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長兄マリウスとの談話
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サーリーク王国の北側に広がる山々は、のこぎり山脈と呼ばれている。雲を突いて連なる稜線がのこぎりの刃ように見えるからである。
ユリウスが子どもを見つけたとき……つまり、約二年前、このゼーゲ山脈の向こうから難民が流入してくるという椿事が発生していた。
山からだけではない。
どういうルートを辿ったものか、南の海からも人間をぎゅうぎゅうに詰め込んだ漁船が流れ着いたりもした。しかし、そのほとんどは死体であった。船内の衛生環境が悪かったことに加え、乗船していたひとびとの栄養状態がそもそも悪く、健康体といえなかったことが原因と思われた。
この難民問題はサーリーク王国に隣接する周辺諸国でも起こっていた。
そこで各国が協力し、この難民がどこから流れてくるのかを探った。
ほどなくしてそれは、山岳地帯に位置する小国、デァモントであることが判明した。
このデァモントは、正確には国という扱いではない。
どこからか流れ着いて、山間や高地に居住地をつくり、いつの間にか住み着いていた者たちが、いつからかデァモントを名乗り始めたのだった。
デァモントの詳細については、どの国も情報は乏しい。
デァモントは国交を拒絶しており、輸出入も行わず、徹底的な鎖国を貫いているからだ。
しかし亡命者が居ないわけではない。
ごくごく稀ではあったが、デァモントから逃げてきた者が保護を求めることもあり、その者たちからの聞き取りで得た情報が、今回の難民騒動で初めて各国の間で共有された。
収集した情報を突き合わせ、分析した結果、デァモントで暮らす民の数はおよそ数万~数十万、言語は大陸公用語、農耕と酪農を主とした非武装集団で、独自の信仰を持っている、ということがわかった。
そして山越えを果たした難民たちの証言では、いま現在民たちはひどい飢餓状態を強いられ、強制労働をさせられている、ということであった。
耐え切れずに逃げ出したが途中で追っ手に殺された者も居た、命からがら集落を抜けても、山で獣に襲われ、崖を踏み外して死んだ者も居た、乗れるだけ民を載せて出港したが途中で難波し沈んだ船もある。
多くの者がいのちを落したが、それよりもなお多くの民がいまもまだデァモントで苦しんでいる。
どうか、誰か、彼らを解放してほしい。
飢えと、労働と、信仰から。
どうか解放してほしい。
涙ながらの亡命者の言葉は、各国の首脳陣を動かすに至った。
各国はデァモントの実情を把握するため、それぞれが査察団を編成した。
サーリーク王国からは第一騎士団が派遣されることとなった。
そこに新人騎士としてユリウスも名を連ねた、というわけである。
騎士団一行は、ゼーゲ山脈の中でも、難民が通ってきたというルートを数か所特定し、各師団に別れて生存者や新たな亡命者が居ないかを探りながら移動した。
デァモントの集落が近づくにつれ、山中には放置された遺体がそこかしこで発見された。
始めは穴を掘り手厚く弔っていたが、その数の多さに隊の進行の足がにぶる。
予定の行程には届いていなかったが、第二王子である団長の判断で、その日は山中に天幕を張り一夜を明かすこととなった。
周囲にデァモントの民が潜んでいないか、それが亡命者ならば保護を、敵対するようであれば捕縛を命じられ、他の団員とともに斥候に出たユリウスがそこで見つけたのが、死にかけの子ども……つまり、ユリウスのオメガであった。
抱き上げた瞬間に感じた衝撃は、いまも鮮明だ。
小枝のように軽くて、泥まみれで瀕死だったユリウスのオメガ。
乾いてひび割れた唇から漏れるか細い吐息が、どれほどいとしかったか。
当時の感情を思い出して早口に語ったユリウスが、息継ぎのためにふぅとひと息を入れたタイミングで、長兄が質問を挟んできた。
「その子どもが居た場所に、他に誰も居なかったか?」
「居ません。居たら気づくでしょう」
「オメガに夢中のおまえにその余裕があったならな」
「僕になくても、ロンバードが居ましたから」
ユリウスの返事に、ふむ、とマリウスが頷く。弟可愛さに騎士団長の右腕からユリウスの側近へと『転職』させられたロンバードの能力は、長兄も認めるところである。
「おまえの話は、子どもの愛らしさについて以外はクラウスとほぼ同じだな」
目新しいことはない、と顎をさすりながらマリウスが呟いた。
結局、二年前に派遣した騎士団ができたことは、山中の遺体の埋葬のみで、生きている亡命者の保護には至らなかった。
デァモントの集落に入ることも叶わなかった。
サーリーク王国だけでなく、他の諸国もそれは同様であった。
デァモントがことさら堅牢だというわけではない。
事前に収集していた情報通り、民たちは非武装だった。集落の周囲は大人の背丈ほどの石壁が築かれ、ひとの出入りは厳重に監視されてはいたが、そこに立つ見張りですら武装と呼べるほどの装備はしていなかった。
相手が非戦闘員である以上、こちらも武力で押し通るわけにはいかない。
サーリーク王国騎士団や他の諸国は改めて使者を立て、代表者との対話を要求したが、それは受け入れられなかった。
以降二年に渡り幾度も説得を続けているが、デァモント側はのらりくらりと逃げ続けている。
デァモントから流れてくる難民の数は、ここしばらくは減少の一途を辿っていた。国政(国ではないが便宜上)が安定したのか、との意見もあったが、生き永らえた亡命者たちは口を揃えてこう訴えた。
「あそこからは逃げられないようになっている」、と。
「理解不能ですね」
ユリウスは肩を竦め、小さく鼻を鳴らした。
長兄の隣でアマーリエが、「冷たいユーリもステキ」と呟いていたが、これは無視する。
「聞けば見張りは武装もしていない単なる平民とのことではないですか。我々が押し入るのが難しいからといって、内側から出てくるのは容易でしょうに」
「それができないからくりがあるんだ」
マリウスが男らしくくっきりとした眉を軽く顰め、眉間を軽く揉んだ。
「デァモントの民は、信仰を盾にとられている」
「……信仰?」
「もともとデァモントは国じゃない。デァモント教という宗教団体だ」
デァモントからの亡命者は各国で保護されているが、身の安全を保障する代わりに彼らは、デァモントに関する情報を開示しなければならない。
捕虜ではなく客人扱いとなっているため、無理な聴取は取り行われていないが、彼らはデァモントに残された民たちを救うことができるならばと知っていることは積極的に語ってくれた。
しかしことがデァモント教内部に及ぶと、途端に口が重くなる。
教皇と呼ばれる人物を中心に教団を築き、古来より月神デァモントを祀っている、という程度のことしか語らない。
おのれらの味わった苦境は語れど、その根幹であるはずの教団については皆一様に口を閉ざすのだった。
「一種の洗脳だな」
と長兄は言った。
「洗脳ですか」
「信仰心を利用して、生かさず殺さず、民たちを操ってるんだろう」
「しかし亡命者はおのれの意思で逃げたのでしょう。ならばその洗脳とやらも解けているのではないですか」
ユリウスの指摘に、マリウスが軽く肩を竦めた。
「それがそう簡単なものではないらしい。神は崇めど唯一教でない我々には想像もつかない話だがな」
妻の淹れた紅茶で唇を湿らせ、マリウスはひと息ついた。
そしてユリウスの方へと身を乗り出し、声を低くして、
「ここからがおまえを呼んだ本題だ」
と切り出した。
ユリウスは背筋を伸ばし、兄を真正面から見つめた。
「デァモントの民は公用語を使う。現に、俺たちが保護した難民たちもそうだった」
「はい」
「先日、他国よりとある情報が寄せられた。デァモント教団についての、貴重な証言だ」
「はい」
「教団内部のごく限られた者たちの間では、『そこでしか使われていない言語』があったようだ、と」
ユリウスは目を見開いた。
長兄は真顔でひとつ頷いた。
「ユーリ。おまえが拾った子どもは、どの国のものとも知れぬ言葉を話したと聞いている。おそらくは、いまは使われていない古語の類だろうと、薬師は言っていた」
ユリウスは脳裏に、子どもの愛らしい顔を思い浮かべた。
山の中、痩せ衰え、泥まみれで倒れていた子ども。
兄がゆっくりと口を開き、ひとつの可能性をユリウスへと示した。
「ユーリ。おまえのオメガは、教団中枢の関係者かもしれんぞ」
ユリウスが子どもを見つけたとき……つまり、約二年前、このゼーゲ山脈の向こうから難民が流入してくるという椿事が発生していた。
山からだけではない。
どういうルートを辿ったものか、南の海からも人間をぎゅうぎゅうに詰め込んだ漁船が流れ着いたりもした。しかし、そのほとんどは死体であった。船内の衛生環境が悪かったことに加え、乗船していたひとびとの栄養状態がそもそも悪く、健康体といえなかったことが原因と思われた。
この難民問題はサーリーク王国に隣接する周辺諸国でも起こっていた。
そこで各国が協力し、この難民がどこから流れてくるのかを探った。
ほどなくしてそれは、山岳地帯に位置する小国、デァモントであることが判明した。
このデァモントは、正確には国という扱いではない。
どこからか流れ着いて、山間や高地に居住地をつくり、いつの間にか住み着いていた者たちが、いつからかデァモントを名乗り始めたのだった。
デァモントの詳細については、どの国も情報は乏しい。
デァモントは国交を拒絶しており、輸出入も行わず、徹底的な鎖国を貫いているからだ。
しかし亡命者が居ないわけではない。
ごくごく稀ではあったが、デァモントから逃げてきた者が保護を求めることもあり、その者たちからの聞き取りで得た情報が、今回の難民騒動で初めて各国の間で共有された。
収集した情報を突き合わせ、分析した結果、デァモントで暮らす民の数はおよそ数万~数十万、言語は大陸公用語、農耕と酪農を主とした非武装集団で、独自の信仰を持っている、ということがわかった。
そして山越えを果たした難民たちの証言では、いま現在民たちはひどい飢餓状態を強いられ、強制労働をさせられている、ということであった。
耐え切れずに逃げ出したが途中で追っ手に殺された者も居た、命からがら集落を抜けても、山で獣に襲われ、崖を踏み外して死んだ者も居た、乗れるだけ民を載せて出港したが途中で難波し沈んだ船もある。
多くの者がいのちを落したが、それよりもなお多くの民がいまもまだデァモントで苦しんでいる。
どうか、誰か、彼らを解放してほしい。
飢えと、労働と、信仰から。
どうか解放してほしい。
涙ながらの亡命者の言葉は、各国の首脳陣を動かすに至った。
各国はデァモントの実情を把握するため、それぞれが査察団を編成した。
サーリーク王国からは第一騎士団が派遣されることとなった。
そこに新人騎士としてユリウスも名を連ねた、というわけである。
騎士団一行は、ゼーゲ山脈の中でも、難民が通ってきたというルートを数か所特定し、各師団に別れて生存者や新たな亡命者が居ないかを探りながら移動した。
デァモントの集落が近づくにつれ、山中には放置された遺体がそこかしこで発見された。
始めは穴を掘り手厚く弔っていたが、その数の多さに隊の進行の足がにぶる。
予定の行程には届いていなかったが、第二王子である団長の判断で、その日は山中に天幕を張り一夜を明かすこととなった。
周囲にデァモントの民が潜んでいないか、それが亡命者ならば保護を、敵対するようであれば捕縛を命じられ、他の団員とともに斥候に出たユリウスがそこで見つけたのが、死にかけの子ども……つまり、ユリウスのオメガであった。
抱き上げた瞬間に感じた衝撃は、いまも鮮明だ。
小枝のように軽くて、泥まみれで瀕死だったユリウスのオメガ。
乾いてひび割れた唇から漏れるか細い吐息が、どれほどいとしかったか。
当時の感情を思い出して早口に語ったユリウスが、息継ぎのためにふぅとひと息を入れたタイミングで、長兄が質問を挟んできた。
「その子どもが居た場所に、他に誰も居なかったか?」
「居ません。居たら気づくでしょう」
「オメガに夢中のおまえにその余裕があったならな」
「僕になくても、ロンバードが居ましたから」
ユリウスの返事に、ふむ、とマリウスが頷く。弟可愛さに騎士団長の右腕からユリウスの側近へと『転職』させられたロンバードの能力は、長兄も認めるところである。
「おまえの話は、子どもの愛らしさについて以外はクラウスとほぼ同じだな」
目新しいことはない、と顎をさすりながらマリウスが呟いた。
結局、二年前に派遣した騎士団ができたことは、山中の遺体の埋葬のみで、生きている亡命者の保護には至らなかった。
デァモントの集落に入ることも叶わなかった。
サーリーク王国だけでなく、他の諸国もそれは同様であった。
デァモントがことさら堅牢だというわけではない。
事前に収集していた情報通り、民たちは非武装だった。集落の周囲は大人の背丈ほどの石壁が築かれ、ひとの出入りは厳重に監視されてはいたが、そこに立つ見張りですら武装と呼べるほどの装備はしていなかった。
相手が非戦闘員である以上、こちらも武力で押し通るわけにはいかない。
サーリーク王国騎士団や他の諸国は改めて使者を立て、代表者との対話を要求したが、それは受け入れられなかった。
以降二年に渡り幾度も説得を続けているが、デァモント側はのらりくらりと逃げ続けている。
デァモントから流れてくる難民の数は、ここしばらくは減少の一途を辿っていた。国政(国ではないが便宜上)が安定したのか、との意見もあったが、生き永らえた亡命者たちは口を揃えてこう訴えた。
「あそこからは逃げられないようになっている」、と。
「理解不能ですね」
ユリウスは肩を竦め、小さく鼻を鳴らした。
長兄の隣でアマーリエが、「冷たいユーリもステキ」と呟いていたが、これは無視する。
「聞けば見張りは武装もしていない単なる平民とのことではないですか。我々が押し入るのが難しいからといって、内側から出てくるのは容易でしょうに」
「それができないからくりがあるんだ」
マリウスが男らしくくっきりとした眉を軽く顰め、眉間を軽く揉んだ。
「デァモントの民は、信仰を盾にとられている」
「……信仰?」
「もともとデァモントは国じゃない。デァモント教という宗教団体だ」
デァモントからの亡命者は各国で保護されているが、身の安全を保障する代わりに彼らは、デァモントに関する情報を開示しなければならない。
捕虜ではなく客人扱いとなっているため、無理な聴取は取り行われていないが、彼らはデァモントに残された民たちを救うことができるならばと知っていることは積極的に語ってくれた。
しかしことがデァモント教内部に及ぶと、途端に口が重くなる。
教皇と呼ばれる人物を中心に教団を築き、古来より月神デァモントを祀っている、という程度のことしか語らない。
おのれらの味わった苦境は語れど、その根幹であるはずの教団については皆一様に口を閉ざすのだった。
「一種の洗脳だな」
と長兄は言った。
「洗脳ですか」
「信仰心を利用して、生かさず殺さず、民たちを操ってるんだろう」
「しかし亡命者はおのれの意思で逃げたのでしょう。ならばその洗脳とやらも解けているのではないですか」
ユリウスの指摘に、マリウスが軽く肩を竦めた。
「それがそう簡単なものではないらしい。神は崇めど唯一教でない我々には想像もつかない話だがな」
妻の淹れた紅茶で唇を湿らせ、マリウスはひと息ついた。
そしてユリウスの方へと身を乗り出し、声を低くして、
「ここからがおまえを呼んだ本題だ」
と切り出した。
ユリウスは背筋を伸ばし、兄を真正面から見つめた。
「デァモントの民は公用語を使う。現に、俺たちが保護した難民たちもそうだった」
「はい」
「先日、他国よりとある情報が寄せられた。デァモント教団についての、貴重な証言だ」
「はい」
「教団内部のごく限られた者たちの間では、『そこでしか使われていない言語』があったようだ、と」
ユリウスは目を見開いた。
長兄は真顔でひとつ頷いた。
「ユーリ。おまえが拾った子どもは、どの国のものとも知れぬ言葉を話したと聞いている。おそらくは、いまは使われていない古語の類だろうと、薬師は言っていた」
ユリウスは脳裏に、子どもの愛らしい顔を思い浮かべた。
山の中、痩せ衰え、泥まみれで倒れていた子ども。
兄がゆっくりと口を開き、ひとつの可能性をユリウスへと示した。
「ユーリ。おまえのオメガは、教団中枢の関係者かもしれんぞ」
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