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第六章:

竜(+α)は無慈悲な夜の女王③

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 「で、これからどうする? 待ち伏せってのはまぁいいとして、他のやつが入った痕跡はどうにかせにゃならんだろ」

 「うん、その関係で聞きたいことがあって。オズヴァルドさん、こっちの声は聞こえてる?」

 『――おお、至って感度良好だぞ。何か困っておるのか』

 「実はですね……」

 すっかり明るさにも慣れて、日中でもちょっとしたお散歩くらいなら出来るようになったオズさんだ。が、みんながこっちに移動する際、調べたいことが増えたからとひとりで書庫に居残っていた。

 これまたギルドで借りてきた、離れた相手とやり取りできる手のひらサイズの水晶玉を持って、りっくんがてくてく壁の方へ歩いていく。相談したいことがあるみたいだけど、何だろうか。

 「まあ、あの人なら大抵のお願いは叶えてくれるだろうなぁ。いろいろスケールが違いすぎるみたいだし」

 「あ、そうなんだ。でもなんで知ってるの?」

 「ちょっとした不可抗力と言いますか……」

 「……とりあえずすごいのは確かです。あと、油断したら孫扱いされます。おれもそうでした」

 「えっ孫!? 弟とか息子じゃなくて!?」

 「はい、思いっきり……なんだかすごく楽しそうだったので、あんまり嫌がるわけにもいかなくて……」

 「まあまあ、悪気があったわけではないのだし気に病みすぎぬことだ。年長者に礼儀を通す姿勢は立派だぞ」

 「そ、そうでしょうか……」

 淡く苦笑したフェリクスさんの隣で、三角形の耳をぺたんと伏せてぐったりしているスコールくんである。わたしがいない間に何があったんだろう、一体。

 ひたすら首をかしげていたところ、やり取りを見守っていたショウさんがここでやっと会話に参加してくれた。しょげる獣人さんの肩をぽんぽん叩きながらほめてあげると、尻尾が控えめに左右に揺れる。あ、ちょこっとうれしいのかも。

 「こちら側も思いがけぬことばかりで大変だったでしょう。来るのが遅くなってしまって申し訳ない」

 「いえ、全然。そっちも記録を片っ端からひっくり返してたんでしょう? 特にショウさん、ちょっとでも早く合流するためにとっても頑張ってくれてたって聞きました。ティノくんとリーシュから」

 「、は!?」

 「よーっし、よくやったわもふもふコンビ! 正直こっちの状況についてくのに必死でさっぱり活躍できなかったのよ、えらい!!」

 「ぶっちゃけりっくん独壇場だったもんね~。今もバリバリに活躍中だし、なんか後からも出張りそうだし。とにかくグッジョブ!」

 『えへへー。ぼくたち若だんな推しだからおうえんしたいもーん』『ふぃふぃ~♪』

 「なんの応援だ、なんの……!」

 ご機嫌な女子二人にモフられまくりながらいえーい、と嬉しそうにしているもふもふズである。うんうん、この人控えめだからね。ほっといたら大事なことまで言わずに済ませそうだもんね。

 不意打ちでほめられたせいか、薄暗い中でもはっきり分かるくらい紅くなってるのがちょっとだけ気の毒だけど……まあいっか、えらいぞうちの癒し系!
 
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