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罰ゲーム配信(2)
しおりを挟む「よっし! いくぜ! みんな!」
「おう!」
「いただきまーす!」
柳はなにも考えずに自分の好物であるチョコレートケーキをぱくり。
Walhallaもケーキを一口。
まだ口に苦味が残っていたWalhallaメンバー、目を丸くする。
「美味しい……え? マジでこのチョコケーキ美味ぁ……」
「美味しいでしょお? 先輩たちが作ってくれたんだ~♪」
「え? 先ぱ……」
「作っ……?」
「て……手作り……?」
困惑のWalhalla。
まあ、それはそう。
柳がニコニコしながら「星光騎士団は誕生日月のメンバーに手作りケーキを作ってくれるんだよぉ~。僕今月の十五日が誕生日だったんだけど、先月は宇月先輩が誕生日月だったからケーキ作りのお手伝いしたんだ~」と話す。
東雲学院芸能科ファンにはすでに定着しつつある常識だが、星光騎士団のメンバー手作りケーキがメンバーの誕生日月に物販で販売もされる。
今月は厄介客によるトラブルで騒がしかったので、今後はその販売形式も変わっていくかもしれないけれど。
「ちょ……! あの先輩たち全員料理もできるの!?」
「できるよぉ~。僕と円くんは料理苦手だから衝撃だったぁ~」
柳、宇月の役がまったく抜けてない。
元々憑依型は抜けにくいのだが、淳としては宇月の悪い顔までインストールして出てしまわないか不安で見守ってしまう。
まあ、可愛いんだけれど。
「料理できなさすぎて狗央先輩に調理部に強制入部されたくらいには、料理必須なんだよねぇ~」
「星光騎士団やべぇ~……」
「でも美味い、マジで。買ったケーキみたい……」
「市販されてないんですか……!」
「実は四方峰町東区にある片森洋菓子店で今日から一ヶ月間だけ、このケーキが販売されまーす」
「「「「マジで!?」」」」
本気で知らなかったWalhallaメンバーたち。
気づくと星光騎士団のケーキレシピを採用コラボした片森洋菓子店の宣伝タイムになっている。
柳、恐ろしい子。
「一ヶ月間だけなので今日星光騎士団の物販で購入できなかった方は片森洋菓子店でご購入可能です~。ご予約を入れていただいた方が確実なので、在庫の確認も兼ねていとどお電話してみてくださいね~。ちなみに通信販売もしておりますので、詳しくは東雲学院芸能科星光騎士団ページをご確認くださーい」
完璧な宣伝に淳と周が親指を立てる。
ドヤ顔の柳にぽかん、となるWalhalla。
しっかり宣伝もしたところで「ではセンブリ茶をいただきまーす」と紙コップに口をつけた。
柳がセンブリ茶を飲むのを見て、Walhallaメンバーもごくり、と生唾を飲んで全員でアイコンタクト。
さっき飲んだばかりなので苦味を思い出して顔まで渋くなっているが、これが配信の主旨なので四人とも一気飲み。
「「「「………………」」」」
そして面白い顔になる。
思っていた以上に甘みが感じられたことに驚いたのだろう。
苦ければ苦いほどに、甘味も引き立つというもの。
目を丸くして、顔を見合わせる。
そしてまたケーキを一口。
「め、めちゃくちゃ美味~~~~~い!」
「ほんっとに美味い! ほんっとに! ホンッッッットに!」
「柳くん、お店の名前もう一回教えて!」
「片森洋菓子店だよぉ~。電話番号はXXX-XX-XXXX!」
「人生でこんなに美味しいケーキ食べたことないよぉ。美味しいよぉ。甘いものってこんなに癒されるんだ……うっ、うっ」
高倉、泣き出す。
さすがに誕生日ケーキはこれ以上出せないので、片森洋菓子店に売っているマカロンやマリトッツォを追加で提出。
片森洋菓子店の宣伝も兼ねたものになってしまったけれど、今後も仲良くやっていければと思うのでまあいいでしょう。
(泉お兄さんに褒めてもらえるかもしれないし!)
結局は片森洋菓子店ファンでもあるので、推し洋菓子店応援ができれば淳はそれでオッケーです。
「あ! 飲み終わった!」
そんな涙まで出てきた罰ゲームは、片森洋菓子店のお菓子たちのおかげで無事に飲み終わった。
空になった水筒に石神が「やったぁー!」と両手を上げる。
周が「ちゃんと全部飲み終わったら、ですよ」と釘を刺す。
四人ともハッとして、マリトッツォを一口食べたあと残りのセンブリ茶を一気飲みした。
「これで!」
「罰ゲーム、完了です」
「やったー!」
「ぐっ……口の中甘いのと苦いので意味わかんない……」
「それじゃあ、視聴者の皆さんに一言!」
淳が声がけすると、そういえば撮影してたっけ、と思い出したようなWalhallaの四人がカメラの方に向き直る。
石神が「やり遂げたぞ! 負けたけど……Walhallaをよろしく!」と親指を立て折織が「次は負けないから、応援よろしく」とお辞儀をして、陸奥更が「めちゃくちゃ美味しかった! 絶対お店行きます! 片森洋菓子店!」とガッツポーズをして、高倉が「命を救われました。常設メニューにしてください!」と叫びながら手を合わせた。
「以上! Walhalla! 罰ゲームでした!」
「またねー!」
「――はい、カット。……特に変な発言もなかったし、このまま動画投稿してもいいと思うけれど、一応事務所に見てもらってから編集するなりなんなりしてもらいな? データ送るから」
「ありがとうございます!」
「ううん。わざわざ片森洋菓子店の宣伝もしてくれて、こちらこそありがとう。罰ゲームもちゃんとやり遂げてくれて、頑張ったね」
と、褒めも入れると折織以外嬉しそうに「えへ、えへ」とはにかむ。
撮影したデータを『イースト・ホーム』から渡して、その場で確認させて撤収作業。
すでにその時には三年生たちも舞台裏に戻ってきていた。
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