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第六章:
白亜城の思い出③
しおりを挟む……え? こういうイタズラをしても秒で許されそうなもふもふたちはどうしたのか、って?
「あっちははかどってるかなぁ、犯人の居場所特定。ティノくんたちも張り切ってたけど」
「ギルドでもあれこれ情報提供してくれるって話だし、まあ何かしら掴めたらいいわよね」
文句をいうわたしとそれをいなすりっくんの後ろで、微笑ましそーに見守りながらおしゃべりしている女子コンビだ。うん、それは確かに。
近衛騎士から情報を得たみんなの行動は早かった。すぐさま冒険者ギルドに移動すると、失踪事件に関係ありそうな情報や依頼がないかを照会しにかかったのだ。もちろんうちの殿下がお忍びでどうの、って辺りは極秘だから、上手いこと伏せていたけど。
とはいえ、大小あわせて日々膨大な数が出されるものだ。最低でも一ヶ月は遡らないといけないので、人海戦術を取ることになった。『紫陽花』男性陣ともふもふペア、そして原作コンビはこっちを担当してくれている。
で、その間にわたしたちとりっくんが、イオンのお散歩がてら離宮の様子を確認してくることになった。公爵さんのお城にしか見えない大豪邸にもぜひ行ってみたかったんだけど……
「ああいうとこに行くのって、最低でも半月は前に知らせとかないと失礼に当たるから……わたしはともかくみんなとりっくんが迷惑するから……」
「……あー、貴族社会的なアレかぁ」
「だから気にしなくていいってのに。むしろ大勢で押し掛けた方が喜ぶタイプだよ、あの人も奥方も」
「……そうかなぁ」
「そうだって。何なら色々片付いてから挨拶するときは行ってみる? 賭けてもいいけど大歓迎されるよ、君たち」
つまり、今そこにある問題を解決した報告、ていう建前があれば、失礼にはならないだろうってことか。男子二人もあのお城は入ったことがないと言ってたし、みんなでお邪魔していいなら楽しいかも……
そんな内心が顔に出ていたらしい。りっくん、こっちを覗き込んで『やっぱり分かりやすいなぁ』なんて笑うと、ぽんぽんとこっちの頭を撫でてきた。あ、なんだその楽しそうな顔。
「じゃ、ひとまずそういうことで。まあこれだけの面子が揃ってるんだ、早晩なんとかなるさ。殿下は自分も動きたそうにしてたんだけどね」
「あ、やっぱり。……ていうか、今って殿下とリュシーだけしか残ってないんだよね? みんなこっちに来てて大丈夫?」
まさかわたしが帰るわけにいかないが、やっぱり心配なものは心配だ。そう思って訊ねてみたところ、リックは自信を持って答えてくれた。
「実はね、いま来てる特使っていうのがこっちの王太子なんだ。殿下とは大の仲良しらしくてね。
国外から王族クラスの賓客が来られている最中に、暗殺騒ぎだの汚職事件だのが取り沙汰されたら大恥だ。黒幕も貴族だろうから、そういう体面を汚すような博打には手を出さないはずだよ」
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