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その命あるかぎり…誓えますか?【真城 side】

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 一時間後、海は戻ってきた。柳が目覚めたことを話すと、何故すぐに連絡をしなかったのかと叱られた。俺、これでもお前よりうんと歳上だぞ。

 当然、海はすぐ柳に会おうとしたが、今は休んでいると言って一旦別室へ通し、気になることを話した。


「…………記憶が欠けている?」

「欠けてんのか、こんがらがってんのかまだわからんが、俺が蒼から聞いた性格と違う印象だな」

 どんよりした目はまだ起きたばかりだからなのか、話に聞いていたような明るさはない。だが、わざわざ真藤と名乗ることが引っ掛かった。普段から真藤の名を貸しているということは聞いていたが、何故俺に真藤と名乗ったか、だ。それにあの様子……

「まだ目覚めたばかりなのですから、本調子とはいかないでしょう。あの明るい性格がそのまま表れたらそれこそ驚きです。ここからは私が様子を見ますから、貴方は……」

「なあ、お前。柳とは何度か会ってたんだよな?」

「何を今更……」

 唐突に何だ、と言った面だった。折角柳が目覚めたと言うのにすぐに引き合わせないどころか、尋問を始める俺に苛立ちを隠せないでいる。普段は冷静どころか冷酷の域にまで達する態度で接する奴がこうも感情的になるとはねぇ。

 答えなければ話が進まないとわかったのか、海は端的に答えた。

「あの男が入院中の間、私の下にいましたよ」

「一緒に遊びにも行ったか?」

「買い物や映画といった娯楽も共にしました。それが?」

「柳はお前を嫌ってたか?」

「…………は?」

 この質問に、海は片眉を上げた。何を聞きやがる? いかにもな面だった。

 そりゃそうだろう。心身ともに磨り減らしてまで目覚めるのを待っている相手に、嫌われてんのか? なんて質問をされちゃな。

 しかしこっちもふざけてるわけじゃねえぞ、と。俺は海から目を逸らすことなく向き直る。

 すると、視線を落としたのは海の方だった。

「あの子は……こんな私を慕ってくれていると思ってましたが……」

 ああ、此奴の弱さはあの子になるのか。そう改めて思い知らされた。

 俺は悪かった、と一言だけ言うと。自分の推測を海に話した。

「まだ確定したわけじゃねえが、あの子は幾つか記憶を失くしている。ごちゃ混ぜになってるもんもあるようだが、最初は自分自身のことを忘れてんのかと思いながらゆっくり話を聞いた。するとよ、懐いてたはずの蒼のことがやけにシンプルなわけよ。淡白にも感じるような物言いでな。しかしそれ以上におかしい点が一つだけあったんだよ」

「おかしい点?」

「お前…………忘れられてるぞ」

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