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第五話
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啄むような軽いキスは始めだけだった。すぐに口腔内にゼノンの熱い舌が入り込み、貪るように口付けられる。
「ん……っ、んんん……っ!?」
まるで喰われているかのような口づけに、シャーロットは息継ぎの仕方もわからなくなって目を見開いた。
今までで一番激しい舌と舌との絡み合いに、唇の端からはどちらのものともつかない唾液が溢れ落ち、自然と涙が滲んでくる。
「シャーロット……」
やっと唇を解放され、それだけでくったりとなってしまったシャーロットは、ぼんやりとゼノンの顔を見上げる。
「愛してる」
「――っ!」
真っ直ぐで真摯な瞳で愛の言葉を告げられて真っ赤になる。
今まで誰にもそんなことを言われたことのないシャーロットには、免疫力がない。しかも、よもやゼノンの口からそんな言葉を聞く日が来るなどとは思いもしなかったのだからなおさらだ。
「貴女が離れていくなど、考えるだけで狂ってしまいそうだ」
ギラギラと光る瞳で首筋へ顔を埋められてぞくりとする。
「……ま……、待……っ、て……」
「もう待てない、と言ったはずだ」
キスだけで息も絶え絶えになってしまったシャーロットは、喰い尽くされてしまいそうな欲望の色を感じて反射的に制止の声を上げるが、それを低く拒否されて、ぞくぞくとした痺れが背筋を昇っていくのを自覚した。
「あ……っ、ゼノンさ……っ、ぁあ、ん……っ」
そのままぺろり、と白い首筋を舐め上げられて、びくりっ、と肩が震える。
「貴女は本当に敏感だな」
「ぁ……っ」
くすり、と。そんなふうに愉しそうな笑みを漏らすゼノンの反応も初めてで、それだけで心臓が跳ね上がっていた。
「感じやすくて……、もっと乱れさせたくなる」
「あ……っ、や……っ」
そろそろと腰を撫でられ、胸元を掬われて羞恥心が煽られる。
「吸い付くようなこの肌も堪らない」
「んん……っ」
鎖骨を舐められ、唇を這わされて。ゼノンの大きな掌がシャーロットの白い肌の上を滑っていってぞくぞくとした官能が沸き上がる。
「あ……っ!」
そっと胸元の膨らみを掴まれて、びくりと白い喉が反る。
「身体の割りに大きなこの胸も、オレの情欲を誘っておかしくなる」
「そ……、な……っ、ぁ、あ……っ」
恐らくは、この二年で育った胸に唇を寄せながら洩らされた感嘆の吐息に、シャーロットはふるふると首を振る。
ゼノンの口からこんな言葉を告げられるなど、驚くと同時に恥ずかしくて堪らない。そんな恥ずかしい感嘆を洩らされる度に羞恥心が沸くというのに、なぜか身体は歓喜して、脚の間からはしたない蜜が溢れてくるのを感じていた。
「貴女はどうされるのが一番好きなんだ?」
「あ……っ」
やわやわと胸を揉まれ、ぷっくりと実り始めた果実に低い吐息を吹きかけられて小さな嬌声が溢れ落ちる。
「そ……っ、なの……っ」
わかるはずもない。と首を振れば、ゼノンの口の端は愉しそうに引き上がっていた。
「いつも、なにをしても、貴女は可愛らしい声で啼くから」
「ぁあ……っ!」
そのままちゅう……っ、と吸い付かれ、びくりと身体が震えた。
今まではずっと黙ってシャーロットを酔わせていたのに、いつもこんなことを思いながら身体を開かれていたのかと思うと、ただでさえ熱くなっていた身体はそれだけでますます火照っていく。
「こうやって転がされるのが? 舐められるのが? 摘ままれるのはどうだ?」
「あ、ん……っ! や、ぁあ……っ、それ……っ、待……っ、だ、め……ぇ……!」
言葉通り、口に含まれた果実を舌先で転がされたり舐められたり、もう片方は指先で摘まみ取られると、びくびくと腰が反応してしまう。
「貴女はココを弄られるのが好きだからな。今日は存分に可愛がってやる」
「ぁああ……っ!」
こういった行為をしたことは、数えられてしまうほど少ないはずなのに、こんな時でも有能なゼノンは、すでにシャーロットの弱いところを知り尽くしているらしい。
両方の胸の膨らみを揉みながら、ぷっくらと膨らんだ赤い果実を指先と舌とで押し潰したり愛撫されたりと止むことなく刺激され、シャーロットは感極まった嬌声を上げていた。
「ぃや、ぁ……っ、だ、め……っ、も、ぅ、止め……っ」
生理的な涙を滲ませながら、シャーロットはゆるゆると首を振る。錯覚だとわかっていても、少しでもこの熱を逃がしたくて取った反応だが、そんなシャーロットの可愛らしい抵抗に、ゼノンはくすりと笑っていた。
「なぜだ? こうされるのは好きだろう? いつもイイ声で啼きながら腰を揺らしている」
「……っ!」
シャーロットの意思を無視してもどかしそうに揺れる腰を、ゼノンはいつもしっかりと確認していたらしい。
今も勝手にびくびくと腰が震えていて、それを指摘されたシャーロットは全身を羞恥に染めていく。
「一度、胸だけで達する貴女を見たいと思っていた」
「っ!? や……っ、や、ぁ……っ、そんな……、の……」
驚くほどの欲望の吐露に、シャーロットは弱々しい否定の言葉を口にする。
いつも無表情で感情の見えない夫の本音を、少しでも知ることができたならばとは思っていたが、いくらなんでもこれは予想外の展開だ。
「貴女の夫は、いつもこんなことばかり考えている最低の人間だ」
「!」
自覚はあるのか、くす、と自嘲気味の吐息を溢され、シャーロットは思わず声を上げていた。
「……そ、れは……っ、違い、ます……っ」
最低、だなんて、そんなこと。
――『貴女の中に溢れるほどオレの欲望を注ぎ込んで、繋がったまま眠りたい』
今まで隠されていた本音の数々は確かにびっくりさせられるものばかりだったが、驚きはしても決してそれが嫌なことだとは思わなかった。
まさか、自分がそれほど想われているなど信じられなくて、こうして愛を囁かれている今も夢ではないかと疑ってしまうほど。
「貴女は優しいな」
「っ」
今まで感情を乗せることのなかった瞳が愛おしそうに甘く溶け、首筋をぞくぞくとしたものが伝っていく。
「……あぁ……。こんなに真っ赤になって……。美味しそうだ」
そう言って細められた目に映るものは、すっかり熟した二つの果実。
「ぁああ……っ!」
かり……っ、と歯で甘噛みされて甲高い悲鳴が上がる。
「あ……っ、ゃ、や、ぁ……っ!」
まさか、胸だけでこれほどの官能が得られるとは思わず怖くなる。
先ほどゼノンが口にしたように、本当に胸だけで頂まで追いやられてしまいそうで、シャーロットはか細い懇願を洩らしていた。
「お願……っ、今日、は……っ」
もう、限界だと、身体中が叫んでいる。
それは、早く昇り詰めたいという欲ではなく。
「……他のところも、触って……っ」
「!」
堪らず溢れ落ちた願望に、ゼノンの瞳が僅かに見開かれた。
「そんな可愛いおねだりをするなんて。一体どこで覚えてきた?」
「……っそんなの……っ、全部、旦那様のせいです……っ!」
くすり、と。全てわかっていて向けられる問いかけに、望み通りの答えを返す。
「……早、く……っ、触……っ、て……」
「もちろん」
愛する妻からの可愛らしいおねだりに、ゼノンは甘く笑むと大きな掌を全身へと滑らせていく。
「貴女が望むならば好きなだけ」
「ぁあ、ん……っ」
シャーロットの白い肌を愛撫しながら、長い指先は悪戯な動きを繰り返し、弱い場所をなぞられる度にびくびくと腰が揺れる。
「気持ちいいか?」
「……ん……っ、気持ちぃ……っ、です……」
いつになく優しい問いかけに、涙を溢しながら素直に頷いた。
「旦那様の手……、気持ち、ぃ……」
もう、自分の気持ちを誤魔化す必要なんてない。
望めば返してくれるのだという安心感に、溺れそうになってしまう。
「……貴方は本当に可愛らしい」
素直な快楽を示す妻の姿に、ゼノンもまた愉しそうな笑みを刻む。
「オレをどれだけ溺れさせれば気が済むんだ」
それはきっと、お互い様。
「っそ、んな、こと……っ、ぁあ……っ!?」
そこでずっと上半身ばかりを撫でていた掌が内股へと伸ばされて、シャーロットは細腰を大きく跳ねさせていた。
「そんな貴女には、しっかりとお仕置きを受けてもらわねば」
「や、ぁ……っ!」
それはどんなに甘い仕打ちだろうと、まるで期待するかのように、シャーロットの小さな身体はふるりと震えていた。
「ん……っ、んんん……っ!?」
まるで喰われているかのような口づけに、シャーロットは息継ぎの仕方もわからなくなって目を見開いた。
今までで一番激しい舌と舌との絡み合いに、唇の端からはどちらのものともつかない唾液が溢れ落ち、自然と涙が滲んでくる。
「シャーロット……」
やっと唇を解放され、それだけでくったりとなってしまったシャーロットは、ぼんやりとゼノンの顔を見上げる。
「愛してる」
「――っ!」
真っ直ぐで真摯な瞳で愛の言葉を告げられて真っ赤になる。
今まで誰にもそんなことを言われたことのないシャーロットには、免疫力がない。しかも、よもやゼノンの口からそんな言葉を聞く日が来るなどとは思いもしなかったのだからなおさらだ。
「貴女が離れていくなど、考えるだけで狂ってしまいそうだ」
ギラギラと光る瞳で首筋へ顔を埋められてぞくりとする。
「……ま……、待……っ、て……」
「もう待てない、と言ったはずだ」
キスだけで息も絶え絶えになってしまったシャーロットは、喰い尽くされてしまいそうな欲望の色を感じて反射的に制止の声を上げるが、それを低く拒否されて、ぞくぞくとした痺れが背筋を昇っていくのを自覚した。
「あ……っ、ゼノンさ……っ、ぁあ、ん……っ」
そのままぺろり、と白い首筋を舐め上げられて、びくりっ、と肩が震える。
「貴女は本当に敏感だな」
「ぁ……っ」
くすり、と。そんなふうに愉しそうな笑みを漏らすゼノンの反応も初めてで、それだけで心臓が跳ね上がっていた。
「感じやすくて……、もっと乱れさせたくなる」
「あ……っ、や……っ」
そろそろと腰を撫でられ、胸元を掬われて羞恥心が煽られる。
「吸い付くようなこの肌も堪らない」
「んん……っ」
鎖骨を舐められ、唇を這わされて。ゼノンの大きな掌がシャーロットの白い肌の上を滑っていってぞくぞくとした官能が沸き上がる。
「あ……っ!」
そっと胸元の膨らみを掴まれて、びくりと白い喉が反る。
「身体の割りに大きなこの胸も、オレの情欲を誘っておかしくなる」
「そ……、な……っ、ぁ、あ……っ」
恐らくは、この二年で育った胸に唇を寄せながら洩らされた感嘆の吐息に、シャーロットはふるふると首を振る。
ゼノンの口からこんな言葉を告げられるなど、驚くと同時に恥ずかしくて堪らない。そんな恥ずかしい感嘆を洩らされる度に羞恥心が沸くというのに、なぜか身体は歓喜して、脚の間からはしたない蜜が溢れてくるのを感じていた。
「貴女はどうされるのが一番好きなんだ?」
「あ……っ」
やわやわと胸を揉まれ、ぷっくりと実り始めた果実に低い吐息を吹きかけられて小さな嬌声が溢れ落ちる。
「そ……っ、なの……っ」
わかるはずもない。と首を振れば、ゼノンの口の端は愉しそうに引き上がっていた。
「いつも、なにをしても、貴女は可愛らしい声で啼くから」
「ぁあ……っ!」
そのままちゅう……っ、と吸い付かれ、びくりと身体が震えた。
今まではずっと黙ってシャーロットを酔わせていたのに、いつもこんなことを思いながら身体を開かれていたのかと思うと、ただでさえ熱くなっていた身体はそれだけでますます火照っていく。
「こうやって転がされるのが? 舐められるのが? 摘ままれるのはどうだ?」
「あ、ん……っ! や、ぁあ……っ、それ……っ、待……っ、だ、め……ぇ……!」
言葉通り、口に含まれた果実を舌先で転がされたり舐められたり、もう片方は指先で摘まみ取られると、びくびくと腰が反応してしまう。
「貴女はココを弄られるのが好きだからな。今日は存分に可愛がってやる」
「ぁああ……っ!」
こういった行為をしたことは、数えられてしまうほど少ないはずなのに、こんな時でも有能なゼノンは、すでにシャーロットの弱いところを知り尽くしているらしい。
両方の胸の膨らみを揉みながら、ぷっくらと膨らんだ赤い果実を指先と舌とで押し潰したり愛撫されたりと止むことなく刺激され、シャーロットは感極まった嬌声を上げていた。
「ぃや、ぁ……っ、だ、め……っ、も、ぅ、止め……っ」
生理的な涙を滲ませながら、シャーロットはゆるゆると首を振る。錯覚だとわかっていても、少しでもこの熱を逃がしたくて取った反応だが、そんなシャーロットの可愛らしい抵抗に、ゼノンはくすりと笑っていた。
「なぜだ? こうされるのは好きだろう? いつもイイ声で啼きながら腰を揺らしている」
「……っ!」
シャーロットの意思を無視してもどかしそうに揺れる腰を、ゼノンはいつもしっかりと確認していたらしい。
今も勝手にびくびくと腰が震えていて、それを指摘されたシャーロットは全身を羞恥に染めていく。
「一度、胸だけで達する貴女を見たいと思っていた」
「っ!? や……っ、や、ぁ……っ、そんな……、の……」
驚くほどの欲望の吐露に、シャーロットは弱々しい否定の言葉を口にする。
いつも無表情で感情の見えない夫の本音を、少しでも知ることができたならばとは思っていたが、いくらなんでもこれは予想外の展開だ。
「貴女の夫は、いつもこんなことばかり考えている最低の人間だ」
「!」
自覚はあるのか、くす、と自嘲気味の吐息を溢され、シャーロットは思わず声を上げていた。
「……そ、れは……っ、違い、ます……っ」
最低、だなんて、そんなこと。
――『貴女の中に溢れるほどオレの欲望を注ぎ込んで、繋がったまま眠りたい』
今まで隠されていた本音の数々は確かにびっくりさせられるものばかりだったが、驚きはしても決してそれが嫌なことだとは思わなかった。
まさか、自分がそれほど想われているなど信じられなくて、こうして愛を囁かれている今も夢ではないかと疑ってしまうほど。
「貴女は優しいな」
「っ」
今まで感情を乗せることのなかった瞳が愛おしそうに甘く溶け、首筋をぞくぞくとしたものが伝っていく。
「……あぁ……。こんなに真っ赤になって……。美味しそうだ」
そう言って細められた目に映るものは、すっかり熟した二つの果実。
「ぁああ……っ!」
かり……っ、と歯で甘噛みされて甲高い悲鳴が上がる。
「あ……っ、ゃ、や、ぁ……っ!」
まさか、胸だけでこれほどの官能が得られるとは思わず怖くなる。
先ほどゼノンが口にしたように、本当に胸だけで頂まで追いやられてしまいそうで、シャーロットはか細い懇願を洩らしていた。
「お願……っ、今日、は……っ」
もう、限界だと、身体中が叫んでいる。
それは、早く昇り詰めたいという欲ではなく。
「……他のところも、触って……っ」
「!」
堪らず溢れ落ちた願望に、ゼノンの瞳が僅かに見開かれた。
「そんな可愛いおねだりをするなんて。一体どこで覚えてきた?」
「……っそんなの……っ、全部、旦那様のせいです……っ!」
くすり、と。全てわかっていて向けられる問いかけに、望み通りの答えを返す。
「……早、く……っ、触……っ、て……」
「もちろん」
愛する妻からの可愛らしいおねだりに、ゼノンは甘く笑むと大きな掌を全身へと滑らせていく。
「貴女が望むならば好きなだけ」
「ぁあ、ん……っ」
シャーロットの白い肌を愛撫しながら、長い指先は悪戯な動きを繰り返し、弱い場所をなぞられる度にびくびくと腰が揺れる。
「気持ちいいか?」
「……ん……っ、気持ちぃ……っ、です……」
いつになく優しい問いかけに、涙を溢しながら素直に頷いた。
「旦那様の手……、気持ち、ぃ……」
もう、自分の気持ちを誤魔化す必要なんてない。
望めば返してくれるのだという安心感に、溺れそうになってしまう。
「……貴方は本当に可愛らしい」
素直な快楽を示す妻の姿に、ゼノンもまた愉しそうな笑みを刻む。
「オレをどれだけ溺れさせれば気が済むんだ」
それはきっと、お互い様。
「っそ、んな、こと……っ、ぁあ……っ!?」
そこでずっと上半身ばかりを撫でていた掌が内股へと伸ばされて、シャーロットは細腰を大きく跳ねさせていた。
「そんな貴女には、しっかりとお仕置きを受けてもらわねば」
「や、ぁ……っ!」
それはどんなに甘い仕打ちだろうと、まるで期待するかのように、シャーロットの小さな身体はふるりと震えていた。
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