離縁を申し出たら溺愛されるようになりました!? ~将軍閣下は年下妻にご執心~

姫 沙羅(き さら)

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エピローグ

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「ぁ……っ、ぁあ……っ! だ、め……ぇ……っ、これ、深ぁ……っ」
 腰を高く掲げられ、背後から獣の体勢で貫かれ、シャーロットは無意識に前へと逃れようと手を伸ばす。
「あぁ……、そうだな……っ、奥まで絡み付いて嬉しそうに媚びてくる……っ」
「ぁあ……っ!」
 だが、その腕から逃れられるはずもなく、さらに深くまで腰を突き入れられ、シャーロットは甲高い嬌声を上げていた。
「も……っ、無理、です……っ! 許して……っ、くださ……っ」
 内股をがくがくと小刻みに痙攣させながら、シャーロットは泣き濡れた声で懇願する。
 頂に昇りつめたまま降りられなくなり、一体何度果てただろう。軽い絶頂だけならば数えられないほどの果ての中、ゼノンの欲望は尽きることなく、さらにシャーロットを追い上げていた。
 そうして身体の奥で何度目かの熱い飛沫を感じながら意識を手離したシャーロットは、ぼんやりとした夢うつつの状態で目を開けた時、超至近距離からかけられた低い声に、一気に覚醒を促されていた。
 気遣うようにかけられる声も、そっと頬を撫でる指先も酷く優しいものなのに、その瞳の奥にはまだ強い欲の炎がくすぶっていて、下腹部を意識すればずっと繋がり合っていたことがわかってしまい、思わず喉がひきつった。
 そんなシャーロットにゼノンはうっそりとした笑みを浮かべ、すぐに小さな身体をひっくり返すと、今度は背後から腰を打ち付け始めたのだ。
「……ゃ、ぁあ……っ! も……っ、だめ……っ、ゼ、ノン……ッ! も、ぅ……っ!」
 散々貪られた身体はがくがくと震え、もはやとっくの昔に腰など立たなくなっている。
 ぐずぐずに溶かされた腰から下は快楽以外の感覚がなくなって、シャーロットはただされるがままに揺さぶられることしかできない。
「まだだ」
「ぁ……っ、ぁあ……! ん……っ」
 ゼノンが腰を押し付ける度に、肌と肌とが触れ合う音と、どちらのものともつかない体液がぐちゅぐちゅと混じり合う音が響き、蜜壺から溢れ出してくる。
 それはシャーロットの白い内股を伝い降り、シーツまでを濡らしていた。
「まだ、貴女が足りない……っ」
「ぁあ……っ!」
 背後から覆い被さるように身体を重ねたゼノンの口からは荒い欲望の吐息が吐き出され、そっと結合部へ回された指先が過敏になった陰核を撫でてきて、シャーロットはびくん! と身体を震わせる。
「だ、め……ぇ……っ! そ、な……っ、りょう、ほ……っ」
「……っ貴女に、どれだけオレが愛しているか、この身体に教え込まなければ安心できない……っ」
「!」
 激しく腰を打ち付けながら、今まで口にできなかった想いを吐露されて、シャーロットは震える指先で縋るように手元のシーツを握り込む。
「……も……っ、わかりまし、た……っ! わかりました……っ、からぁ……!」
 こくこくと首を縦に振って懇願しても、一度堰を切って溢れ出したゼノンの欲望は尽きることがない。
「シャーロット……ッ、愛してる……っ」
「ぁぁあ……っ!」
 その後も解放される気配はなく、宣言通り、シャーロットは夜が明けるまでゼノンの欲望を受け止め続けたのだった。




 ◈◈✼◈◈┈┈┈┈◈◈✼◈◈




 ベッドの中からとても起き上がれない朝も多々あるが、それでも基本的には玄関まで夫を見送るのは妻の務めに違いない。
「今日も我が妻は見惚れるほどに美しい」
「!」
 蕩けるような瞳で見下ろされ、シャーロットは未だ慣れずに瞬時に顔を赤く染め上げる。
「このまま寝室に運び込んで押し倒したいくらいだ」
「っ」
 そっと身を屈めたゼノンに耳元で低く囁かれ、シャーロットはぞくりと身体を震わせる。
 昨夜も散々貪られ、早々に意識を手離して、泥のような眠りについていた。仕事柄か、体力の有り余っているらしいゼノンは、一晩中シャーロットを抱き続けても、いつも涼しい顔で家を出ていく。――否、むしろ物足りなそうなくらいだ。
「困ったな。そんな顔をされると本当に離れがたくなってしまう」
「っ旦那様……っ!」
 本気で困ったように洩らされる呟きに、シャーロットは一生懸命厳しい顔をして目の前の夫を睨み上げる。
「っお仕事に……っ! 行ってくださいませ……!」
 あれから約一ヶ月。毎日抱かれている身体は泣きたくなるくらい敏感で淫乱になってしまっていて、耳元で官能を感じさせる囁きを落とされるだけでも、簡単に甘い疼きが湧くようになってしまっている。
 それでもまさか本当にこのまま寝室に籠るわけにもいかないから、必死で夫を突き放せば、妻を溺愛するゼノンの唇はニヤリとからかうような笑みを刻んでいた。
「では、見送りのキスを」
「……っ」
 もはや毎日の恒例行事となった、シャーロットからの軽いお見送りの口づけは、もちろん全く嫌ではないけれど、未だに信じられない気持ちが浮かんでしまうのも確かな事実。
「戻ったら迎えのキスも忘れずに」
 そう念を押してくる、年下の妻を溺愛するこの男性ひとは、一体どこの誰だろうか。
「っわかっています……!」
 そうして羞恥と困惑とで目を白黒させながら頬を染めたシャーロットは、大きく伸び上がると仕事に向かう夫の頬にキスを送る。
「……いってらっしゃいませ」
「いってくる」
 返される軽いキスにくすぐったそうに目を細め。
「……お早いお帰りをお待ちしています」
 ほんの少しだけ悩む様子を見せた後。きっとそれを叶えてくれるだろう愛する夫へと、甘えるような、幸せそうな微笑みを浮かべていた。
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