6 / 25
自称勇者様
精霊使いの令嬢…ですよ?
しおりを挟む私が精霊と契約をした事で屋敷では大騒ぎとなり、驚いたお父様とお母様は勿論、フローライト家の血筋を守ってきていた御祖母様は、涙を流して喜び私を抱き締めてくれました。
まぁ、私としては精霊の腕輪を見つけたら、精霊さんが付いてきた。そんな程度の認識しか持てなくて、成長してからは若干申し訳なく思っていたのですが、三歳児の感覚では『褒められて嬉しい』それ一択。何だか分からないけど、うれしい!その気持ちで一杯でした。
それからの私の生活と言えば、精霊石の効果や使い方をクオン達に聞きながら学んだり、新しい精霊さんを捕獲し契約しつつ、家庭教師をつけて貰って令嬢としてのマナーを学んだりと、忙しい毎日でしたが楽しく月日は流れていったのです。
途中、大好きな兄様達の学園入学で大泣きしたり、学園に着いて行く!と無茶も言って精霊の腕輪や精霊さん達に(無理矢理)協力して貰って、学園にいく兄様達の馬車に乗り込んだりと…。
本当に色々やらかしつつも。
私は十歳になりました。
「お嬢様、セラフィナお嬢様!旦那様がお呼びで御座います」
庭に響く侍女の声に、私はしゃがみ込んでいた場所から立ち上がった。精霊のノームとドリューの得意能力である『土壌改善』と『緑の育成促進』を使い、触らず仕舞いだった裏庭は、私専用の薬草園と姿を変えていたのです。
雑草だらけの庭が何と言う事でしょう、素敵な薬草園へと早変わりです。
「こっちよ、今参ります」
「お湯のお仕度を先に致しましょうか?」
「お父様がお待ちなのでしょう?着替えだけをお願いするわルビィ」
「畏まりました」
頭の高い位置に一つに纏めていた濃い藍色の髪を解き、精霊の腕輪に青色の精霊石をはめこんで水の精霊『ウィンディ』を呼び出した。この子はノームとドリューと一緒に薬草園を作り出した頃に、重い水を運んでいたら助けてくれたんです。
ウィンディは水の精霊さんっぽい青い瞳に青い髪がとても綺麗で、頼りになるお姉さんタイプの精霊さんです。
「ウィンディ、綺麗にしてくれる?」
「任せて『プールスアウクトゥス』!」
ウィンディが呪文を唱えると、シャワーのような雨がキラキラと降り注ぐ。土汚れを素早く落として綺麗にしてくれる呪文なのです。妖精タイプの精霊さんは生活支援の魔法が得意な様で、よくこうやって助けてくれます。
精霊の腕輪を持って知った事ですが、契約をしてくれる精霊さんは、皆支援系の魔法でのみ助けてくれるという事。攻撃系を唯一使えるのは、ドラゴンであるルビィだけなのです。
「ありがとう、ウィンディ」
『嬢ちゃん、今日の分はどないするー?またわいの『無限収納』に入れとくんか?』
「そうですね、十束ずつにして保管しておいて下さい。天気の良い日に幾つか干しましょう」
『了解ー、やけど結構な量になっとるでー?売って領の資金にもできるな』
「そういえば、最近は無限収納の確認をしていませんでしたものね。薬草もですが、ポーションもそれなりに溜まっているはずですし」
自室までの道のりを、クオンと会話しながら無限収納の中を想像して、少し面倒になりました。なんといっても三歳の頃に薬草系の植物の栽培に目覚め、私のステータスに栽培と採取が追加されました。
因みに、この世界では自分のステータスは心の中で【ステータス】と唱えるだけで、自分のみ閲覧可能です。小まめに確認する人は一部の冒険者と呼ばれる方達くらいだろうと言われてますが、私は面白くてよく確認しています。
(【ステータス】オープン)
********************************
【名前】セラフィナ・コーディエ=フローライト
【種族】人族
【年齢】十歳
【職種/レベル】
・辺境侯爵令嬢 Lv10
・精霊使い Lv 35
【スキル】
・精霊魔法 Lv35
・栽培 Lv25
・採取 Lv20
・調合 Lv25
・調薬 Lv25
・刺繍 Lv5
・調理 Lv20
・舞踊 Lv5
・マナー Lv10
【称号】
・精霊の愛し子
・精霊の集い場
・猫集会場
*********************************
辺境侯爵令嬢のレベルが10なのは、私の年齢の積み重ねからきています。精霊魔法のレベルが高いのは、毎日使っているので高いのも納得ですよね。というか、高過ぎます。十歳の少女のレベルじゃないですよ、これ。
(こつこつ採取して、調合してというのが面白すぎて没頭したのが原因でしょうね。ばれる訳ではないので気にしませんが、カンストはどこなんでしょう?しかも、肝心なはずの令嬢としてのレベルの低さに頭痛がします…)
支援系魔法や攻撃・回復魔法などのスキルが無いのは、私には使えないからです。精霊石を使い、精霊魔法としてなら使用可能です。毎日精霊魔法を使っていても問題ないので、魔力はそれなりにあるほうなんだと思います。
十二歳になれば国が経営している、王侯貴族の為の学園に行かなければいけませんが、この調子なら勉強面などで苦労しなくても済みそうです。辺境とはいえ侯爵家という事もあり、しっかりとした家庭教師をつけ勉強するのは貴族として当然の義務なのです。
(しかし、この猫集会場って本当になんなのでしょう?)
0
お気に入りに追加
443
あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

滅びた国の姫は元婚約者の幸せを願う
咲宮
恋愛
世界で唯一魔法が使える国エルフィールドは他国の侵略により滅ぼされた。魔法使いをこの世から消そうと残党狩りを行った結果、国のほとんどが命を落としてしまう。
そんな中生き残ってしまった王女ロゼルヴィア。
数年の葛藤を経てシュイナ・アトリスタとして第二の人生を送ることを決意する。
平穏な日々に慣れていく中、自分以外にも生き残りがいることを知る。だが、どうやらもう一人の生き残りである女性は、元婚約者の新たな恋路を邪魔しているようで───。
これは、お世話になった上に恩がある元婚約者の幸せを叶えるために、シュイナが魔法を駆使して尽力する話。
本編完結。番外編更新中。
※溺愛までがかなり長いです。
※誤字脱字のご指摘や感想をよろしければお願いします。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる