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第一章
んじゃ、お望み通りにしてやるよ 11
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簡潔にではあるが、自身の罪をすべて告白したレイヴン。シンの顔は見上げるのも怖く、カタカタと全身を震わせた。何度経験していようが、やはり死ぬのは恐ろしい。痛みや苦しみを感じることもそうだが、ただ一度きりの……シンと出会った今の自分の生が終わるのかと思うと、怖くて仕方なかった。
(次、また生まれ変わったら……シンさんはいない)
どこまでも自分勝手な望みに、胸が苦しくなる。こんな身勝手な性根だから、過去の自分は人を殺めたのだろうか。
(本、当に……?)
疑いそうになるのを、レイヴンは首を振って遮った。今更考えても、記憶が都合よく捏造されるだけ。思い出したことがすべてだと、自身に言い聞かせた。
そこにシンが一言、レイヴンの思考を切るように言った。
「おかしい」
レイヴンは怖々とした様子でシンの顔を覗き込むと、彼は村人達へ説いた時と同様の、真剣な面持ちでこちらを見ていた。
「今の話はかなりおかしいぞ、レイヴン。人を殺めた後に村を燃やした? それじゃあ意味がない。人殺しを有耶無耶にしたくて火を放つのならば、順序が逆だろう。どさくさに紛れて殺せばいい。それに動機もしっくり……いや、おもしろくない」
「おもしろくないって……」
人を殺めることの理由に、おもしろいものなどあるのだろうかと、レイヴンは唇を尖らせる。そのむくれたような表情に、シンはニヤリと口角を持ち上げた。
「やっぱりな。お前のように心根が優しく、賢くて感受性豊かな人間が、嫉妬という理由で人を殺したりなんかできるわけがねえんだよ。オレのような得体の知れないやつを助けたことがいい例だ」
何がおもしろいのか、実に楽しそうに笑みを見せるシンが、こんな時だというのにやはり綺麗だとレイヴンは思ってしまった。それほど綺麗な笑みだった。
それよりも、今のはどういう意味だろうか。自分が罪を告白したというのに違うと断言する理由が、レイヴンにはわからなかった。
(そういえば、記憶喪失だって……シンさんは見抜いていた……)
シンに尋ねればわかるのだろうか。そう思い口を開こうとした時、
「ああそうだ。お前のその体質のような転生だけどな。今回限りで終わるぞ」
と、サラリと重大なことを宣言された。開きかけたレイヴンの口からは、「え……?」と蚊の鳴くような小さな声が発せられた。
人々の怒りの声が増幅する中、シンは自分のことについて少しだけ語った。
「本来なら、オレは人の理に干渉できない。お前達の間に起こるいざこざに関しても、手出しも足出しもできない身だ。それがこうして、"たまたま"とはいえこの村にやって来た。さすがのオレでもこれは不測の事態だったが、レイヴンと出会ったのは僥倖だった」
そして平伏しながらも怒りの形相をこちらへ向ける村人達に対し、再び問いかける。
「今のオレは寛容だ。人の理にも、少しばかりは干渉しよう。このオレが直々に裁いてやるから、今一度お前達に問うぞ。ここにいる大罪人のレイヴンを、本当に殺していいんだな?」
「殺せえ!!」
一分の隙もない村人達からの返答に、シンは愉快に笑った。
「んじゃ、お望み通りにしてやるよ」
(次、また生まれ変わったら……シンさんはいない)
どこまでも自分勝手な望みに、胸が苦しくなる。こんな身勝手な性根だから、過去の自分は人を殺めたのだろうか。
(本、当に……?)
疑いそうになるのを、レイヴンは首を振って遮った。今更考えても、記憶が都合よく捏造されるだけ。思い出したことがすべてだと、自身に言い聞かせた。
そこにシンが一言、レイヴンの思考を切るように言った。
「おかしい」
レイヴンは怖々とした様子でシンの顔を覗き込むと、彼は村人達へ説いた時と同様の、真剣な面持ちでこちらを見ていた。
「今の話はかなりおかしいぞ、レイヴン。人を殺めた後に村を燃やした? それじゃあ意味がない。人殺しを有耶無耶にしたくて火を放つのならば、順序が逆だろう。どさくさに紛れて殺せばいい。それに動機もしっくり……いや、おもしろくない」
「おもしろくないって……」
人を殺めることの理由に、おもしろいものなどあるのだろうかと、レイヴンは唇を尖らせる。そのむくれたような表情に、シンはニヤリと口角を持ち上げた。
「やっぱりな。お前のように心根が優しく、賢くて感受性豊かな人間が、嫉妬という理由で人を殺したりなんかできるわけがねえんだよ。オレのような得体の知れないやつを助けたことがいい例だ」
何がおもしろいのか、実に楽しそうに笑みを見せるシンが、こんな時だというのにやはり綺麗だとレイヴンは思ってしまった。それほど綺麗な笑みだった。
それよりも、今のはどういう意味だろうか。自分が罪を告白したというのに違うと断言する理由が、レイヴンにはわからなかった。
(そういえば、記憶喪失だって……シンさんは見抜いていた……)
シンに尋ねればわかるのだろうか。そう思い口を開こうとした時、
「ああそうだ。お前のその体質のような転生だけどな。今回限りで終わるぞ」
と、サラリと重大なことを宣言された。開きかけたレイヴンの口からは、「え……?」と蚊の鳴くような小さな声が発せられた。
人々の怒りの声が増幅する中、シンは自分のことについて少しだけ語った。
「本来なら、オレは人の理に干渉できない。お前達の間に起こるいざこざに関しても、手出しも足出しもできない身だ。それがこうして、"たまたま"とはいえこの村にやって来た。さすがのオレでもこれは不測の事態だったが、レイヴンと出会ったのは僥倖だった」
そして平伏しながらも怒りの形相をこちらへ向ける村人達に対し、再び問いかける。
「今のオレは寛容だ。人の理にも、少しばかりは干渉しよう。このオレが直々に裁いてやるから、今一度お前達に問うぞ。ここにいる大罪人のレイヴンを、本当に殺していいんだな?」
「殺せえ!!」
一分の隙もない村人達からの返答に、シンは愉快に笑った。
「んじゃ、お望み通りにしてやるよ」
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