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望まれぬ奉仕人(1)

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「他にも改善の余地があるところはあるか?」
「そうだな……もう一度見てもいいか?」
「うん」
 
 戻した服を、また捲る。
 リグが淫紋に触れて、精査する中ジクジクと腹に快感が溜まっていく。
 
「うん……今のところこれ以上弄れるところはないと思う。あとは、そうだな……余分な蓄積分を淫紋の設定変更に回せないか、少しプログラムにアクセスして確認をしたい。製作者がアクセス制限をしている部分に侵入できればできると思うが……少し時間がかかると思う。大丈夫か?」
「う、うん」
 
 リグが目を閉じて触れた瞬間、浮かび上がる赤い淫紋。
 シドが触れた時とは違う。
 二重に浮かんでいる。
 
「ねえ……」
「あ? なに? 俺?」
「うん。シドに話しかけてる。ねぇ、あのさ」
「なんだよ」
「ボクが十八歳になったら――ボクのこと抱いてくれる?」
 
 ジッと見つめて、真っ直ぐに、率直に聞く。
 今は子どもだからダメかもしれないけれど、大人になったら?
 成人したら、セックスしてくれるだろうか?
 
「……そもそもセックスに興味ねぇんだよ。俺」
 
 と、非常に不愉快そうに言い放つ。
 それを聞いたノインの気持ちがわかるだろうか。
 大人になっても「抱く気はない」と言われているようなものだ。
 そんなもの――
 
「はあーーー!? ふざけんなよなにそれ! ボクはシドとえっちがしたいんだけど!? せめて希望くらい持たせろよ! 大人になったらちゃんと抱いてやるって言ってくれたらボク、それを糧に三年耐えられないこともないかもしれないじゃん!? いや、絶対我慢できないけど! 絶対無理だけど! でも、未成年のうちは主張するの控えようって思ってたけどそんなこと言われたらどんな手使っても襲うぞ!?」
「お前はなにを言ってるんだ」
「ボクは! シドと! えっちがしたいの!」
「ガキは無理」
「大人になっても無理って今言ったじゃん!? それなら今ヤっても同じじゃん!?」
「さすがに成人済みと未成年のガキじゃあ心持ちが変わるわ!」
「じゃあヤッでくれる!?」
「なんでヤんなきゃなんねぇんだよ!?」
「これだけ焦らされてヤらないとか無理でしょ! ボク、初めてえっちする人間は絶対シドがいいの!」
「変な執着やめろ! そもそもケツなんざ使わなきゃ元に戻るだろ! 男に掘られる人生目指すより女と結婚してガキ作る未来を選べ、馬鹿か!」
 
 イーッ! と、怒るノイン。
 こんな体になってしまったのは、確かにまず間違いなく自分が悪いのだけれど、そういうことではない。
 ノインの体には第二異次元エクテカが刻まれている。
 抱いてほしい、というのは、はっきり言えば――
 
「だ、だから! 第二異次元エクテカを消すなら、妊娠しないといけないんでしょ!? ボクは……シドの子ども産んで育てたいって言ってるの! だから、今から子育ての勉強するつもりなんだから!」
「は?」
 
 ものすごい真顔で「は?」と聞かれた。
 完全に「こいつなに言ってるんだ?」の顔である。
 ムカー、っとまた頭に熱が上がってきた。
 
「シドが言ったんじゃん! 子どもは産んで終わりじゃないって! だからボクは産んで育てるつもりで、勉強もするし、必要なものは揃えるつもりで……」
「そうじゃねぇよ! なんで俺なんだよ! おかしいだろ!」
「おかしくないけど!? だってフィリックスさんとリグさんは恋人じゃん! じゃあシドだけじゃん!」
「ムカつく消去法で勝手に決めるな!」
「折衷案がある」
「「!?」」
 
 ノインの腹から手を離したリグが、突然立ち上がる。
 そしてシドの方を見ると、真っ直ぐ歩み寄っていく。
 椅子に座ったまま近づいてくるリグに驚いたシドが「な、なんだよ」と睨み上げた。
 
「これは僕なりの折衷案。二人に平等かどうかわからない。少なくともノインにが成人するまでは必要だし、シドが無理なくノインに魔力供給するのならこれが一番効率がいいと思う」
「は、はあ? ――はあ!?」
 
 見下ろすリグの真顔が、怖い。
 シドが素っ頓狂な声を上げるので、ノインがソファーから上半身を起こすとシドの体が鎖に繋がれて動けなくなっている。
 
「え? なにしてるの!?」
「ノイン用にディルドを作ろうと思う」
「「ディルド……」」
 
 ディルドとは?
 ノインが首を傾げる。
 単純に知らない単語であった。
 同じことを呟いて、シドの方は顔面蒼白になる。
 こちらは意味がわかってのことだ。
 
「なにを言ってる!?」
「ノインはシドに固執しているから、シドの性器を模したディルドがあれば解決すると思う。というわけで、測る。我慢してほしい。僕がやるから大丈夫だろう?」
「大丈夫じゃないに決まってるだろがぁぁぁぁ! なにを言ってる、本当に!」
 
 あのシドが、完全に冷静さを欠いている。
 本気で叫んで、鎖を引きちぎろうとするのに「ぐぅ、この!」と上手く身体強化魔法が使えないらしく無駄に暴れるだけ。
 シドの身体強化魔法がいかに強力かを理解しているリグが、使わせるわけがない。
 しゃがんで、椅子に縛りつけられたシドのズボンのベルトを外す。
 その様子にノインの胸が高鳴る。
 ごくり、と生唾を飲み込んで、リグがシドのズボンをくつろげるのを凝視した。
 未だにノインはシドが下半身を露出したところを見たことがない。
 シドのモノが見られる。
 
「え? あ……お、大きいな……?」
「ぐっ……!」
「み、見たい見たい!」
「やめろ!」
 
 それはもう、ウキウキワクワクでノインがリグの隣に正座する。
 こんな状態で勃つわけがないだろう、普通なら。
 目の前にいるのは弟と未成年だ。
 下着の中からなんの躊躇もなくモノを取り出されて、手で刺激されてもギロリと睨み下ろすだけ。
 
「んん……? ダロアログなら下着から出したらもう勃っているのに……?」
「あのクズと一緒にするなよ?」
「そういうものなのか? フィーも気がつくと勃ってるんだが……シドはなかなか勃たないんだな?」
「弟に触られて勃つやつがいるかよ」
「ボクも触っていい? っていうか、舐めてもいい?」
「そうか、舐めてみるのがいいかもしれない」
「やめろっつってんだよ!」
 
 股の間で弟と未成年の子どもが、とんでもないことを言い出している。
 完全にブチギレて叫ぶが二人の耳にはなんにも聞こえていないのか、無視。
 握られたモノに、二人が左右から舌を伸ばす。
 地獄はここにあった。
 
「ぐっ」
「あー」
 
 静かに舌を竿につけるリグと、まるでコレが欲しかったとばかりに先端を思い切り口に含むノイン。
 実際、ノインはコレがずっと欲しかった。
 上からも下からも横からも観察して、自分のモノとはまったく違う形と長さ太さ。
 これが勃起したらどんな形になるのだろう。
 少なくとも、この体験は今後のノインの自慰生活をそれはもう潤すものになる。
 ゆっくり先端を含み、形を確かめるように口全体でしっかり吸い上げた。
 
「あ……おいしひ……しょっぱい、汗の味……」
「ノイン」
 
 リグが口を離したノインの代わりに先端を口に含んでから舌先でゆっくりと皮をずらしていく。
 まるでこうやるんたよ、と教えるように。
 先端が顔を出したら皮は唇に合わせて一気に口に含んで、剥ぐ。
 
「っく……うっ!」
「わ、わあ……」
「剥けた。でも、まだ全然勃ってないな。これでは痛いのでは? シドは勃起不全だったのか?」
「……実の弟と未成年のガキに咥えられて、反応するとか吐き気がするんだよ……! やめろ……!」
「それは申し訳ないと思うけれど、ちゃんと勃った状態を測定したいから頑張ってほしい。んむ」
「っ……!」
 
 なんの迷いもなく、口に含んで頭を前後させる。
 これを、ダロアログが仕込んだのだと思うと本当に吐きそうだった。
 歯を食いしばって、見下ろすシドにリグが視線を上げてわざと上目遣いになる。
 苦しそうだが、快感の色がない。
 
「……はあ……」
 
 舌で、じっくりと先端の窪みを舐め上げる。
 一番敏感な部分を、わざとらしく見せつけるように。
 わずかな反応を見てから、舌先で窪みをほじる。
 
「ぐっ、う、っ……リグ、やめろ……」
「……魔力の味がしてきた……はぁ……これ、もっと……欲しい」
「っ!?」
 
 唾液を絡めて、両手で包むように触れるとそれを前後に扱き始めた。
 冗談ではない、と思っていたシドのモノが確実に反応してくる。
 弟に触られて勃つわけがないと思っていたのに、リグが「魔力欲しい」と言い出した途端まるで「弟が欲しがるのなら」と言わんばかりに反応し始めた。
 まさかここに来てブラコンが発動するとは、本人も思わなかっただろう。
 
「リグさん、ボクも食べたいっ」
「あ……じゃあ、ノインはここを、こう、舌先で舐めて……」
「んっ、やる」
「だから……! やめろ!」
 
 竿の裏側を、カリの部分まで舌先で舐めるように指示されたノインが下に入り込んで舐め上げ始める。
 性器が感じるところを的確に理解しているのが腹立たしい。
 先端は相変わらずリグが穿るように舐める。
 熱い舌が二人分。
 腕を引きちぎってでも、と拳を握る。
 
「あ……勃ってきた……」
「クッソ、がぁっ……!」
 
 リグがうっとりとしながら少し持ち上がった性器のカリに口づけ、ちゅう、と吸う。
 それからノインに「唾液が溜まったら、いっぱい絡めて舐めて」とまた指示を出す。
 忌々しい。
 二人分の口が丁寧に、愛おしく大切そうに性器を舐めて、吸いつく。
 唾液を絡ませてくることで滑りがよくなり、リグの口の動きを助けてしまう。
 
「ん、んっ、んっ、んっ……ぁ……あ、魔力……シドの……美味しい……」
「ッ……」
 
 頰を染めて、本当に美味しそうに先端にぷっくりと出た先走りを吸う。
 もっと、とせがまれると、シドの性器はいよいよ硬く頭を擡げ始める。
 弟が、望まむなら。欲しがるのなら、と。
 
「はあ、はあ……あ、硬くなってる……すごい、おっきい……んんん」
「うん。大きくて、美味しい……」
 
 自覚に入れていれば、これ以上反応しないと思っていた。
 だが、逆に視覚情報がとんでもないことになっていく。
 勃ち上がって反応した自分の性器を、左右から舐められ、吸われ、口に含まれ、唾液を絡めさせられる光景。
 二人に美味しいにしゃぶりつかれるのは男なら一度は夢見るシチュエーションだろう。
 シドとしてはそれがまさか弟と苦手な未成年の子どもであるという点が、非常に萎えポイントだっただけで。
 気持ちが悪いはずなのに、弟が「魔力ほしい」と呟いて吸いつくのでヤケクソのような気分になってくる。
 
「シド、意地悪しないでいっぱい僕の口の中に出してほしい。まだ全然、魔力が足りない……から」
「グ」
「ずるいよ、リグさんばっかりっ。ボクにも食べさせて」
「んん……じゃあ、ここ、いっぱい頬張って、顔を前後にして、吸いながら扱いてあげて。いっぱい唾液を絡めて、歯を立てないように気をつけて」
「ん」
「お、おい! マジでやめろ!」
 
 ノインがリグに言われた通りに先端にパクりと食いつく。
 舌で唾液を全体に馴染ませ、先程のリグの動きを真似しながら咥内で吸い上げながら頭を前後させて扱く。
 無駄に覚えがいい。
 シドの顔と首に血管が浮かぶ。
 忌々しくも、顔色が怒りと快感で赤くなっている。
 それを咥えながら見上げて、ノインの胸には悦びが溢れてきた。
 そもそも、ノインはコレがずっと欲しかった。
 口許が勝手に笑ってしまう。
 そして、あの施設でノインの口に入ってきたスライムはもっと――ノインの咥内を好き放題に蹂躙していった。
 
(苦味が広がってく。美味しい。もっと。もっと奥まで……)
 
 そうだ。
 もっと喉の方まで。
 見上げながら歯が当たらないように、奥の方まで咥えていく。
 動きを早くするとシドの表情に余裕がなくなる。
 苦しそうで、気持ちがよさそう。
 嬉しくて、どんどん喉の奥まで――あの時のスライムが入った場所まで。
 苦しい。
 でも、その苦しさが気持ちいい。
 
「ん、ぉ、ぶっ、ふっ、ぐんっ、んんぐっ、はっ、ふっ、んん、んぶ、ふぶぅっ、んん、ぐぅ、は、ばっぅ」
「く、っ、そ、くそ、がっ! マジで、もう、やめろ……!」
「ノインばかりずるい」
 
 ノインの口から唾液と粘力の高い先走りが溢れてくる。
 その先走りを顔で受け止めながら、リグが睾丸にしゃぶりつく。
 思いも寄らない刺激にシドの腰が引ける。



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