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初恋の人が自罰的だったので溺愛することにした
カッコ悪い自分(2)
しおりを挟む「ウォータースライム」
と、呼び出したスライムはいつぞや風呂場で介助をしてくれたウォータースライム。
リグの服の下に入り込み、フィリックスが腰の下に膝を差し込んで浮いた下半身に巻きつく。
服の下からでもごぷ、ごぷ、という侵入音が聞こえてくる。
それにリグが切ない、苦しげな声を漏らす。
「う、うっ、うあ……ぐぅ……ふっ……うう……」
「脱がすよ」
「あ!? ま……待って、まだ……」
「ごめん、待てない」
左手は繋いだまま、右手でズボンと下着を剥ぎ取る。
どろりとしたスライムが、尻穴をぐちぐちに解かして中を綺麗にしていた。
男同士で性行為をするのに必要なことだとわかっているのに、自分よりも先にリグの中にいるスライムが憎々しい。
「っ!? あ、ん、あっ、あっ……!」
スライムを退かすように指を挿し入れる。
前立腺の場所を執拗に指先でトントン叩くと、面白いほど白い体が跳ねた。
きゅうきゅうと可愛らしく伸縮するその場所に、早く自分のモノを捻じ込みたい。
「はぁー……はぁー……ぁ……っ、ふぃ、フィー、の、は、早く……欲し……っ」
「っ……! 挿入れる、よ?」
「うん――っああぁーーーッ! はっ……入っ……て、きたぁ……!」
スライムを引き摺り出し、床に投げて自分のモノを掴んで当てがって一気に最奥まで押し入れた。
ぎゅう、と強く握られる手。
痙攣が止まらないリグに、動くことはなくしばらくそのまま様子を見た。
呼吸が落ち着いてきたのを確認してから、奥をゆるくこね回し始める。
「っ!? う、あ! だ、め……! それ! やめて!」
「え? なんで? 病み上がりだから強くはしないよ」
「ちがっ……奥、そんなふうにされるの……ヘン、だからっ!」
「っ?」
ガツガツと腰を振ってリグを揺さぶって自分だけ気持ちよくなりたいと思う反面、四日間眠って魔力回復に集中していた怪我人であるリグを途方もなく大切に愛してあげたい気持ちの方が大きい。
なのに、腰の痙攣が止まらない。
腹の中のうねりも、いつもよりもすごかった。
ここで腰など動かしたら、すぐに達してしまいそうだ。
だから、リグの体が落ち着いてから、無理させすぎない程度にゆっくり動こうと思っていた。
なのに――。
「うっ、うあ……なん、なにこれ、や、やだ、こわい……」
「っ? 抜く? 抜いた方がいい?」
様子がおかしい、とゆっくり引き抜こうとすると目を見開いて「ひっ」と声を上げる。
抜かない方がいいのか、とまた一番奥まで入れると、フィリックスと繋いだ手に額を擦り寄らせるではないか。
「リグ? 大丈夫か? どうしたらいい? 抜かない方がいいのか、抜いた方がいいのか」
少なくとも今抜くと尻切れ蜻蛉になる。
自分で抜く分には構わないのだが、このままでいるのもしんどいといえばしんどい。
(中、すご……)
腰を動かしたい。が、中が意思のある生き物のようにうねって絡みついてくるのがとんでもなく気持ちいい。
このままでも十分扱かれているようで、達してしまいそうだ。
それでも挿れたら動きたくなるのが男の性。
(でも)
リグが嫌なことは絶対にしたくない。
ずっと暴力の中で生きてきた彼に、彼が望まないことは絶対しない。
きちんと確認をする。
意思を聞く。
息荒く、困惑していたリグがゆっくりとフィリックスを見上げる。
涙でキラキラと美しい紫の瞳。
左手がフィリックスの頬に触れる。
「……ふぃ、フィーの、好きに……う、動いて……」
「でも」
「フィーになら、す、好きにしてほしい……から。ぼ、僕がどうなっても、フィーにされたことなら……大丈夫、だからっ」
そんなつもりはないのだろうけれど、好きな子にこんなことを言われたら堪らない。
ごきゅ、と生唾を飲む。
絶対に、そんなつもりがないのはわかっている。
「あんまり、煽らないでくれよ……」
「え……?」
「ただ、好きって言葉で……おれは、免罪符とかにしたいわけじゃ、なかった、のに……っ」
「――っ!!」
そんなふうに言われたら、とても我慢なんてできるわけがない。
腰を右腕で持ち上げて固定して、一気に引き抜いて一気に一番奥を突いた。
ヒュ、という空気を飲む音。
仰け反って弓形になる背中も全部包むように、体を密着させて激しく中を犯す。
「あっ! あっ、あっああ、あっあぁっ! イッ、イって、るぅ……!」
「リグ、リグ……! リグ、好きだ、好きだ……」
「ん、んーっ!」
今までで一番中の動きがすごい。
搾り取るように激しくうねり、締め上げてくる。
唇を塞いでキスに集中すればもう少し保つかと思ったが。
(保たない。気持ちいい。リグ可愛い。好きだ、好きだっ)
また締まる。
唇を離す度に好き、と告げると可愛らしくキュ、キュと締めて反応するのだから可愛くないわけがない。
「あ……あ……っアー……ああぁっ、あぁっ」
「リグ、好き……イッ――!」
「あああぁっ!」
最奥を突く。
中に盛大に出して、自分でも信じられない量を注ぐ。
四日も落ち込んで抜くこともしなかったのだから、溜まっているのは仕方ないのだろうけれど。
「はっ、はぁ……全然、止まらない……っまだ、出る……っ」
「ンンンーーー……っ」
首をのけ反らせてまた体を痙攣させるリグ。
見下ろすと全身が赤く染まっていて、とても美しい。
可愛いのに、綺麗で、美しく、儚い。
どこかに消えてしまいそうな彼を繋ぎ止めるのに、手首を掴んで首筋を舐め上げた。
汗の匂い。
(ああ……もっと……)
もう一度、と思ったが鼻を啜る音で顔を上げる。
涙でぐちゃぐちゃの顔にサーッと血の気が引く。
「やりすぎた! ごめん! 今抜くから!」
「だ、だめ、だめ……!」
「え」
「い、いま、う……動かない、でぇ……!」
ボロボロと泣き続け、「うごいちゃだめ、イっちゃう」と言う。
フィリックスの方が頭に疑問符を浮かべる番だ。
射精は終わった。
達したあと、抜く時が一番リグは好きそうなのに今は動くな、と言う。
それにイっちゃう、とは。
(まあ、でも、リグが待てと言うのなら……)
中のうねりに揉まれると、また勃ってきそうなのだが仕方ない。
痙攣し続ける体を必死に縮めて落ち着けようとするリグを見ていると、また、このまま犯してしまいたくなる。
「リグ、大丈夫……?」
「っ、だ、大丈夫じゃ、ない……」
大丈夫じゃないとは、大変なことになっている?
繋いでいた手を離して前髪に触れると、それだけでぎゅっと中が締め上げられた。
(やっ、ば……勃つ……!)
やり過ごそうとしたが無理だ。
中で大きくなる自分のモノを感じて、さらにリグの中もキツく絡みついてくる。
「な、なんでおっきくする、ん、だぁ……!」
「そ、そんなこと言われても……!」
「ず、ずっと、イってて……怖い……の、に、ぁあぁっ、ま、またぁ……キて……んんんっ!」
「え」
フィリックスの腕を掴んで、大きく痙攣するリグ。
涙を流し続けて、必死に呼吸を整えようとする。
(イ、イってる? さっきイったのに? どういうことだ? やっぱり今すぐ抜くべき? でも、中、めちゃくちゃ気持ちいい……)
動きたい男の本能がまた頭を擡げる。
たまがリグの様子は明らかにおかしい。
「こわい、こわい……ふぃ、フィー、こわい」
「っ、だ、大丈夫」
「ずっと、頭ふわふわで怖ぃぃ……こんなの、なったことない、からぁ……こわいぃ……ずっと、気持ちよくて……あたま、ヘン、んんんっ」
「大丈夫、大丈夫だよ。落ち着いて」
落ち着いて、と声をかけながらフィリックスも混乱していた。
なんだこれは、どうしたのだ。
リグはいったいどうなってしまったのか。
ただ、本当に怖がっていて痙攣とは別にカタカタと震えている。
(こんなリグを、犯したいなんて――)
ぶち、と唇の端を噛み切ってから「抜くよ」と声をかけて「いや、動かないでぇ」と首を横に振るリグを抱き締めながらモノを引き抜く。
途端にまた悲鳴じみた声でリグが絶頂に達したので、頭を撫でて「大丈夫、大丈夫」と宥める。
「……っ……うう」
「大丈夫、もう抜いたから」
「ん、う……、うううー……」
「ごめん……やっぱりやめればよかっ――」
「離れたら、嫌だ」
首にしがみつかれる。
いや、ここは離れて半勃ちの愚息をスッキリとさせてきたい。
だがこれでは動けないではないか。
リグから、こんなふうにされたら。
「リグ」
「僕……まだ……好きとか、わからない……でも、フィーが離れていくのは、こわい」
「っ」
「いかないで」
心臓が大きく鳴った。
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殺してやる、と目に入ったジュエルドラゴンを倒そうとして――助けられた。
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“自分と同じ”なのだと。
それを教えてくれたのがリグだ。
「いかないよ。どこにも。ここにいるよ」
なのにリグがいた場所はろくでもない。
助けを求めることすらしなくなるほど、誰も助けてはくれない生活を十五年。
(ようやくきみを……)
そんな彼が口にしたのだ、いかないで、と。
今も囚われ続けている彼が。
(ほんの少しだけ、連れ出せた)
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