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陵辱(1)

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(え? なに?)
 
 膜を通り過ぎた瞬間、脳が揺さぶられたような感覚に襲われた。
 そのまま膝から崩れ落ち、床に倒れ込む。
 
『ノイン!? どうしたのだ!?』
「な……っな、っに……? か、らだ……痺れ……?」
 
 ノインには魔力がない。
 生まれつき、そういう体質なのだ。
 だからノインの体の表面は、ガラティーンの魔力で覆われており毒や魔法、呪いなどから護られている。
 聖剣ガラティーンの護りを貫通して状態異常になるのはありえない。
 ありえないはずなのに、ノインの体はビリビリと痺れて動かなくなっていく。
 
『霧状の媚薬よ。若くて健康な体には、すごく効くでしょうね。それにしても、そんな若さで聖剣を持っているなんて、素敵な素材だわ。ハロルドに誑かされてきたの? 可哀想ね』
「……っ……」
 
 可哀想、と言いながら目許と声は楽しそう。
 それに、ビヤクと言ったか。
 
(び……ビヤクってなに?)
 
 聞いたことのない名前。
 ヤクの部分は薬のことのようだが“ビ”の意味がわからない。
 呼吸が荒くなり始め、体温が上昇していくのがわかる。
 それに、股間が苦しい。
 初めての感覚に目の前がぼやけ始めた。
 
『子を産むだけの胎に剣は必要ない』
「あ……」
 
 ピンク色のスライムが床の隙間から湧き出てくる。
 ノインの全身を覆うほどに大きなスライムは、制服を器用に脱がしてごくん、と呑み込む。
 一応、防御力重視の自由騎士団フリーナイツ制服ではあるが、時間をかければ消化されるだろう。
 首からガラティーンのペンダントも外されてしまうが、スライムはペンダントを遠くへ吐き出す。
 【戦界イグディア】の伝説存在である聖剣ガラティーンを消化など、このスライムには荷が重かったようだ。
 
「んぃっ!?」
『種つけ部屋に移動しましょうね。大丈夫よ、最初は苦しいと思うけれど、心なんて産むだけの胎には必要ないわ。身を委ねればどんなことも快感に変わる。その綺麗な腹を、胎に変えるためにまずは苗床を整えないと……。第二異次元エクテカを作るのは、それからね』
「い、な……な、に? や、やめ……なにす……っう……!?」
『ノイン!』
 
 どぷ、と顔までスライムに呑まれ、そのまま女のカプセルが床下に消える。
 左右から遮蔽され、そこはもうただの床のようになった。
 彼女のいた場所の側にダストボックスのような扉が開く。
 スライムがノインを連れてその中に飛び込むと、数十メートルは落下した。
 真っ暗でなにも見えない。
 ガラティーンの声も、もう聞こえない。
 
「んっい……や、やめぇ……」
 
 スライムから顔が出ると、拘束具のついた椅子のある部屋にいた。
 周囲の状況を確認したいのに、スライムが尻の穴の中に入り込み集中ができない。
 ぐにぐにと尻を揉み、穴を拡げてどんどん入ってくる質量が増えていく。
 チクチクと肉の間を啄むような感触が気持ち悪い。
 
「んううえ……!」
 
 ズボッと大きめの質量が入ってくる。
 下腹を押し出すほどの量。
 腹筋で鍛え上げられているノインの腹を、押し上げるほどの。
 腸の中を、さらに奥まで進んでくる。
 
「ぎっ、も……気持ち悪……っ、や、やめて、だ、め、出てって……ぇ」
 
 気持ちが悪かった。
 丁寧に、優しく、相当の質量が尻穴から腸内をゆっくり押し拡げながら進んでいく感触。
 腹がどんどん苦しくなり、えづいてしまう。
 
「ぐえ……っ」
 
 また、大きめの塊のような質量が入り込んだ。
 青白いライトに照らされた部屋の中で、脂汗を流しながら一人で尻の穴の中にスライムが入り込むこの状況。
 体の感覚は未だ痺れたような、熱いような感覚で通常通りとは言えない。
 それでも苦痛により、頭は少し冷めた。
 シドやガラティーンの、言う通りにしておけば――なんて騎士になって初めてそんなことを思ったかもしれない。
 けれど目の前で「助けてくれないの?」と言われたら、騎士として手を伸ばしてしまう。
 それが罠でも、これまでの騎士人生乗り越えられてきた。
 少なくともあの女に殺気や敵意のようなものはなく、悲しみや救済を求める感じがあったのだ。
 それだけは、騎士として生きてきた八年弱で培った感覚として間違いはないと言い切れる。
 ただ、その結果こんなことになるなんて思わなかっただけだ。
 拳を握り締めると、スライムが指の合間に入ってくる。
 
「ぐ、う……う……ううう……うっぐうう……」
 
 目を見開く。
 再びごぽん、と塊が入ってきた。
 自分の尻の穴が、未だかつてないほどに拡がっている感覚。
 振り払おうにも全身を包まれたまま、椅子の方へと連れて行かれる。
 冷たい椅子の感触を尻と背中に感じ、足を拘束具に取りつけられて背もたれに首を押しつけられた。
 途端に、首にも拘束具。
 後ろに短い鎖がついており、多少動かせる。
 
「ぁがっ」
 
 棒状の轡を噛ませられ、目を見開いた。
 首輪と繋がっているそれを取りつけたのは、人の腕の形をしたものだ。
 天井から生えており、細かな作業を担当するように思えた。
 それの出現を確認したからなのか、スライムの大半が天井の穴へ戻っていく。
 腹の中に入っていた部分もゆっくりと出て行った。
 不思議なことに、手は拘束されない。
 
「んぐ、が……う、がう……んんんんっ」
 
 どぷ、どぷ、どぷ……とスライムが出ていく感覚の、なんとも言えない感覚。
 排泄にも似ているが、排泄とは決定的に違う質量。
 腸の中を抜けていく感覚が、苦しいのに、苦しさ以外のなにかがあってなんとも言えない。
 その感覚の名前をノインは知らないのだから仕方ない。
 
「う、あうう……」
『フェイズ1を修了』
『フェイズ2へ移行』
「は、あ……?」
 
 電子音のような音声が聞こえて、恐る恐る見上げる。
 そして、見なければよかった、と後悔した。
 太いコードのようなものに、グロテスクな器具が満載のモノが壁から無数に生えている。
 穴の空いたコードがイソギンチャクのようなオレンジ色のひだから、まるで涎でも流しているかのようにポタポタ粘液を垂らして下半身に近づいてきた。
 やめて、と口に出しそうになるが、それが咥えたのはノインの性器だ。
 咥えられた瞬間、言葉にならない衝撃が全身を駆け巡る。
 ――あたたかい。
 あたたかいくて、じゅわ……と性器を包み込み、ぬるぬるの中で擦り上げ始めた。
 
「う……! うっ、うぁ、あっあっあっ……なぁ……やへへへぇ……!?」
 
 ズキン、と先端に痛みが走る。
 皮を無理やり捲られそうになっているからだ。
 剣に人生を捧げてきたノインは精通がまだであり、性器は未だに皮を半分被って排泄以外にその役割を果たしたことはない。
 他人の性器は見たことがなく、それが普通だと思っていたし他人と比べるということを考える余裕もないくらい、剣に時間を割いてきた。
 その皮をの中にぬるぬるした粘液が入ってきて、イソギンチャクのようなヒダヒダが上下に動いてそれを剝いていく。
 当然痛い。
 痛いのに、剥けて曝け出た亀頭部への刺激で痛みなど気にならない刺激でコードを慌てて掴む。
 これ以上は、いけない。
 おかしくなる。
 なにかが、変になってしまう。
 
「んうううう!?」
 
 コードを掴むが、今度は乳首に細い糸虫のようなものが巻きついて引っ張り始めた。
 その細いコードも粘液を滴らせており、人の唇と舌のようなものまで近づいてくる。
 こちらも粘液を滴らせ、引っ張られた乳首の先をれろり、と舐めたり吸いついたりし始めた。
 もはやパニックである。
 
(なにこれなにこれなにこれなにこれぇ!)
 
 自然に涙が滲んでくる。
 当然それで終わるわけもなく、先程スライムにより解された尻にはバチン! となにかが叩きつけられた。
 ギョッとして下を向くと、性器の合間から球が繋がったような不思議な形の長いモノが性器を扱くものから粘液をかけられてビチョビチョに濡れそぼっていく。
 嫌な予感しかしない。
 
「や、やへ、へ……」
 
 もう、恐怖しかなかった。
 濡れたそれが下の方へ消えていく。
 尻の穴に先端が押しつけられた感触に、体が硬直する。
 
「ひや、やへへ……やへ、や……やぁあああぁ!」
 
 ぐぬぷぷぷ……と容赦なく中に入ってきた。
 左手を後ろに回し、右手で性器を扱くコードを掴む。
 取り除こうと引っ張るが、コードの力の方が強い。
 性器への刺激で、体に上手く力が入らないのもあり前後でコードが激しく動くのを止めることはできなかった。
 
「うあ、あっ、あっ、うあ、あっ、くあ、あ、や、へ、やへぇ……やぁあっ、やへへぇ! やら、やらぁ!」
 
 ピリッとした性器。
 皮が全部剥けてしまった。
 けれど、ノインはまだ精通していない。
 だから、射精も知らない。
 どんなに扱かれても達せないので、腰がガクガクと揺れてしまうだけ。
 
(いやいやいやいや――! こんなの知らないぃ! やだ、怖い怖い怖いぃ!)
 
 涙が溢れる。
 尻への刺激もどんどん強くなり、球状のそれがいきなりスライムが入っていた奥の方へと侵入を開始した。
 根元に近づくにつれ、球の形は大きくなっていく。
 押し拡げられるあの不快な感覚と、入るべきところでない場所への侵入。
 首を振りながら、後ろのものを抜こうと両手を伸ばした。
 けれど角度が悪い上、粘液で手が滑ってまるで引き抜けない。
 それどころか、球が尻に入っていくのをコードの動きで理解してしまう。
 一つ一つ、手のひらから上へぬるぬると入っていく。
 
「や、はぁ……やはぁ……やはぁ……」
 
 泣いて嫌がっても、球が入る。
 後ろに腕を回しているせいで、胸を突き出す姿勢になってしまった。
 ふと、視界に胸を舐め回す器具の姿が入ってしまう。
 乳首は細いコードに引っ張られ続けて、充血し始めていた。
 その赤く色づいた果実を、同じく赤い舌のようなものがベロベロと舐めるのだ。
 左から新たに性器を扱いているもののような、イソギンチャク状のコードが近づいてくる。
 拘束回転し始めたそれが、乳首を包み込むとさすがにチリチリと熱を帯び始めた。
 
「ふうううー……! ふぅうううぅっぅぅ……!」
 
 舌のような器具が耳元に移動してきて、首筋や鎖骨、耳を舐める。
 なんでこんなことをされているのかわからない。
 気持ちが悪かった。
 腹が張る。
 苦しい、と思った時、尻に入っていたものがずるる、と抜け始めた。
 ようやく……と一瞬安堵したが抜けるスピードがどんどん早くなる。
 
「っううううう!?」
 
 排泄したような感覚なのに、尻の入り口が熱い。
 そんな熱は知らない。
 全身が嫌な汗を噴き出し、足がガタガタ震えた。
 性器を扱く器具はいまだに容赦なく上下しており、前の熱が後ろの熱と合流するような、そんな感覚。
 性器と尻のあたりは粘液でドロドロで、抜けた瞬間ノインの腕もだらん、と力なく垂れ下がる。
 息を整えようとするが、上手くいかない。
 
「う……うっ……ううう、んうううっ……」
 
 前の刺激が、また渦を巻く。
 出せないから、溜まるしかない。
 熱は腹に溜まる。
 出したいのに出せない。
 また、涙が頬を伝う。
 首や乳首への刺激も、じわじわと上半身をあたためていく。
 これは、あたたかくなってはいけない。
 
「うひっ!?」
 
 またバチン、と股の間になにかが叩きつけられた。
 先程球の連なったような形の器具が同じように叩きつけられたので、嫌な予感とともに視線を落とす。



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