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第一章
元・聖女 レイヴン 4
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痛みで顔を歪めるレイヴン。悲鳴を上げないよう、必死になって口元を覆うその仕草が、青年の目には彼が感じているのを抑えているようにしか見えないらしい。そのいじらしさがさらなる情欲を唆り、青年はレイヴンの下肢へと手を伸ばした。
「えっ……?」
「ほら、お前だってさ。すっごく善がってたじゃん? 俺とすんのが気持ちいいんだろ? なぁ?」
「あっ……!?」
両脚の合間に挿し込み、何度目かしれないその奥にある秘部へと指を埋める。
その時、レイヴンはつい反射的に青年を拒んでしまった。
「だ、だめっ……だめ、やあっ……!」
首を左右に振り乱し必死になって自身から逃れようとするレイヴンを見下ろす青年は、ポカンと呆けたように口を開けた後、先ほどとは打って変わって憤怒の形相で唾を吐き捨てた。
「んだよ、駄目駄目って……罪人の癖に調子に乗んなよぉ!」
「いっ……!?」
怒号とともに炸裂したのは力強い張り手だった。激しい破裂音はレイヴンの左頬から上がり、そのまま彼の小さな身体は床の上に倒れ込んだ。
荷車に撥ねられたかのような衝撃がレイヴンの全身を襲う。その場で蹲り、動けずにいるレイヴンを見下ろしながら、青年はガチガチと奥歯を鳴らした。
「あー、萎えたわぁ……。そこ、ちゃんと掃除しとけよ!」
「…………うん」
青年は元々着ていただろう衣服を掴むと、ドカドカと床を踏み荒らしながら部屋を出ていった。バタン! と強く音を立てて閉められる扉を見つめた後、レイヴンは細く長い息を吐き出した。
「痛っ……」
身体を僅かに動かすと、身体のあちこちに鋭い痛みが走った。上体を起こし両脚をゆっくり割り開くと、レイヴンは自身の秘部に指を埋めた。
「……っ……ふ、うっ……」
細く長い指を最奥まで挿し込むと、その指を折り曲げ中にあるものを掻き出すように動かした。眉を顰め、歯を食いしばり、声を堪えながら白濁の液を排出するその様は、実に痛々しい。
本来なら涙を浮かべてもおかしくないほどの傷を負っているのだが、レイヴンに泣いている暇などない。あらかた青年が吐き出したものを自身の身体から掻き出すと、捨てられていた衣服へと手を伸ばした。
黒地の綿の上着は袖が長く下肢までも覆うもので、彼は下着を付けずにそれを羽織った。よく見ると裾はほつれており、あちこちに継ぎ接ぎの跡がある。
続いてレイヴンは部屋の奥にある甕かめの中から柄杓を使って水を掬い、傍にある布を浸して表面に付着した体液を拭った後、辺りの掃除を始めた。
その最中、一人の老婆が部屋へと入室するも、レイヴンを目にするなり「穢らわしい……」と吐き捨てながら、中にある銛もりを掴んで出ていった。
「……よかった」
レイヴンはポツリと呟いた。入室したのが村の男達であれば、きっとただでは済まない。貶しながらも静かに退室してくれた老婆に感謝しつつ、レイヴンは胸を撫で下ろした。
「えっ……?」
「ほら、お前だってさ。すっごく善がってたじゃん? 俺とすんのが気持ちいいんだろ? なぁ?」
「あっ……!?」
両脚の合間に挿し込み、何度目かしれないその奥にある秘部へと指を埋める。
その時、レイヴンはつい反射的に青年を拒んでしまった。
「だ、だめっ……だめ、やあっ……!」
首を左右に振り乱し必死になって自身から逃れようとするレイヴンを見下ろす青年は、ポカンと呆けたように口を開けた後、先ほどとは打って変わって憤怒の形相で唾を吐き捨てた。
「んだよ、駄目駄目って……罪人の癖に調子に乗んなよぉ!」
「いっ……!?」
怒号とともに炸裂したのは力強い張り手だった。激しい破裂音はレイヴンの左頬から上がり、そのまま彼の小さな身体は床の上に倒れ込んだ。
荷車に撥ねられたかのような衝撃がレイヴンの全身を襲う。その場で蹲り、動けずにいるレイヴンを見下ろしながら、青年はガチガチと奥歯を鳴らした。
「あー、萎えたわぁ……。そこ、ちゃんと掃除しとけよ!」
「…………うん」
青年は元々着ていただろう衣服を掴むと、ドカドカと床を踏み荒らしながら部屋を出ていった。バタン! と強く音を立てて閉められる扉を見つめた後、レイヴンは細く長い息を吐き出した。
「痛っ……」
身体を僅かに動かすと、身体のあちこちに鋭い痛みが走った。上体を起こし両脚をゆっくり割り開くと、レイヴンは自身の秘部に指を埋めた。
「……っ……ふ、うっ……」
細く長い指を最奥まで挿し込むと、その指を折り曲げ中にあるものを掻き出すように動かした。眉を顰め、歯を食いしばり、声を堪えながら白濁の液を排出するその様は、実に痛々しい。
本来なら涙を浮かべてもおかしくないほどの傷を負っているのだが、レイヴンに泣いている暇などない。あらかた青年が吐き出したものを自身の身体から掻き出すと、捨てられていた衣服へと手を伸ばした。
黒地の綿の上着は袖が長く下肢までも覆うもので、彼は下着を付けずにそれを羽織った。よく見ると裾はほつれており、あちこちに継ぎ接ぎの跡がある。
続いてレイヴンは部屋の奥にある甕かめの中から柄杓を使って水を掬い、傍にある布を浸して表面に付着した体液を拭った後、辺りの掃除を始めた。
その最中、一人の老婆が部屋へと入室するも、レイヴンを目にするなり「穢らわしい……」と吐き捨てながら、中にある銛もりを掴んで出ていった。
「……よかった」
レイヴンはポツリと呟いた。入室したのが村の男達であれば、きっとただでは済まない。貶しながらも静かに退室してくれた老婆に感謝しつつ、レイヴンは胸を撫で下ろした。
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