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「ゲーム4」5
しおりを挟むポーンという音とともに、壁面に新たな文字が表示されたのがわかり、俺は視線だけをそちらへ動かした。
『カウント 1』
目元が涙で滲むが、この日本語を見間違うことはない。これで、ワンカウントだ。これで……
「どうだ? 緊張は解れたか?」
バイロンが汗ばむ俺の顔を覗き込みながら尋ねた。
「はあ……はあ……ん、ほ……解れ、た……どころ、じゃなぃ……」
全身からズルリと力が抜ける。
こんな行為を、後九回もするのか? 九回……も? む、無理無理無理! 回復魔法もかけられないのに、九回なんて正気の沙汰じゃない! 絶対に無理! きっと絶倫でも死ぬって……!
「そう難しく考えるな、スグル。悪いようにはしない」
こちらの強張る表情を見てなのか、穏やかな口調のバイロンがポン、と俺の頭に手を乗せた。悪いようにはしない、って……その台詞、敵や悪党が口にしそうなものなんだけど。それでもって、悪くされない試しがないんだけれど。
「とは言っても、スグルは行為自体に耐性がないようだからな。この一回で慣れろというのが無理な話か」
「ならば、もう一、二回ほどイかせてみようか」
「そうするか」
小声でセルとルイスが恐ろしいことを画策し始めた。何言ってんの、この人達。たった今、射精したばかりなのに、そんなポンポンとイけるわけないだろ!
そんな二人とバチッと目が合った。俺は千切れんばかりに、首を横に振った。
「おや、困ったね。もうイくのは嫌?」
ルイスに向かって、今度は首を縦に振った。
「ならば、もう一方のクリア条件か。我々を受け入れる覚悟ができたと、そう捉えていいのだな?」
慌ててセルに向かって、再び首を横に振った。
「ふむ。スグルに覚悟がないとなると、残念ながらゲームオーバーだな。我々三人は拷問のような罰を受けるか、最悪の場合、あの世行きというところか」
「……ぅ」
二人に続いて淡々と述べるバイロンの言葉に、俺はピタッと硬直した。脳裏に蘇るのは、雅の無残な姿だ。
忘れたわけではない。このゲームをクリアできなかった者の末路を。忘れていない。いない、けど……!
結局、ただだんまりとなってしまう俺に、普段と変わらない様子のセルが……
「時間は有限だ。お前にこの先を進める気があるのなら、我々は動くのみ。だが、スグル。お前がもう無理だ、と言うのであれば、それで構わない。我々にその先の結末を迎え入れる覚悟は、とうにできている」
と、固い決意を口にした。我々、と括る通り、ルイスやバイロンも同じ目をしていた。
俺は自分が情けなかった。彼らは死すらも覚悟しているというのに、たった一回達しただけで俺は音を上げていた。
怖い。怖い。
でも、それ以上に。彼らを失うことの方が怖い。
「ご……めん……なさい……」
俺は謝罪を口にした後、「続けてください」と、自分にしか聞こえないだろうほどの声量で言った。はっきりきっぱりと断言できないのがもどかしい。
それくらい微かな声だったのに……
「続行だ」
「続けよう」
「続けますか」
「…………へっ?」
まるで待ってました! とばかりに、三人は同時に手を動かし、俺に触れ出した……って、切り替え早くない!?
あまりにも素早い対応に戸惑う俺を置いて、三人はチャカチャカと次の工程へと移った。
「では、先ほど言ったように、もう一回はイってもらおうかな」
「同時に後ろを慣らしておくか」
「そうだな。どちらにも対応できるよう、アナルの拡張にも取りかかろう」
「え……え……な、何……? 今度は、何……!?」
俺は立ったままバイロンと抱き合う形にされると、腰を固定され、セルとルイスに向かって尻を突き出すようなポーズを取らされた。
「……っ、ん……」
続けて、尻の割れ目に沿って誰かの指が触れる。そして左右の肉を持ち上げるように押し広げられると、それまで埋もれていた肛門が外気に晒された。
すでにまるっと見られている身体な上、もう何度か弄られたアソコだけれど、この数回ほどで慣れるわけもない。
顔が茹で蛸のように真っ赤になるのがわかった。
「何度見ても小さくて可愛い蕾だね」
「ひゃんっ……!」
ルイスが口元を綻ばせながら、しみじみと言った。同時に誰かが、ツンと、その"蕾"とやらを指で突いた。
「いい声だ」
バイロンが俺の唇に指を添え、その形を確かめるようになぞった。
腹を括ろう。これで三人が助かるなら、俺の尻なんて安いもんだ。
でも、せめて……いや、これだけは……
「……い……痛く……しないで……」
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