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本編
第四十九話 食べ尽くして④࿇
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「……ぇ……?」
未だ胸元で咲き続ける呪いの華に触れたクロムが洩らした忌々し気な声色に、アリーチェはすぐにきょとん、と不思議そうに目を開ける。
「大丈夫です。ただ気持ちよくなるだけですから」
そんなアリーチェに、クロムはどこか黒さを思わせるような微笑みを浮かばせて。
「俺のものだ、って、印を刻みましょうね」
「あ……っ!?」
ぐ、と腰を押し付けられ、びくっ、と下肢が反応した。
「挿れますよ?」
「あ……っ!」
宣言と同時に蜜口を押し開かれ、アリーチェの白い喉は仰け反った。
「あ……っ、ぁ……っ、あ……っ」
熱いなにかが隘路をゆっくりと昇ってくる感覚に、じわりと涙が滲む。
「……くっ……」
クロムはクロムでなにかに耐えるように奥歯を噛み締めて、苦し気に洩れた荒い吐息を感じてぞくりとした官能に襲われる。
「とろとろなのに……っ、狭くて……っ」
「あ……っ、あ……!」
熱くて、熱くて。
腹部から全身へと広がっていく熱に、思考回路が焼き切れる。
「大丈夫、ですか?」
「ぁ、ん……っ、ク、ロム……ッ、ゃ……っ、へ、ん……っ」
心配そうに尋ねられ、少しでも熱を逃したくてふるふると首を横に振る。
自分の中に異物が入り込んでいるという圧迫感はあれど痛みや違和感は一切なく、湧き上がる熱はどんどん大きくなっていく。
「や……っ、ぁ……! 気持ち、ぃ、の……ぉ……!」
じわじわと広がっていく熱の正体は快楽だ。
「へ、ん……っ、や、ぁ……っ! へん、なの……ぉ……!」
今までもおかしくなるほどの快楽に襲われていたものの、それとは比べようにならないほど大きな快感に、アリーチェの瞳からは次から次へと涙が溢れ出す。
「……っ、魔力酔いは媚薬より質が悪いですからね」
クロムもまた苦し気に顔を歪ませて、少しずつ腰を押し進めてくる。
「ゃ……っ、ぁあ……っ!」
胎内でクロムの熱を感じるだけでおかしくなる。
これ以上はもう耐えられないような、いっそ壊れるほど激しくしてほしいような。
「俺も……っ、もう限界です……っ」
こめかみに汗を浮かばせたクロムが荒げた声を吐き出して、アリーチェの細腰を掴んでくる。
「アリーチェさんの胎内、善すぎて……っ。もう無理です……っ」
魔力酔いを起こしているのは、なにもアリーチェだけではない。
相性の良い者同士の間で起こる現象だというのなら、クロムもまたアリーチェと同じような熱に襲われているはずだった。
「で、も……っ」
そこでぐ、っと奥歯を噛み締めたクロムは、一度ぴたりと腰を止め、ぶつぶつと呪文めいたなにかを呟き出した。
「アリーチェさん」
「あ……っ、ク、ロム……?」
思考回路が完全に快楽で飽和したアリーチェは、自分の名を呼ばれる吐息だけで腰を震わせ、蕩け切った目を上げる。
「愛してます」
「あ……っ!」
体液が媚薬だとしたら、言葉はなんだろうか。
甘い微笑みと共に告げられた真摯な囁きに歓喜で身体が打ち震え、それだけで達しそうになってしまう。
「俺の重たい愛を受け止めてください」
「ん……っ」
懇願と共に唇が重なって、ぐ……っ、とクロムの腰が突き入れられるのを感じた。
「あ……っ?」
の直後。
「……ひ、ぁぁぁ……――っ!?」
一気に奥まで突き上げられ、衝撃とも歓喜ともわからない悲鳴が喉の奥から突いて出た。
「……あ、っつ、ぃ……!」
燃えるほどの熱と快楽に襲われて、アリーチェはがくがくと腰を震わせながら新たな涙と蜜を溢れさせる。
「……っく……、呪い、を、書き換えました……っ」
クロムの言葉の意味はわからない。
けれど。
「ひ……っ、あっ、あ……っ、あ……!」
腹部から広がった熱はアリーチェの胸元で灼熱となり、呼吸がままならないほどの快楽と疼きに襲われる。
「や……っ、なに、こ、れ……!? あっ、あ……!」
「少しすれば落ち着くはずですが……」
アリーチェの肌を這う蔦の文様を辿るように灼熱が広がっていき、身体中が熱くて熱くて堪らない。
「ふ……っ、ぁ……っ、ゃ、あ……っ! や、ぁ、あっ、あ……っ」
身体中が痙攣したかのようにびくびく震え、アリーチェはクロムに縋りつく。
「なにこ……っ? や、ぁ……っ、たすけ……っ」
全身に広がる快楽と熱に、勝手に腰が揺れ動き、粗相をしてしまったのではないかというほどの蜜が溢れ出す。
「すみません。少しだけ我慢してください」
「クロ……ッ? な、に……」
「解呪より、書き換える方が少しだけ難易度が下がるんです」
がくがくと身体を震わせて快楽と熱に耐えるアリーチェへ、クロムの眉根が申し訳なさそうに引き下がる。
クロムの言う“呪いの書き換え”の意味。
「……成功、ですね」
「え……?」
嬉しそうに目を細めてアリーチェの肌を撫でたクロムの指先に視線を移せば、蔦の先から呪いの文様が縮んでいくところだった。
「……な、に……?」
蕾が消え、あちこちで咲きかけていた華が消え、最後に胸元の大輪が薄くなっていく。
だが。
「……く……っ、まだ……、足掻きますか……っ」
「え……? え……っ?」
苦しそうに顔を歪めたクロムに、一体なにが起こっているのだろうとアリーチェの瞳は瞬いた。
「……アリーチェさん」
「ひぁ……っ!?」
そこで、ぐ、と奥まで腰を突き入れられ、目の奥に白い光が舞った。
「動きますね」
「ひ、ん……っ」
言葉と同時に腰を掴み取られ、お腹の奥からじわじわとした熱が広がっていく。
「内側から……っ、全部、消し去ってやりますから……っ」
「あっ、あ……っ、あ……! や、ぁ……っ、あ、あ……!」
そこまで激しく揺さぶられているわけではないというにも関わらず、目が回るような感覚に意識が遠くなっていく。
「すみません。ちょっと辛いかもしれませんが……」
「あ……っ、ぁあ……っ!」
勝手に溢れる涙の原因が強すぎる快楽から来ているものだと気づき、アリーチェは胸を喘がせる。
過ぎる快楽は拷問にも近い。
「や……っ、クロ、ム……ッ、だ、め……っ、へ、ん……っ、おかし……っ、おかしく、な……っ」
がくがくと腰が痙攣し、必死にクロムに縋りつき、アリーチェは涙を振り溢す。
「これ以じょ……っ、気持よくなりたくな……ぁ……っ、ぁあ……!」
クロムが腰を動かすたびに強すぎる快楽に襲われて、その中で溺れそうになってしまう。
「あっ、あ……っ、あ……!」
ぐちゅぐちゅという淫猥な水音が響き渡り、溢れ出す愛液が後ろまで伝い落ちていく感覚にさえ、ふるりと身体が揺れた。
「あ、あ、あ……っ、だ、め……ぇ……っ! だめぇ……っ、おかし、く……、おかしく、なっちゃ……ぁ……っ」
頭の中で光で散り、正気を保っていられない。
「イく……っ、イく……っ、イっちゃ、ぅ……、から……ぁ……!」
次から次へと襲い来る快楽の波に攫われて、いとも簡単に絶頂まで誘われた。
「……っ、ちょっとだけ、我慢してください……っ」
「や、ぁ……っ! 無理……っ、我慢、や、ぁ……っ」
なにがなんだかわからなくなり、息を詰めたクロムの言葉に、しゃくりあげて泣く子供のように嫌々と首を振る。
強すぎる快楽は苦しくて、怖すぎて。
早く解放されたくて、必死にクロムへ懇願する。
「も……っ、イく……っ、イきた……ぁ……っ」
「俺も、もう少し、なので……っ」
それでも苦し気に乞われると胸がきゅんとなり、がくがくと腰を震わせながら襲い来る絶頂の予感を遣り過ごす。
「あ……っ、や……っ、もう少し、ゆっく、り……ぃ……っ」
「すみません……っ、アリーチェさんの胎内、善すぎて……っ」
「ひ、ぁ、あ、あ……っ」
せめてもう少し、と涙を零せば切羽詰まったようなクロムに謝られ、切れ切れの喘ぎを繰り返す。
「あ……っ、ゃ……、も……っ、早……っ」
「俺も、我慢が利かなくて……っ」
腰が止まらないのだという悔し気な呟きは、もはやアリーチェの耳まで届かない。
絶頂一歩手前の快楽は苦しくて。
「あっ、あ……っ!」
「そんな、搾り取ろうとしないでください……っ」
「そ、な……っ、ちが……ぁ……っ、あっ、あ……!」
クロムのこめかみからアリーチェの肌へと汗の雫がぽたぽたと落ちてきて、色濃いクロムの匂いにさえくらくらする。
「クロ、ム……ッ、クロ、ム……ぅ……っ」
「っ、なんでそんなに可愛いんですか……っ」
泣きながら必死になってクロムに縋りつくアリーチェへ、舌打ちにも近いクロムの呟きが洩らされる。
「や、ぁあ……っ! そ、な……っ、した、ら……っ、イっちゃ……っ」
「っ、俺も……っ、もう……っ」
一層激しくなる律動に涙を流せば、クロムの腕の中にぎゅっと抱き締められた。
「一緒に……っ」
「あ……っ!」
クロムの存在を強く感じ、背筋がぞくりと粟立った。
「ぁ……っ、あ、あ……っ」
「アリーチェさん」
「……あ、あ……っ」
激しく腰を打ち付けながらも落とされる甘い呼びかけに、アリーチェはうっすらと目を開ける。
「ク、ロム……ッ」
と、そこには愛おし気にアリーチェを見つめるクロムの赤い瞳があって、多幸感に満たされる。
「愛してます」
「あ……っ」
囁きと共に下へ伸びたクロムの指先が濡れそぼる花芽を摘んできて、頭の中で白い光が弾け飛んだ。
未だ胸元で咲き続ける呪いの華に触れたクロムが洩らした忌々し気な声色に、アリーチェはすぐにきょとん、と不思議そうに目を開ける。
「大丈夫です。ただ気持ちよくなるだけですから」
そんなアリーチェに、クロムはどこか黒さを思わせるような微笑みを浮かばせて。
「俺のものだ、って、印を刻みましょうね」
「あ……っ!?」
ぐ、と腰を押し付けられ、びくっ、と下肢が反応した。
「挿れますよ?」
「あ……っ!」
宣言と同時に蜜口を押し開かれ、アリーチェの白い喉は仰け反った。
「あ……っ、ぁ……っ、あ……っ」
熱いなにかが隘路をゆっくりと昇ってくる感覚に、じわりと涙が滲む。
「……くっ……」
クロムはクロムでなにかに耐えるように奥歯を噛み締めて、苦し気に洩れた荒い吐息を感じてぞくりとした官能に襲われる。
「とろとろなのに……っ、狭くて……っ」
「あ……っ、あ……!」
熱くて、熱くて。
腹部から全身へと広がっていく熱に、思考回路が焼き切れる。
「大丈夫、ですか?」
「ぁ、ん……っ、ク、ロム……ッ、ゃ……っ、へ、ん……っ」
心配そうに尋ねられ、少しでも熱を逃したくてふるふると首を横に振る。
自分の中に異物が入り込んでいるという圧迫感はあれど痛みや違和感は一切なく、湧き上がる熱はどんどん大きくなっていく。
「や……っ、ぁ……! 気持ち、ぃ、の……ぉ……!」
じわじわと広がっていく熱の正体は快楽だ。
「へ、ん……っ、や、ぁ……っ! へん、なの……ぉ……!」
今までもおかしくなるほどの快楽に襲われていたものの、それとは比べようにならないほど大きな快感に、アリーチェの瞳からは次から次へと涙が溢れ出す。
「……っ、魔力酔いは媚薬より質が悪いですからね」
クロムもまた苦し気に顔を歪ませて、少しずつ腰を押し進めてくる。
「ゃ……っ、ぁあ……っ!」
胎内でクロムの熱を感じるだけでおかしくなる。
これ以上はもう耐えられないような、いっそ壊れるほど激しくしてほしいような。
「俺も……っ、もう限界です……っ」
こめかみに汗を浮かばせたクロムが荒げた声を吐き出して、アリーチェの細腰を掴んでくる。
「アリーチェさんの胎内、善すぎて……っ。もう無理です……っ」
魔力酔いを起こしているのは、なにもアリーチェだけではない。
相性の良い者同士の間で起こる現象だというのなら、クロムもまたアリーチェと同じような熱に襲われているはずだった。
「で、も……っ」
そこでぐ、っと奥歯を噛み締めたクロムは、一度ぴたりと腰を止め、ぶつぶつと呪文めいたなにかを呟き出した。
「アリーチェさん」
「あ……っ、ク、ロム……?」
思考回路が完全に快楽で飽和したアリーチェは、自分の名を呼ばれる吐息だけで腰を震わせ、蕩け切った目を上げる。
「愛してます」
「あ……っ!」
体液が媚薬だとしたら、言葉はなんだろうか。
甘い微笑みと共に告げられた真摯な囁きに歓喜で身体が打ち震え、それだけで達しそうになってしまう。
「俺の重たい愛を受け止めてください」
「ん……っ」
懇願と共に唇が重なって、ぐ……っ、とクロムの腰が突き入れられるのを感じた。
「あ……っ?」
の直後。
「……ひ、ぁぁぁ……――っ!?」
一気に奥まで突き上げられ、衝撃とも歓喜ともわからない悲鳴が喉の奥から突いて出た。
「……あ、っつ、ぃ……!」
燃えるほどの熱と快楽に襲われて、アリーチェはがくがくと腰を震わせながら新たな涙と蜜を溢れさせる。
「……っく……、呪い、を、書き換えました……っ」
クロムの言葉の意味はわからない。
けれど。
「ひ……っ、あっ、あ……っ、あ……!」
腹部から広がった熱はアリーチェの胸元で灼熱となり、呼吸がままならないほどの快楽と疼きに襲われる。
「や……っ、なに、こ、れ……!? あっ、あ……!」
「少しすれば落ち着くはずですが……」
アリーチェの肌を這う蔦の文様を辿るように灼熱が広がっていき、身体中が熱くて熱くて堪らない。
「ふ……っ、ぁ……っ、ゃ、あ……っ! や、ぁ、あっ、あ……っ」
身体中が痙攣したかのようにびくびく震え、アリーチェはクロムに縋りつく。
「なにこ……っ? や、ぁ……っ、たすけ……っ」
全身に広がる快楽と熱に、勝手に腰が揺れ動き、粗相をしてしまったのではないかというほどの蜜が溢れ出す。
「すみません。少しだけ我慢してください」
「クロ……ッ? な、に……」
「解呪より、書き換える方が少しだけ難易度が下がるんです」
がくがくと身体を震わせて快楽と熱に耐えるアリーチェへ、クロムの眉根が申し訳なさそうに引き下がる。
クロムの言う“呪いの書き換え”の意味。
「……成功、ですね」
「え……?」
嬉しそうに目を細めてアリーチェの肌を撫でたクロムの指先に視線を移せば、蔦の先から呪いの文様が縮んでいくところだった。
「……な、に……?」
蕾が消え、あちこちで咲きかけていた華が消え、最後に胸元の大輪が薄くなっていく。
だが。
「……く……っ、まだ……、足掻きますか……っ」
「え……? え……っ?」
苦しそうに顔を歪めたクロムに、一体なにが起こっているのだろうとアリーチェの瞳は瞬いた。
「……アリーチェさん」
「ひぁ……っ!?」
そこで、ぐ、と奥まで腰を突き入れられ、目の奥に白い光が舞った。
「動きますね」
「ひ、ん……っ」
言葉と同時に腰を掴み取られ、お腹の奥からじわじわとした熱が広がっていく。
「内側から……っ、全部、消し去ってやりますから……っ」
「あっ、あ……っ、あ……! や、ぁ……っ、あ、あ……!」
そこまで激しく揺さぶられているわけではないというにも関わらず、目が回るような感覚に意識が遠くなっていく。
「すみません。ちょっと辛いかもしれませんが……」
「あ……っ、ぁあ……っ!」
勝手に溢れる涙の原因が強すぎる快楽から来ているものだと気づき、アリーチェは胸を喘がせる。
過ぎる快楽は拷問にも近い。
「や……っ、クロ、ム……ッ、だ、め……っ、へ、ん……っ、おかし……っ、おかしく、な……っ」
がくがくと腰が痙攣し、必死にクロムに縋りつき、アリーチェは涙を振り溢す。
「これ以じょ……っ、気持よくなりたくな……ぁ……っ、ぁあ……!」
クロムが腰を動かすたびに強すぎる快楽に襲われて、その中で溺れそうになってしまう。
「あっ、あ……っ、あ……!」
ぐちゅぐちゅという淫猥な水音が響き渡り、溢れ出す愛液が後ろまで伝い落ちていく感覚にさえ、ふるりと身体が揺れた。
「あ、あ、あ……っ、だ、め……ぇ……っ! だめぇ……っ、おかし、く……、おかしく、なっちゃ……ぁ……っ」
頭の中で光で散り、正気を保っていられない。
「イく……っ、イく……っ、イっちゃ、ぅ……、から……ぁ……!」
次から次へと襲い来る快楽の波に攫われて、いとも簡単に絶頂まで誘われた。
「……っ、ちょっとだけ、我慢してください……っ」
「や、ぁ……っ! 無理……っ、我慢、や、ぁ……っ」
なにがなんだかわからなくなり、息を詰めたクロムの言葉に、しゃくりあげて泣く子供のように嫌々と首を振る。
強すぎる快楽は苦しくて、怖すぎて。
早く解放されたくて、必死にクロムへ懇願する。
「も……っ、イく……っ、イきた……ぁ……っ」
「俺も、もう少し、なので……っ」
それでも苦し気に乞われると胸がきゅんとなり、がくがくと腰を震わせながら襲い来る絶頂の予感を遣り過ごす。
「あ……っ、や……っ、もう少し、ゆっく、り……ぃ……っ」
「すみません……っ、アリーチェさんの胎内、善すぎて……っ」
「ひ、ぁ、あ、あ……っ」
せめてもう少し、と涙を零せば切羽詰まったようなクロムに謝られ、切れ切れの喘ぎを繰り返す。
「あ……っ、ゃ……、も……っ、早……っ」
「俺も、我慢が利かなくて……っ」
腰が止まらないのだという悔し気な呟きは、もはやアリーチェの耳まで届かない。
絶頂一歩手前の快楽は苦しくて。
「あっ、あ……っ!」
「そんな、搾り取ろうとしないでください……っ」
「そ、な……っ、ちが……ぁ……っ、あっ、あ……!」
クロムのこめかみからアリーチェの肌へと汗の雫がぽたぽたと落ちてきて、色濃いクロムの匂いにさえくらくらする。
「クロ、ム……ッ、クロ、ム……ぅ……っ」
「っ、なんでそんなに可愛いんですか……っ」
泣きながら必死になってクロムに縋りつくアリーチェへ、舌打ちにも近いクロムの呟きが洩らされる。
「や、ぁあ……っ! そ、な……っ、した、ら……っ、イっちゃ……っ」
「っ、俺も……っ、もう……っ」
一層激しくなる律動に涙を流せば、クロムの腕の中にぎゅっと抱き締められた。
「一緒に……っ」
「あ……っ!」
クロムの存在を強く感じ、背筋がぞくりと粟立った。
「ぁ……っ、あ、あ……っ」
「アリーチェさん」
「……あ、あ……っ」
激しく腰を打ち付けながらも落とされる甘い呼びかけに、アリーチェはうっすらと目を開ける。
「ク、ロム……ッ」
と、そこには愛おし気にアリーチェを見つめるクロムの赤い瞳があって、多幸感に満たされる。
「愛してます」
「あ……っ」
囁きと共に下へ伸びたクロムの指先が濡れそぼる花芽を摘んできて、頭の中で白い光が弾け飛んだ。
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