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フルボッコ確定『決闘』(6)
しおりを挟む「天皚、先に自己紹介をしてもらわないと」
「あ! そうだった! では、勇士隊選出メンバーの皆さん、自己紹介をお願いします!」
「うむ! 俺は勇士隊君主! 蓮名和敬だぞ!」
「勇士隊、玄武の御上千景と申します……えっと……」
「勇士隊二番隊! 一年B組玖賀衛都! 誕生日は八月八日無限の日! 俺の可能性も無限大! 顔と名前を覚えてけ! 玖賀衛都! 玖賀衛都をよろしくお願いします!!」
「一年B組、江花満月でーす。よろしくどうぞー」
ポーズまで決めて自分の名前を連呼する玖賀とは逆にシンプルな名乗りの江花。
あまりにも正反対すぎる一年。
なにが最悪って玖賀に触発されて蓮名も「このポーズは腕をもう少し上げた方がいいんじゃないか? こう!」と見本を見せ始め、玖賀がそれに「あ! いいっすね! でも、その腕の高さにするなら足をこう、右斜めにさらに開き姿勢を低くした方がかっこよくないですか!」とかやり始めたことだろうか。
千景にこの暴走列車みたいな二人を止められるわけもなく、SAMURAIの三人がインタビューしようにも勝手にお客さんに「このポーズどう思う!?」「よくない!?」とか言い始めるカオス。
いや、ある意味勇士隊らしいといえば勇士隊らしい。
淳の後ろの方から「今年の勇士隊一年もネジぶっ飛んだのが入ってきたな~」と笑い交じりに聞こえてくる始末。
柳や鏡音のように、事前に名前が知れた者がアイドルになるのと違って、高校デビューはっちゃけタイプも決して侮れない。
淳も「玖賀くんってあんなキャラだったんだ。チェック漏れてたな~」と悔しくなってしまう。
やはりステージの下からでなければわからないことも多い。
「でも、勇士隊の一年で言ってもう一人、見藤千隼くんがいたと思うんだけれど、今回見藤くんは見送りなんだ? いや、蓮名先輩の可愛いヤンデレ曲は絶対聴いてみたいけれど」
「音無マジでそろそろ舞台裏帰ったら?」
「最悪ここからステージに帰るから」
「なに綺麗な顔で微笑んでるんだよ、知らないよ本当に」
駿河屋に怒られつつ、芽黒が頑張って司会進行をする様子を眺めていると、わかりやすく収拾がつかなくなってきたところに宇月が登場。
蓮名に「後輩を困らせるんじゃないよ」と脳天へ鉄拳制裁してから芽黒たちに「はい、続けて。ナッシーは帰って来なさい」と言い残し、しっかり淳にも釘を刺して戻っていった。
もしかして、淳が駿河屋に言っていたこと聞こえてた……?
いやいやまさか?
「…………戻りまーす」
「ほら見たことか」
普通の様子だったけれど、戻れと言われたので諦めて舞台裏に戻る。
宇月にほっぺを引っ張られた。
素直に「ごめんなさぁい」と謝りました。
ステージの方ではついに課題曲の前奏が流れ始める。
「俺には千景くんのライブを見届けるぎむがががが」
「帰ってこなかった罰!」
「しょんな! お許しください!」
「鏡音くん助けて!」
「ええ~……まあ、あの……音無先輩の分析が必要になるかもしれないので、宇月先輩」
「チッ。しょうがないな」
対宇月兵器鏡音円、今回もあっさりと宇月を攻略してしまった。
淳が宇月に怒られるのは滅多にないことだが、ドルオタの欲求を優先させて怒られるあたり怒られる時はちゃんと怒られる。
だが、鏡音を味方につけるのがさすがというか。
ほっぺを離してもらい、即、舞台袖に移動して勇士隊のパフォーマンスを見る。
「こ、これは――!」
蓮名、まさかの“可愛い”に全振り。
マジか。マジか、あの人。
割とガチでドン引きする淳。
だが、それがいい、とも思う淳。
身長176センチの一番高身長の蓮名がかわい子ぶりっこ全開の振付を完コピ。
同じく玖賀もかわい子ぶりっこ全開。
そして、病み部分を千景と江花が担当。
どうやら可愛い、と病み、部分をそれぞれ担当分けしたらしい。
なにが怖いって千景の病み表現がものすごい迫力。
元々「そういうのも好きですぅ♡」とは言ってたが、本人はアイドルアイドルしている明るくテンポの速い曲をよく書く。
それを東雲学院のアイドルに歌ってもらうのが、東雲学院芸能科を受験した理由。
千景が持ち前の歌唱力と表現力を遺憾なく発揮した結果、蓮名と玖賀の面白可愛さで見事いい感じに薄まっている。
江花は一年生らしく可もなく不可もなし。
強烈な個性の三人のパフォーマンスを、江花の可もなく不可もないパフォーマンスが非常にマイルドに仕上げている。
おにぎりを包む海苔のように、爆発するアホ二人を制しし、一人で別世界を構築する千景をも取りこぼさないように包みあげていた。
星光騎士団とも魔王軍ともまったく違う、四人の個性がうまくマッチしたパフォーマンスだ。
ある意味、Walhallaの曲を一番強く、わかりやすく表しているように思う。
そして最後の病みセリフ――当然千景が担当。
宇月と同じセリフなのに、恐怖に極振りしているのでまたも悲鳴が上がった。
「お疲れ様でしたー! 勇士隊の皆さんでしたー」
「御上の歌唱力と表現力ヤバすぎて鳥肌たった」
「俺も」
SAMURAI三人が腕を差し出し合う。
全員鳥肌が立ってて笑ってしまった。
客席からも笑いが起こる。
「『決闘』を挑まれた三大大手グループのパフォーマンスは以上です! それではいよいよ投票のお時間になります! どのグループが一番好きだったか、偏見と独断で投票しちゃってくださーーーい!」
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