113 / 553
優勝者(1)
しおりを挟む『さあ! ついに三日間の長い戦いに決着がつきます! 勝ち抜いたのは学生セミプロで名を馳せる東雲学院芸能科、三大古参グループの一角星光騎士団! 約四年前、当時在学中で騎士団長だった神野栄治と鶴城一晴がプロの独壇場だったこのIGに殴り込み、学生セミプロという呼び方を定着させた伝説が今、パワーアップして蘇りました! リーダーはなんと同じく決勝に進んだBlossomのリーダー、綾城珀! メンバーを改めてご紹介します!』
司会の羽白とCRYWNの四人がステージに上がり、手を広げて決勝に進んだグループを出迎える。
最初に出てきたのは綾城。
続いて花崗ひまり、宇月美桜、後藤琥太郎、音無淳、花房魁星、狗央周。
魁星と周はもう、笑顔が怪しい。
引き攣っているところを淳が「頑張って」と応援している。
『そして新進気鋭、なんと今年の五月にデビューしたばかりの超絶新人がIG夏の陣を暴れ回った! そう、卒業してモデル、俳優として活躍し、アイドルの世界から一度は飛び去ったあの伝説の学生セミプロアイドルが、再びこのアイドル界に旋風を巻き起こしている! リーダーは星光騎士団と同じく綾城珀! もはや時代の新星! アイドル界の寵児と呼んでも過言ではないだろう! 伝説の学生セミプロアイドル神野栄治と鶴城一晴、そしてシンデレラボーイ甘夏拳志郎を率いる綾城珀のグループ! その名の通り、今日、今この場で完全に開花する! Blossom』
星光騎士団の反対側から現れるBlossomの三人。
綾城が登場順の関係で星光騎士団の制服で登壇したので、副リーダーの甘夏が一番前へ出た。
先輩二人がニマニマ笑っているのに、甘夏自身はこれほどの大舞台で前へ出されるとは思っていなかったのか泣きそうな顔である。
モニターから響く羽白アナウンサーの声のあと、CRYWNの岡山リントがマイクを握って手を掲げた。
『そして! 今日出演した三日目まで勝ち残ったアイドルの入場だよー! みんなの推しが出てきたら拍手で出迎えて、健闘を讃えてね!』
流れ作業のように名前を呼ばれていく本日まで勝ち残った出演グループ。
広いステージがあっという間に狭く感じるほどになる。
勢揃いしたことで、いよいよ感が高まっていく。
さっきまで疲れ果てて笑顔も怪しかった魁星と周が、後ろから感じる敗者の圧に背筋を正す。
そうだ、自分たちは多くの敗者を踏み潰して、このステージの一番前へ立っている。
アイドルを初めたのはBlossomのメンバーよりも日の浅い自分たちが、だ。
努力して努力して努力して、ようやくここに立っている彼ら。
その努力に見合う努力をしてきただろうか?
少なくとも淳は胸を張ってここに立つ。
もうなにも出せないほど出し切った。
魁星と周にも「笑顔笑顔~」とにこにこ振り返って告げるくらいには、音無淳も“アイドル”。
このステージにいるのは、全員自分の体や疲れなど二の次で、笑顔を振り撒く超人の集団。
『さあ、今日の出演グループが揃い、投票の結果も出たようです』
『いよいよでありますね! 我々まで緊張してまいりました!』
『緊張するよねぇー! 投票は参加したけど、結果は僕たちもまだ知らないからねー!』
『投票には参加してるんだけどねぇ~』
と、好き放題に言うCRYWN。
羽白が『CRYWNの皆さんも気になっておられるとのことで、早速結果発表にまいりましょう……!』と言い出す。
が、当然のように『その前にCMです!』と続く。
そうなる気はしていたが、アイドルたちも疲労が激しい。
この時間はどうしても焦れる。
「珀ちゃん、大丈夫かいな?」
「大丈夫だよ。ホテルまでは多分、もつから。でもお風呂とご飯は無理かな。すぐ寝たい」
「ほな、部屋まではわしが運んだるわ」
「……うん、ありがとう。ひまりちゃん……。君が僕と同じ代になってくれて、本当によかったと思うよ……。僕がいなければ君が星光騎士団の団長だったのに、ずっとこうして支えてくれて……本当に感謝している。ありがとう……」
「そんなん、言いっこなしやん。やめてーな。まだ早いて。そういうんは卒業ん時に言うて」
「うん……そうだね」
漏れ聞こえる、三年生同士の会話。
三年の重み。
間もなくCMが明ける。
仕切り直しのCRYWNと羽白のMCが入り『それでは皆様、モニターにご注目ください!』と手を掲げられた。
『20XX年、アイドルグランプリ夏の陣――優勝は――』
音楽が鳴る。
初の学生セミプロ優勝か。
デビュー四ヶ月の新人の初出場初優勝か。
どちらも快挙には変わりない。
テレビ、ネット、そして会場で観ていた視聴者、観客、スポンサーの選んだ今年の顔ともいうべきアイドルグループは……。
『Blossom! なんと、CRYWN以来の初出場、初優勝という快挙です!!』
141
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる