84 / 385
14歳編
今の俺には無理です(2)
しおりを挟む『今のヒューバートには扱えないだろう』
「はい。無理です」
「そんな! ヒューバート様!」
「使いこなせる気がしない」
いるのか、これを使いこなせる登録者が、この世に、現代に。マジか。やべーな。
だいたい左右に十基、背中に十五基、計三十五基ってなに、ヤバい。
そんなに多いの見たことないんですけど。
しかもこれ、通常なら盾の役割もある。
オールドミラーという名前は伊達ではないらしく、ビーム兵器から物理の砲弾も跳ね返す強度。
素材は不明。
なるほど……ギギも言ってたな。
いつ、誰が、なんの目的で、どうやって造ったか誰もわからない。
当時の技術力ですら、オーバーテクノロジーだったギア・フィーネ。
破損しても時間が経つと再生しているとかなんとか。
まあ、ギギ的には『再生してるのは都市伝説ですけどもー』って言ってたけど。
そういう機体のガ○ダム、あったよな。
なお、盾の状態でも先端の砲口からビーム出せるらしい。
ビーム維持すればビームソード。
なるほど……こういう戦い方の機体なのね、サルヴェイション。
や べ え。
戦いの幅がデカすぎる。
オールドミラーの連結を縦長に変えると、長距離ライフルにもなる。
背中と左右のすべてを連結して巨大な盾にすれば、衛星兵器の照射も防衛可能。
円形定間隔にし、電磁波を発生させれば電磁砲としても使用可能で、広範囲を高出力で攻撃もできる。
はい、なるほどね。
町一つを一時間で壊滅?
そんなことできんのかよって、思ってましたけどできますね、こいつ。
エネルギーどっからきてんの?
連射可能って書いてあるよ?
エネルギーどうなってんだお前。
無尽蔵なの?
やばくない?
「うわわわわ、やばい、むり、こわ……」
「ど、どうしたんですか、ヒューバート様」
『今のヒューバートには無理だ』
「だよね!」
「なんで嬉しそうなんですか?」
人は身に余る力を手に入れると恐れが勝るのだよ、レナ。
震えが止まらないんですけど、無理なんですけど、怖すぎなんですけど!
……けど、同時に納得もした。
こんなのが他にもいるのか。
戦争をしていた世界にとって、これほどの兵器は、なるほど、喉から手が出るほど欲しいに決まってる。
自己再生がマジなのだとしたら、壊された分の補修費用も不要ってことじゃん?
金があまりかからない上、最大級の牽制にも、攻撃にもなる。
ヤベェ、怖い。
こんなのの登録者になったら、これが全部思いのままなのだ。
体の震えが止まらない。
そりゃ世界中から狙われる。
核と同じか、それ以上の脅威。
生身の人間一人が、だ。
日常生活もまともに送れる気がしない。
『最初の登録者は毒を投与されて——』
思い通りにならなければ殺せばいいとか、そういう感じだったのかな。
新しい登録者になれば、そっちの方が扱いやすいかもしれないから、って?
そんな危険と隣り合わせで生きていくには、軍の言いなりになるのが一番安全なのかも。
くそ、マジで気持ち悪い!
「……だから貸出し、なのか?」
「ヒューバート様?」
「登録者はどんな目に遭うかわからない。俺は登録者じゃないから……サルヴェイションを自由にはできない。だから?」
俺の身の安全も考えてくれたのだろうか、サルヴェイションの登録者。
「……いい人なんだな」
力の責任をとてもよく理解している人だ。
こんなに心の底から「いい人」っているのか。
誰かを、ここまで、思いやれる。
その上で人を救え、という。
会ったこともない人を、ここまで尊敬したのは初めてだ。
『当機使用は非推奨だ。当機の火力ではやりすぎになるだろう』
「そうね」
どこからどう見てもお前大量破壊兵器だわ。
「とはいえこのままじゃワイバーン相手にジリ貧。ジェラルドに一掃してもらいたいけど、ジェラルドの魔力はさっきの地尖の全力ダッシュでかなり減ってるし……」
ここで無理をさせてジェラルドに倒れられるのはまずい。
どうしたものだろう?
「ヒューバート様、それならみんなを手のひらに乗せて、掲げれば届くんじゃありませんか?」
「なるほど、それ面白いな、それでいこう」
レナの提案採用!
ラウトのいるパーティーを呼び出して、光炎の手のひらに乗ってもらい、空中にいるワイバーンに攻撃してもらう。
さすがに集団での魔法攻撃に、ワイバーンの群れも被害が増えてきた。
一体、二体と結界の中に落下し始める。
「下の方もかなり討伐が上手くいっているな」
「はい!」
魔力を使い切る生徒も現れ始めた。
けどまぁ、生徒は魔力量を増やすことに繋がるので、使い切ってもらう分には構わない。
中型の晶魔獣が粗方減れば、結界をやや薄くして小型を招き入れ、少しずつ物理で倒していけばいいから。
——そうして約二時間かけて、溜まっていた晶魔獣の群れは完全に討伐。
学生たちだけでなく、数名の魔法騎士も魔力切れを起こしてしまった。
だが、素晴らしい成果だ。
[浮遊]とレナ、サルヴェイションに頼んで結界の外に落ちていた晶魔獣の遺骸は結界内に回収。
結晶魔石を取り出して、素材になるまで数日放置する。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
祈りの力でレベルカンストした件!〜無能判定されたアーチャーは無双する〜
KeyBow
ファンタジー
主人公は高校の3年生。深蛇 武瑠(ふかだ たける)。以降タケル 男子21人、女子19人の進学校ではない普通科。大半は短大か地方の私立大学に進む。部活はアーチェリー部でキャプテン。平凡などこにでもいて、十把一絡げにされるような外観的に目立たない存在。それでも部活ではキャプテンをしていて、この土日に開催された県総体では見事に個人優勝した。また、2年生の後輩の坂倉 悠里菜も優勝している。
タケルに彼女はいない。想い人はいるが、彼氏がいると思い、その想いを伝えられない。(兄とのショッピングで仲良くしているのを彼氏と勘違い)
そんな中でも、変化があった。教育実習生の女性がスタイル抜群で美人。愛嬌も良く、男子が浮き足立つのとは裏腹に女子からの人気も高かった。タケルも歳上じゃなかったら恋をしたかもと思う。6限目が終わり、ホームルームが少しなが引いた。終わると担任のおっさん(40歳らしい)が顧問をしている部の生徒から質問を受け、教育実習生のミヤちゃん(竹下実弥子)は女子と雑談。タケルは荷物をまとめ、部活にと思っていた、後輩の二年生の坂倉 悠里菜(ゆっちゃん、リナ)が言伝で来た。担任が会議で遅れるからストレッチと走り込みをと言っていたと。この子はタケルに気があるが、タケルは気が付いていない。ゆっちゃんのクラスの担任がアーチェリー部の担任だ。ゆっちゃんと弓を持って(普段は学校においているが大会明けで家に持って帰っていた)。弓を背中に回して教室を出ようとしたら…扉がスライドしない。反対側は開いていたのでそっちに行くが見えない何かに阻まれて進めない。反発から尻餅をつく。ゆっちゃんは波紋のようなのが見え唖然とし、タケルの手を取る。その音からみっちゃんも扉を見て驚く。すると急に光に包まれ、気絶した。目を覚ますと多くの人がいる広間にいた。皆すぐに目覚めたが、丁度三人帰ったので40人がそこにいた。誰かが何だここと叫び、ゆっちゃんは震えながらタケルにしがみつく。王女と国王が出てきてありきたりな異世界召喚をしたむね話し出す。強大な魔物に立ち向かうべく勇者の(いせかいから40人しか呼べない)力をと。口々に避難が飛ぶが帰ることは出来ないと。能力測定をする。タケルは平凡な数値。もちろんチート級のもおり、一喜一憂。ゆっちゃんは弓の上級スキル持ちで、ステータスも上位。タケルは屑スキル持ちとされクラスのものからバカにされる。ウイッシュ!一日一回限定で運が良ければ願いを聞き入られる。意味不明だった。ステータス測定後、能力別に(伝えられず)面談をするからと扉の先に案内されたが、タケルが好きな女子(天川)シズクと他男子二人だけ別の扉を入ると、閉められ扉が消え失せた。四人がいないので担任が質問すると、能力が低いので召喚を取り消したと。しかし、帰る事が出来ないと言っただろ?となるが、ため息混じりに40人しか召喚出
スキル『モデラー』で異世界プラモ無双!? プラモデル愛好家の高校生が異世界転移したら、持っていたスキルは戦闘と無関係なものたったひとつでした
大豆茶
ファンタジー
大学受験を乗り越えた高校三年生の青年『相模 型太(さがみ けいた)』。
無事進路が決まったので受験勉強のため封印していた幼少からの趣味、プラモデル作りを再開した。
しかし長い間押さえていた衝動が爆発し、型太は三日三晩、不眠不休で作業に没頭してしまう。
三日経っていることに気付いた時には既に遅く、型太は椅子から立ち上がると同時に気を失ってしまう。
型太が目を覚さますと、そこは見知らぬ土地だった。
アニメやマンガ関連の造形が深い型太は、自分は異世界転生したのだと悟る。
もうプラモデルを作ることができなくなるという喪失感はあるものの、それよりもこの異世界でどんな冒険が待ちわびているのだろうと、型太は胸を躍らせる。
しかし自分のステータスを確認すると、どの能力値も最低ランクで、スキルはたったのひとつだけ。
それも、『モデラー』という謎のスキルだった。
竜が空を飛んでいるような剣と魔法の世界で、どう考えても生き延びることが出来なさそうな能力に型太は絶望する。
しかし、意外なところで型太の持つ謎スキルと、プラモデルの製作技術が役に立つとは、この時はまだ知るよしもなかった。
これは、異世界で趣味を満喫しながら無双してしまう男の物語である。
※主人公がプラモデル作り始めるのは10話あたりからです。全体的にゆったりと話が進行しますのでご了承ください。
【完結済み】VRゲームで遊んでいたら、謎の微笑み冒険者に捕獲されましたがイロイロおかしいです。<長編>
BBやっこ
SF
会社に、VRゲーム休があってゲームをしていた私。
自身の店でエンチャント付き魔道具の売れ行きもなかなか好調で。なかなか充実しているゲームライフ。
招待イベで魔術士として、冒険者の仕事を受けていた。『ミッションは王族を守れ』
同僚も招待され、大規模なイベントとなっていた。ランダムで配置された場所で敵を倒すお仕事だったのだが?
電脳神、カプセル。精神を異世界へ送るって映画の話ですか?!
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる