煎じだっつーようなテンプレなシナリオetc. .....俺にとって一番最悪な仕事としか思えないゲームの中になんで転生しなきゃならないんだ?
あの日だって、クライアントに18禁ゲームに変更するからエロシーン入れろってゲイビまで見せられてウンザリしてたんだ。
β版の評判がイマイチだとかユーザーのコメントがしょっぱいだの、当たり前だっての。
人気ゲームのパクりみたいなシナリオで客が食いつくわけがない。
俺はイヤだと言ったんだ。
なのに有名シナリオ作家の先生がご指名だからとか、スポンサーが付いてるから、絶対売れるもの作れとか、無茶振りし過ぎだろう。
それに俺は......俺はこのゲームの攻略キャラも男ヒロインも大嫌いなんだ。
ーはあぁ.....ー
まぁ、ハンドル切り損ねた時、目の前にデカいトラックのヘッドライト見た時に、もう死ぬとは思ったさ。三速にギア入れてたから、ブレーキなんか間に合うわけがない。
ーだけどよぉ......ー
普通に三途の川、渡りたかったわ。
ーこんなクソゲーの中に放り込まれるなんて、何の罰ゲームだよー
そして、俺は思った。おっさん達、つまり両親の言うには、俺、ラフィアンは今、八歳。
ーゲームスタートは、確か十三歳だったな......ー
いわゆる『学園』に入学するところから、シナリオは始まっていた。だったら......。
「バックレてやる!」
俺は拳を握りしめ、ベッドの上で高く突き上げた。こんなゲーム、めちゃくちゃにしてやる。
だって、俺はまだ『子ども』なんだもん。
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