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その命あるかぎり…誓えますか?

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 おにいさんと初めて食べたデリバリーピザは蒼さんと初めて食べたあの日を思い出させてくれた。おにいさんも「結構、美味い」ともぐもぐ食べてくれた。良かった、と僕はいつも以上に伸びるチーズを頬張った。

 ピザの油で艶やかになるおにいさんの唇を目にした時に、キスの練習を思い出して胸がドキドキしたけれど。

 楽しくて、嬉しくて、幸せな時間だった。

 十二月を過ぎた頃、僕は「ロワゾ」に行ってはとりさんにあるお願いをした。

「ごめんなさい。はとりさん。でも、頼めるのがはとりさんしか思い浮かばなくって……」

「僕は構わないけれど、これを知ったらみんなが驚くだろうね」

「みんなはともかく、僕の髪を編んでくれる老人ホームのおばーちゃんたちがびっくりしちゃうかもしれないから……でもね、それに対してちゃんと秘策は練ってあるんだ!」

 髪の色を戻すこと。普段、僕の染髪は蒼さんにやってもらっていたから、入院中の今は大人のはとりさんにそれを頼むことにした。おにいさんは新しいプロジェクトの立ち上げとかでお仕事の方が忙しそうだったからだ。

「髪の長さだけど、どのくらい短くしていいんだっけ?」

「うんと短くでお願いします!」

「オッケー」

  すっごくお久しぶりの黒色に戻す前に、肩より長い髪を短く切ってもらう。これから頭を洗うのも髪を乾かすのも早くなるね。

 楽しみにしていると、勢いの良いザクッという音と共に、はとりさんの「あっ……」っていうやっちまった感満載の声が溢れ落ちた。

 僕の髪は、ベリーベリーショートになった。

「良かったぁ。ウィッグ、買っておいて……」

 本来の目的とは全然用途が違うけれど、黒髪に戻した僕は受験用の写真をその姿で撮ると、金髪のウィッグを被って普段を過ごすことにした。

 友達くらいにはベリーベリーショートになったよってことを明かそうとしたんだけれど、はとりさんに物凄く謝られ、それだけは止めてくれと懇願されたので、髪がある程度の長さになるまで内緒にすることとなった。物凄く感謝された。僕の方こそ、慣れないことを頼んじゃってごめんなさい。

 ちなみに大人の三人にはベリーベリーショートになったことを明かした。それぞれの反応はといえば……蒼さんには大笑いされ、璃々子さんには嘆かれ、おにいさんには大仏様のように固まられてしまうという結果でした。
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