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乙女ゲームの王子様
仕込みは上々…でもない
しおりを挟むアレク様がフローライト辺境侯家に滞在出来たのは、半年だけでした。
その間は朝の日課である基礎鍛錬から始まり、朝食後にはマナーが学業中心の座学。お昼ご飯のあとは最初はフォルス兄様が捕まえてきていた低ランクの魔獣を相手にしていましたが、最近はクレイオ兄様と私の三人で黒の森へと行っています。
(殆どの攻撃をクレイオ兄様がやって、私が身体強化などの底上げをしてからの討伐ですけどね)
「オウガ、鑑定発動」
『んなー』
*********************
【名前】アレクシス=ガーデンクォーツ
【種族】人族
【年齢】十一歳
【職種/レベル】
・王子Lv 5
・騎士Lv 15
【スキル】
・言語学 Lv 10
・政治 Lv 5
・舞踊 Lv 10
・マナー Lv 10
・気配感知 Lv 10
・剣術 Lv 10
・火魔法 Lv 5
・風魔法 Lv 10
・投擲術 Lv 8
・盾術 Lv 10
【称号】
・転生者
・ガーデンクォーツ王国第一王子
*********************
「すごい、王宮に居た時よりも強くなってる」
「王宮が何も教えなさすぎるんです」
「身を守るって事はしっかりと教えていただきました」
「王宮に帰っても維持できるかですけどねー?それと、イーフィには説明しておりますよ。私がアレク様の婚約者になったと」
「え!?」
フォルス兄様がスライムや弱い魔獣の捕獲に厭きる前に、なんとか黒の森の近くにいけて良かったです。まぁ、コレでイーフィが学園で断罪される悪役令嬢とされても、イーフィを庇って死んでしまうという事は無いと思います。多分。
王宮からの再三の帰れコールをのらりくらりとかわしつつ、何とか自分の身を守るだけならどうにかなるレベルにはなりました。飴と鞭っていい言葉ですよね、我が家は鞭ですけども。飴はたまにお誘いされるイーフィのお茶会です。今日はアレク様が王宮に戻りますので、最後のお茶会を開いてあげました。
「お言葉ですが、セラフィナ姫がお茶会を開催されるなら、アレク様をお誘いする理由が無いかと」
「…はい、そうですね」
「クレイオ兄様やリアン兄様をお呼びしての、お茶会開催でも宜しくてよ?」
「ごめんなさい、俺が悪かったです。イーフィと話をさせて下さい」
土下座でもしそうな勢いで頭を下げてくるアレク様に肩を揺らして笑いを堪え、とりあえずの釘でも刺しておきましょうか。学園生活はまだとは言えど、来年にはアレク様にとっても恐怖の始まりとなるのですから。
「それにしても、イーフィに一目惚れするとか。人の話をちゃんと聞いてました?貴方自分で自分の寿命を縮めてますよね?」
「それについては、本当に反省はしていますが後悔はしていない!」
「キリッじゃないわ!今すぐ此処で婚約破棄しますよ?」
「セラフィナ姫、破棄の誓約書はいつでも準備できています。こんな恩知らずは黒の森へ叩き出しましょう」
「流石クレイオ兄様ですわ!」
「ごめんなさい!許してください!今放り出されたら困るので、片想いは貫きます!」
「はぁ~~~」
乙女ゲームの内容を話し合ってもいたのに、イーフィに恋心を抱いていたのがアレク様になる前の第一王子からの想いだったのがいけなかったのでしょうか。イーフィに誘われたお茶会で、エスコートの練習として共に向かった際、アレク様はイーフィの儚げな姿と可愛い微笑みに堕ちました。
あーこれ好きになったわー。って確信したの初めてですよ。イーフィもどうして第一王子が一緒なのかビックリしていたけど、イーフィは第二王子の婚約者ですからね。聞けないのがもどかしそうでした。
「イーフィが領地に戻っているからこそ、第二王子抜きで逢えているんですからね?」
「分かってる」
分かっているのか分かっていないのか。婚約者が側に居るのに恋に落ちるとか本当、裏庭の池に蹴り落としてやろうかと思いましたよ。結婚するつもりはないが、一応の婚約者の浮気場面を間近で見るとか、何のフラグなんでしょうね?
「来年、学園でお逢いできるのを楽しみにしておりますわ。アレクシス第一王子殿下」
「来年?国王の誕生祭や俺の誕生日とかには王宮に来ないの?」
「行くのが面倒です。私の誕生日を祝いもしないのに、自分のは祝えと?」
キョトンと不思議な顔をする馬鹿に、にっこりと笑って言い返すと又ごめんなさいと返されました。アレク様は学ぶという事を本当にしませんね?
「アレク様のお陰で、無駄に着いた戦闘スキルどういたしましょうね?」
(ステータスオープン)
********************************
【名前】セラフィナ・コーディエ=フローライト
【種族】人族
【年齢】十一歳
【職種/レベル】
・辺境侯爵令嬢 Lv12
・精霊使い Lv 40
【スキル】
・精霊魔法 Lv40
・栽培 Lv30
・採取 Lv25
・調合 Lv30
・調薬 Lv30
・刺繍 Lv8
・調理 Lv28
・舞踊 Lv15
・マナー Lv15
・機械弓術 Lv20
・鞭術 Lv 10
・暗器術 Lv 10
・鉄扇術 Lv 13
【称号】
・精霊の愛し子
・精霊の集い場
・猫集会場
・第一王子の婚約者
*********************************
ますますスキルが令嬢から離れているんですけど、私って何を目指してるのかしら?暗殺者とかにもなれそうだし、精霊さん達に協力してもらったら王宮に忍び込むとか本当に容易いでしょうね。面倒だからしないけど。
(でも、私のこの上がり方をみると、アレク様はまだまだなのよねー)
レベリングもちゃんとしていたのに、どうしてこんなにレベルの上がりに差があるのかしら?乙女ゲームの補正とかいう呪いなのかしら?だとしても、もうちょっと強くなってもいいとおもうんですよね。
学園に通いだしてからの生活が若干不安ですが、何かあったらルシアン兄様に習って駆逐しちゃうって手もありますよねー。
「セラフィナ姫、学園には私が侍従として付き添いますので安心してくださいね」
「ええっ!?」
「クレイオ兄様が一緒に行ってくださるんですか!?嬉しいですわ、学園が楽しみです」
面倒なだけの学園生活になるかと思っていたのに、クレイオ兄様が一緒なんて嬉しいに決まっているじゃないですか。ルシアン兄様も『暫くは魔術を好きなだけ使いたいから、王都で冒険者をやるよ~』って仰ってましたし。
ウキウキ気分の私と違って、気分の下降したアレク様をそのままに。イーフィの訪れを告げられて軽い足取りで玄関へと向かいました。
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