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嚙み合わない
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「じゅ~ん~くん♡ なにか困ったことや、わからないことはあるかな~?」
「ひぃ……!? あ、朝科先輩……! おぉ、おはようございます……だ、大丈夫です……!」
SBO夏休みライブが終わっていよいよIG夏の陣が近づいてきたここ一週間。
毎朝、そして昼休みや放課後など暇さえあれば魔王軍の三年生トリオの誰かが淳に会いに来るようになってしまった。
おかげでクラスメイトからは「え、こわい」「三年生まで誑し込んでる……」「マジヤバい」と敬遠されるようになってしまったではないか。
しかも檜野や雛森と違って、朝科だけはなんとなく淳への態度がおかしい。
まるで後輩に対するものでなく、なんだか――口説かれているような……。
(ああ……! 朝科先輩、今日も顔がいい……!!眼福……! さすが歴代魔王の中で一番顔がいいと言われているだけはある! 朝から完璧に整えられていて綺麗~!)
(ああ……今日も可愛いなぁ。もっと早くこうしていればよかったよ。どうも私は色々演出に凝ってしまいがちだから、もっと直情的になるのもいいだろう。ふふふ、恋は情熱的でないと……♪)
どうあがいても噛み合わない魔王とドルオタ。
教室の前の廊下なので、一年生たちはここ数日困惑しっぱなし。
なにしろ三大大手グループの一角、魔王軍のリーダーが毎日会いに来るのだから。
そして、魔王軍の魔王と四天王のうち二人が頻繁に会いに来ることで、今まで優遇されていたとある人物が大股で歩み寄ってくる。
「朝科先輩!」
「ん? おや、日守くん。おはよう」
「どうして毎日A組の音無に会いに来るんですか!? そいつは星光騎士団のメンバーですよ!?」
後ろから淳の首に抱きついて引き寄せる朝科。
さすがに約一週間毎日絡まれれば、ありがたみも薄れてくるし、慣れる。
美人は三日で飽きると言われるが、ドルオタは顔面国宝朝科旭の顔面にはまったく飽きない。
そして一年生の中で特に顔がいい三人の中の一人、魔王軍東軍所属の日守風雅まで揃うと……。
「朝から顔のいい人に挟まれて……俺は前世でいったいどんな徳を……!?」
「ええ~? 淳くんに顔だけで喜んでもらえるなんて、現在進行形で私も徳を積んでいるってことだね!」
「そうですね! 東雲学院芸能科や魔王軍のファンの皆さんも朝科先輩の顔を見るだけで嬉しいって言ってました! 先輩は存在してるだけで徳を積んでいると思います!」
「ええ~~~~~~~……淳くん好き♡ 結婚して」
「最近それよくおっしゃいますけど、新しいファンサですか? いいと思いますけど、ガチ恋勢で戦争になりません? 大丈夫ですか? 檜野先輩や雛森先輩にちゃんと相談してから実装した方がいいと思いますよ、それ」
「淳くんにしか言わないよぉ」
「ええ~、俺限定のファンサなんですか……!? それはそれで嬉しいけど……でも朝科先輩のファンの人に申し訳ないです。もっとマイルドにしてからやるといいと思います!」
「う~ん、伝わってないけどそれはそれでいい……」
噛み合わない魔王とドルオタ。
それを冷めた目で見る一年A組の生徒たちと日守。
お互い噛み合っていないのに恍惚とした表情なので、半数以上がドン引き。もう半数は呆れ顔。
「そうじゃなくて!!」
「え~? なに? 私が誰に会いに来ようと君に関係ないだろう? 練習も真面目にやっていないようだし、三軍落ちは妥当でしょう?」
「え!? 日守くん、三軍に落ちたんですか!?」
「そう」
キッと睨みつける日守。
美人の睨みつけはかなりの迫力。
だが、朝科には全く通じていない。
「魔王軍に限らず三大大手グループは練習に来ない、練習を蔑ろにする、連絡を怠るなど規律を守らない者は容赦なく格下げするし、除名すると加入の時に重要な注意事項として告知しているだろう? 顔がずいぶん整っていたから東軍の空いている枠に入れたけれど、期待外れもいいところだったからね。他の一年生と一緒に一から鍛え直しなさい。まあ、真面目に練習をしてきた子に比べたら、日守くんはどうしても劣ってしまうだろうけれど」
「ぐっ……!」
「君が空いた席には今月末の定期ライブで星光騎士団へ『侵略』を行い、淳くんを奪い取って座らせるから君はもういらないかな~」
笑顔の朝科。
そしてかなりの爆弾発言。
ギョッとする淳とA組生徒。
驚愕と憎しみの入り混じった表情で淳を睨みつける日守。
「魔王軍を辞めたければ辞めてもいいよ。人手には困っていないし、うちは必要なら『侵略』という他所から人材を奪い取る”特権”もある。君の自由だよ」
「な、なんでそんな普通の顔のやつを……!」
「顔面に頼りすぎているからだし、淳くんの顔は普通に整っているし可愛いよ?」
「日守くんと比べられましても……!」
「淳くん、世界一可愛いよ!!」
「……さすが魔王軍の魔王……! 新しいファンサ作りに余念がない……! こんな時にすらファンサしてくれるなんて……! これがプロになるアイドル……!」
A組の生徒が心の中で叫ぶ。
――全部ドルオタ視点で受け取るな……! と。
対して淳は朝科を尊敬の眼差しで見ている。
色んな意味でダメだこいつら。
「ひぃ……!? あ、朝科先輩……! おぉ、おはようございます……だ、大丈夫です……!」
SBO夏休みライブが終わっていよいよIG夏の陣が近づいてきたここ一週間。
毎朝、そして昼休みや放課後など暇さえあれば魔王軍の三年生トリオの誰かが淳に会いに来るようになってしまった。
おかげでクラスメイトからは「え、こわい」「三年生まで誑し込んでる……」「マジヤバい」と敬遠されるようになってしまったではないか。
しかも檜野や雛森と違って、朝科だけはなんとなく淳への態度がおかしい。
まるで後輩に対するものでなく、なんだか――口説かれているような……。
(ああ……! 朝科先輩、今日も顔がいい……!!眼福……! さすが歴代魔王の中で一番顔がいいと言われているだけはある! 朝から完璧に整えられていて綺麗~!)
(ああ……今日も可愛いなぁ。もっと早くこうしていればよかったよ。どうも私は色々演出に凝ってしまいがちだから、もっと直情的になるのもいいだろう。ふふふ、恋は情熱的でないと……♪)
どうあがいても噛み合わない魔王とドルオタ。
教室の前の廊下なので、一年生たちはここ数日困惑しっぱなし。
なにしろ三大大手グループの一角、魔王軍のリーダーが毎日会いに来るのだから。
そして、魔王軍の魔王と四天王のうち二人が頻繁に会いに来ることで、今まで優遇されていたとある人物が大股で歩み寄ってくる。
「朝科先輩!」
「ん? おや、日守くん。おはよう」
「どうして毎日A組の音無に会いに来るんですか!? そいつは星光騎士団のメンバーですよ!?」
後ろから淳の首に抱きついて引き寄せる朝科。
さすがに約一週間毎日絡まれれば、ありがたみも薄れてくるし、慣れる。
美人は三日で飽きると言われるが、ドルオタは顔面国宝朝科旭の顔面にはまったく飽きない。
そして一年生の中で特に顔がいい三人の中の一人、魔王軍東軍所属の日守風雅まで揃うと……。
「朝から顔のいい人に挟まれて……俺は前世でいったいどんな徳を……!?」
「ええ~? 淳くんに顔だけで喜んでもらえるなんて、現在進行形で私も徳を積んでいるってことだね!」
「そうですね! 東雲学院芸能科や魔王軍のファンの皆さんも朝科先輩の顔を見るだけで嬉しいって言ってました! 先輩は存在してるだけで徳を積んでいると思います!」
「ええ~~~~~~~……淳くん好き♡ 結婚して」
「最近それよくおっしゃいますけど、新しいファンサですか? いいと思いますけど、ガチ恋勢で戦争になりません? 大丈夫ですか? 檜野先輩や雛森先輩にちゃんと相談してから実装した方がいいと思いますよ、それ」
「淳くんにしか言わないよぉ」
「ええ~、俺限定のファンサなんですか……!? それはそれで嬉しいけど……でも朝科先輩のファンの人に申し訳ないです。もっとマイルドにしてからやるといいと思います!」
「う~ん、伝わってないけどそれはそれでいい……」
噛み合わない魔王とドルオタ。
それを冷めた目で見る一年A組の生徒たちと日守。
お互い噛み合っていないのに恍惚とした表情なので、半数以上がドン引き。もう半数は呆れ顔。
「そうじゃなくて!!」
「え~? なに? 私が誰に会いに来ようと君に関係ないだろう? 練習も真面目にやっていないようだし、三軍落ちは妥当でしょう?」
「え!? 日守くん、三軍に落ちたんですか!?」
「そう」
キッと睨みつける日守。
美人の睨みつけはかなりの迫力。
だが、朝科には全く通じていない。
「魔王軍に限らず三大大手グループは練習に来ない、練習を蔑ろにする、連絡を怠るなど規律を守らない者は容赦なく格下げするし、除名すると加入の時に重要な注意事項として告知しているだろう? 顔がずいぶん整っていたから東軍の空いている枠に入れたけれど、期待外れもいいところだったからね。他の一年生と一緒に一から鍛え直しなさい。まあ、真面目に練習をしてきた子に比べたら、日守くんはどうしても劣ってしまうだろうけれど」
「ぐっ……!」
「君が空いた席には今月末の定期ライブで星光騎士団へ『侵略』を行い、淳くんを奪い取って座らせるから君はもういらないかな~」
笑顔の朝科。
そしてかなりの爆弾発言。
ギョッとする淳とA組生徒。
驚愕と憎しみの入り混じった表情で淳を睨みつける日守。
「魔王軍を辞めたければ辞めてもいいよ。人手には困っていないし、うちは必要なら『侵略』という他所から人材を奪い取る”特権”もある。君の自由だよ」
「な、なんでそんな普通の顔のやつを……!」
「顔面に頼りすぎているからだし、淳くんの顔は普通に整っているし可愛いよ?」
「日守くんと比べられましても……!」
「淳くん、世界一可愛いよ!!」
「……さすが魔王軍の魔王……! 新しいファンサ作りに余念がない……! こんな時にすらファンサしてくれるなんて……! これがプロになるアイドル……!」
A組の生徒が心の中で叫ぶ。
――全部ドルオタ視点で受け取るな……! と。
対して淳は朝科を尊敬の眼差しで見ている。
色んな意味でダメだこいつら。
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