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第36話
しおりを挟む見た事もないほど穏やかな目をしたスェラドが顔を近づける。
唇を重ねて、お互いに舌を伸ばす。
仰向けで腰を持ち上げられ、ベッドと腰の間にスェラドの膝が入ってくる。
大きく股を開いた状態。
熱い塊が尻穴に押しつけられている。
(どんな感じなのだろう? スェラド様が入ってきたら、やっぱり痛いのだろうか? けど、頑張って慣らしてきたし……それに、例え痛くてもまたスェラド様に躾けて頂ければ……)
自分の体は黒曜帝、スェラドのもの。
スェラド好みに、作り替えてくれればいい。
髪に指を差し込み、甘やかすように撫でながら「いつでもどうぞ」という気持ちを表す。
いつでも、いや、ずっと……この瞬間を待っていた。
スェラドの方がずっと待っていたのかもしれないけれど、ヒオリだって散々焦らされてきたのだから……。
「んっ!」
ぐい、と押しつけられていた熱が挿入ってくる。
あっという間に入り口が先端を呑み込むと、亀頭が腸を引き延ばすようにずずず……と進んでいく。
腰がびく、びくっ、跳ねる。
熱い。
少し痛いけれど、これがスェラドの熱なのだ。
ああ、堪らないと口の端から口づけにより溜まった唾液が溢れて溢れる。
口の中も、腹の中もスェラドの熱を感じた。
多幸感で涙が出る。
「ん、は……ぅ」
けれど、亀頭部が奥へ進めば進むほど苦しくなった。
いくら慣らしていたとしても、数週間さぼっていればまた固くなっていく。
それを感じたのか、スェラドの腰が止まる。
口づけから解放されて、涙を浮かべた目で見上げると少し汗の滲んだスェラドが微笑んでいた。
「繋がったぞ」
挿入ったぞ、ではなく、繋がったぞ。
その言葉に顔がカァーッと熱くなる。
スェラドと、繋がった。
頰に手を当てて、熱い顔を見られるのが恥ずかしくなり両手で隠す。
「言っておくが全ては収まっておらん。だがまあ、初めてにしてはなかなか奥まで挿入ったのではないか?」
「え! ま、まだ、すべてではないのですか!?」
「当然だ。突いて拡げて……俺の形に馴染むまで苛め抜いてやろう。快感に溺れる覚悟はよいな?」
「…………」
手で、顔を覆ったまま指の隙間からスェラドの表情を見上げた。
とても意地悪で楽しそう。
ああ、なんてひどい。
そう思うけれど、腹に感じる熱……スェラドの形になるほどたくさん突かれて、快感に……。
男根を挿入れられて乱れるルゥイギーの姿が脳裏に浮かぶ。
激しく突かれて、悦び、涙を流す。
一体どれほど気持ちがいいのだろう?
羨ましい。
自分も、あれが欲しい。
あの男根にぐちゃぐちゃに突き上げられた時の快感を知りたい。
「…………は、い……」
喉が鳴る。
唾液を呑み込む音。
そうだ、ヒオリは今、念願の、スェラドの一物に貫かれている。
あとはそれで中を突き上げてもらうだけだ。
「期待しすぎではないか? もう中がうねって絡みついてくるぞ」
「っ! そ、そのような……」
「自分でも分かるだろう? はしたない奴だ……」
「そ……そんな事……」
そう言葉で責められると体がより深い熱を感じる。
これはとても不思議だ。
「んぁあ……!」
胸にスェラドの掌が滑る。
右の胸を大きく揉みしだかれて腰が揺れた。
咥え込んだ一物がスライドするように当たり、熱でおかしくなりそうになる。
「挿入れただけでこれとは……突いたらどうなってしまうのだろうな?」
「っ、はっ、はぁ、あ……」
突いたら——。
性器裏にある、特に感じるところ。
医学書で学んだ、前立腺という器官。
とても敏感でそこを擦られるとあっという間に達してしまう。
あそこを、この固くて熱いものが——突く。
「っう……」
想像しただけでゾクゾクしてしまう。
でも、それはすぐ実体験する事になるのだ。
期待に身体中が悦んでいる。
スェラドの言う通り中がうねり、早く早くとねだっているのが分かった。
本当になんてはしたないのだろう。
「くっ、実に……」
「あっ!」
ヌッ、と軽くスェラドの腰が引いていく。
奥に出来た空洞が寂しい、行かないでとばかりに一物を追うような動きをした。
ずるずる、さらに抜かれる。
てっきり突かれると思ったのに……。
「ひぃ!」
そう切なさに胸が張り裂けそうになった時、突然スェラドのものが押し入って来た。
それも前立腺を確かに押し潰し、擦り上げ、先程よりも奥へ一気に。
突かれた。
目の前が白黒点滅する。
衝撃——というのはこういう事を言うのだろう。
頭の中がたったひと突きで真っ白になり、熱に支配された。
ぼやけた視界の先でスェラドが微笑んでいる。
「はっ、かは……ぁ……」
「ああ、なんとも……言葉に出来ぬ……愛い、愛い……」
「っう……あ、あっ、スェラドさまぁ……」
肩にしがみつき、降りて来た唇に吸いつく。
ヒオリにはこの人しかいない。
ふわふわとする感覚の中。
そして、この先の人生。
スェラドしかいない。
だからすがる。
目を閉じてたっぷりと舌で咥内を舐めてもらってから、息を少しだけ整えて唇を離す。
「痛みはあるか?」
「……は、はあ、はあ、い、いいえ……」
「続けるぞ」
「っ、はい」
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