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第七章:

ごきげんよう、『六連星』③

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 そんなやり取りをしながら無事に《妖精の路》を通り抜けて、端っこにある別のゲートまでたどり着く。ユーリお母さんが無造作にひょい、と手をかざすと、音もたてず静かに内側に動き出した。すき間から、どこかの光が漏れてきて、

 ――ぱああああんっ!!!

 「うわあ!?」

 開いた、と思った瞬間、乾いた大きな音がいっせいに鳴った。続けて頭の上から、色とりどりのリボンと紙吹雪、ついでに光で出来た花とか鳥の羽根とかお星さまとかが山ほど降って来て、前が見えない。なんだなんだと必死でかき分けて脱出すると、

 「イブいらっしゃーい! 元気になってよかった~」

 「それからおめでと。家族が見つかって良かったわね」

 「もうとっくの昔にお祝いされてると思うんだけど、俺たちずっと会えなかったからさ」

 「今ここで言わせてください! 本当に良かったです!!」

 『ひっぽー!』『まままー!!』

 片手で辛うじて持てるくらい大きい、大砲みたいなクラッカーをこっちに向けたポーズで、口々にお祝いしてくれる『紫陽花』のみんながいた。その後ろでは、日頃お世話になりまくりのシェーラさんをはじめとするお店の人たちが、にこにこして拍手しながら見守ってくれている。今日遊びに来ること、ばっちり伝達済みらしい。

 ……あ、まずい。何日かぶりに泣きそう。

 「……み、みんな~~~」

 『きゃー! ごしゅじん~~!!』

 「わ゛ー!! ごめんっ、何かやりすぎた!?」

 「音!? 音なのね!? いくら景気づけだからって、ウチで一番でっかいクラッカーをまとめて鳴らしたのは耳痛かった!?」

 「うう、ちがうから、嬉しいだけだから……あ、これってお店の商品なの……?」

 「そうそう。リボンと紙吹雪だけじゃ物足りないってときのために、光とか音とかいろいろ詰めてあるやつなんだ。わりとご好評いただいてるんだよ?
 とにかく、丸く収まって良かったね。三人とも」

 「うん、本とに。……いろいろありがとう、シェーラ」

 「何言ってんだい、元パーティのよしみだろ。ま、うちの人が聞いたら参加したかった! って拗ねられるの確実だけどねぇ」

 「ははは、それは違いないな」

 これまた優しく頭をぽんぽんしてくれるシェーラさんと、大変仲良さげなうちの両親である。うん、話に聞いてはいたけど、こうやって和気あいあいとしているのを見てると、付き合いが長くて気心知れてるのがよーくわかるなぁ。

 と、無事に涙も引っ込んでほっこりしたところで、遅ればせながら気づいた。メンバー、ひとり足りてなくない?

 「……あれ? そういやショウさんは?」

 「ん? それはねー、後ろのドア開けたらわかるわよ、うん」

 「うーふーふー。すぐに見てみて! ねっ」

 さっき慌てまくりだった女子コンビ、すでに復活して大変楽しそうにニヨニヨしている。何なんだろう、とちょっと心配になりつつ、言われるままにそっちのドア――中庭に通じるお勝手口のノブを回してみた。

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