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生まれ変わったΩが起こしたキセキ
END!
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……で、俺達の奇跡はまだまだ終わらない。
実は嬉しいことがもう一つある。
「はいっ! お母さん、頑張って! 今よ、今!」
「ふっ、うぅーん!!」
「いいよぉ! いい調子!! はい、この勢いでもう一回!!」
「もういっかあああい!!」
「すごい! すごいわ、お母さん!! 上手! 次、ラストいっかーい!!」
「こんのおおおお!! ラストおおおおお!!」
「すごいっ!! おめでとう!! がんばったね、お母さん!! 可愛い可愛い三つ子ちゃんだよぉ!!」
「はあっ……! はあっ、はあっ、はあ……! やった! 宗佑、やったよっ!! 俺、がんばった!!」
めでたく俺は三つ子を出産した。それも三人とも宗佑そっくりのαの男の子達だ。
獣人を妊娠したのは前世でもなかったことで、三つ子ももちろん初めてだ。腹の中で育っていく度に担当の先生が「これは珍しい」を連発していた。ただでさえαの出生率は低い。それなのに三人ともαなのは奇跡だという。
検診でのエコーを見る度、狼というよりは小さなワンちゃんにしか思えなかった我が子達だが、日に日に愛しさが増していった。
しかし三つ子の為か、難産が予想された。出産も少し早めて帝王切開を計画されていたものの、宿した子が獣人だからかその予定よりもさらに早くに産気づいてしまった。
慌てる周囲の人間を前に、俺は陣痛を押し退け「だまらっしゃい!!」と一喝した。こうなりゃヤケだ、このまま産んでやる! と周りの人間にあれやこれやと指示を出し、産院まで歩いて出産に挑んだ。
人間の子よりも身体が小さく、これなら自然分娩も可能ではないかと、医師からあーだこーだと言われている間にさっくりと破水し全開に。もう産みます! と前世の自信と共に分娩台へと上がった俺は得意のいきみを披露した。超がつくほどの安産だった。
そういえば、宗佑はどうしたのだろう? 陣痛のところから置いてけぼりでずっと影が薄いのだが……俺の勇姿をきちんと見届けてくれただろうか?
汗ばむ額を助産師さんに拭われながら、キョロキョロと視線を動かすと、俺の手を握りつつ反対の手で目元を抑えて「うっ、うっ」と涙する宗佑の姿があった。え、嘘だろ? いつから泣いていたの、宗佑。まさか、俺の勇姿を見ていないのか?
すると奥からすぐに「キー……キー……」と高い鳴き声が聞こえてきた。それも三人分だ! 良かった。三人とも無事に産まれたのだ。俺は宗佑に声をかけた。
「ほら、宗佑っ……もう、パパ! いつまで泣いているの! 俺達の赤ちゃんだよ!」
「ああ……ありがとう、ケイ! 頑張った! よく頑張った!!」
こんなに号泣する宗佑は初めてだ。ああ、駄目だな。俺まで涙が出てしまうよ。
「大好きだ! 愛している! ママ!」
「わっ!?」
子供を産んで、お礼を言われて、労われて、そして抱き締められる。
ああ、なんて幸せなのだろう。そしてこれから先が、もっともっと楽しみだ。
俺の二度目の人生はまだまだ、始まったばかりなのだから。
END!
実は嬉しいことがもう一つある。
「はいっ! お母さん、頑張って! 今よ、今!」
「ふっ、うぅーん!!」
「いいよぉ! いい調子!! はい、この勢いでもう一回!!」
「もういっかあああい!!」
「すごい! すごいわ、お母さん!! 上手! 次、ラストいっかーい!!」
「こんのおおおお!! ラストおおおおお!!」
「すごいっ!! おめでとう!! がんばったね、お母さん!! 可愛い可愛い三つ子ちゃんだよぉ!!」
「はあっ……! はあっ、はあっ、はあ……! やった! 宗佑、やったよっ!! 俺、がんばった!!」
めでたく俺は三つ子を出産した。それも三人とも宗佑そっくりのαの男の子達だ。
獣人を妊娠したのは前世でもなかったことで、三つ子ももちろん初めてだ。腹の中で育っていく度に担当の先生が「これは珍しい」を連発していた。ただでさえαの出生率は低い。それなのに三人ともαなのは奇跡だという。
検診でのエコーを見る度、狼というよりは小さなワンちゃんにしか思えなかった我が子達だが、日に日に愛しさが増していった。
しかし三つ子の為か、難産が予想された。出産も少し早めて帝王切開を計画されていたものの、宿した子が獣人だからかその予定よりもさらに早くに産気づいてしまった。
慌てる周囲の人間を前に、俺は陣痛を押し退け「だまらっしゃい!!」と一喝した。こうなりゃヤケだ、このまま産んでやる! と周りの人間にあれやこれやと指示を出し、産院まで歩いて出産に挑んだ。
人間の子よりも身体が小さく、これなら自然分娩も可能ではないかと、医師からあーだこーだと言われている間にさっくりと破水し全開に。もう産みます! と前世の自信と共に分娩台へと上がった俺は得意のいきみを披露した。超がつくほどの安産だった。
そういえば、宗佑はどうしたのだろう? 陣痛のところから置いてけぼりでずっと影が薄いのだが……俺の勇姿をきちんと見届けてくれただろうか?
汗ばむ額を助産師さんに拭われながら、キョロキョロと視線を動かすと、俺の手を握りつつ反対の手で目元を抑えて「うっ、うっ」と涙する宗佑の姿があった。え、嘘だろ? いつから泣いていたの、宗佑。まさか、俺の勇姿を見ていないのか?
すると奥からすぐに「キー……キー……」と高い鳴き声が聞こえてきた。それも三人分だ! 良かった。三人とも無事に産まれたのだ。俺は宗佑に声をかけた。
「ほら、宗佑っ……もう、パパ! いつまで泣いているの! 俺達の赤ちゃんだよ!」
「ああ……ありがとう、ケイ! 頑張った! よく頑張った!!」
こんなに号泣する宗佑は初めてだ。ああ、駄目だな。俺まで涙が出てしまうよ。
「大好きだ! 愛している! ママ!」
「わっ!?」
子供を産んで、お礼を言われて、労われて、そして抱き締められる。
ああ、なんて幸せなのだろう。そしてこれから先が、もっともっと楽しみだ。
俺の二度目の人生はまだまだ、始まったばかりなのだから。
END!
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