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「ゲーム3」2
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怒っているわけじゃ、ない? むしろ、心配してくれている?
意外な台詞に、俺はルイスの腕の中で身体を捩りつつ戸惑った。
「あの……二人は二人で、俺を気遣ってくれていたよ。ゲームの間にインターバルっていう休憩時間を挟むんだけど、その時だって二人ともわざわざ……」
「庇わなくていい。全く、帝国最強の騎士とビーストテイマーが聞いて呆れるな」
ルイスはその言葉通りにため息を吐いた。こんなルイスは本当に珍しい。普段はもっと余裕があり、穏やかでいる彼なのに、今はその表情に怒りすら感じる。
ルイスが俺の肩から顔を離すと、銀色の髪が流れるように長い耳から零れて俺の頬を擽った。
ただそれだけの、僅かな刺激だった。それがいったいどうして……
「んっ……」
「スグル?」
どうして、バイロンに舐められた時と同じくらい、変に感じてしまうんだろう。
ビクッと肩を震わせた俺は慌てて、怪訝な顔を浮かべるルイスに、翳した両手と頭を振った。
「ち、違っ……これは違ってっ……最初からこんな風では……その……昔からっ、昔から擽ったいのが苦手でっ……それでっ……!」
って、何で俺はこんなにも必死に言い訳しているんだ? ただ刺激に敏感なだけで、そう答えればいいだけの話なのに、どうして……どうして俺は、それを恥ずかしいと思ってしまうんだろう。
「それで……だから……っ……」
カッと腹の奥が火でもついたかのように熱くなり、その熱はたちまち全身へと広がった。俺は右手を上げてシャツの袖を真っ赤になった顔へと近づけると、眼鏡から下を隠すようにあてがった。
そんな挙動不審の俺の様子を、ルイスは目を細めながら静かに見つめて、
「ふぅん。なるほど?」
と、妙に納得した様子で呟いた。ふぅん、なるほど? なるほどって、何がなるほど?
そのルイスの声は、静かなのにどこか冷たいものを含んでいた。そして彼は、下を向く俺の左の首元へ、自身の手の甲を向けてピタリと添えると、触れたまま首から胸元へと流すように下ろした。
「んんっ……!」
その際、シャツの上からバイロンによって散々舐められた乳首に触れて、俺はまたも変な声を上げてしまった。
それを見たルイスは、またも呆れたように首を振った。
「やれやれ。君がこんな状態では、セルはともかくバイロンは交代するのを渋っただろうな。まったく……」
「ルイ、ス……?」
それはどういうこと? と、ルイスの言っている意味がわからない俺は、視線だけを上げて彼の様子を窺った。けれど、呆れているはずの彼の口元は、どこか皮肉めいた笑みを浮かべていた。
対して、俺の視線に気づいたルイスは、すぐにいつもの穏やかな彼へと変わり、今度はポンポンとこちらの頭を撫でてきた。
「ともかく、二人に物申すのはここから脱出した後だな。まずは今回のゲームのルールを確認しよう」
「う、うん」
何だろう。目の前にいるのはルイスのはずなのに、なんだか知らない人を前にしているみたいだ。このゲームステージ内へ姿を現した時から、ルイスがルイスでないようで……まさか、目の前のこのエルフは別エルフ?
そんなわけはないよな、と思いながらもセルやバイロンがいる鑑賞スペースへ視線を移すと、そこにルイスの姿はなかった。つまりここにいるルイスは本物ということになる。そもそも、ここにいるルイスがルイスでなかったら、すでに外にいる二人が、何かしらの行動を起こしているはずだ。
「スグル?」
「あ、ごめん。ルールを読むね。ええと……」
名前を呼ばれて、壁面へ顔を上げた時だった。フッ、と空から、何かが降ってきた。
「うわっ……!?」
俺とルイスの周りを囲むように落ちてきたそれらは、ゴトン、ゴトン、と派手な音を立てて床へと転がった。何だ、これは? と、転がったそれらへ視線を落とすと、それは斧と、日本の伝統的工芸品であるコケシに似た何かだった。
「何だ、これ……それも、こんなにたくさん……」
はじめはそれが何を意味しているのかがわからず、目を細めて首を傾げた。しかし、改めて壁面へと視線を戻し、今回のゲームのルールを読んだ時、俺は顔を強張らせた。
この斧と、無数のコケシ達が、何を意味しているのかがわかってしまったからだ。
サッと顔から血の気が引いていくのがわかる。壁面に表示されたルールは、俺にとってあまりに酷だったからだ。
そしてなかなかルールを読み上げない俺を、ルイスはどう思っただろう。これが雅相手なら、俺は今頃後頭部を叩かれているところだ。
けれどルイスは叩くどころか俺の肩を抱くと、そのまま自身へと引き寄せた。そしてこちらの顎に手を添えると無理なく上げて、黒い両眼に銀色のそれを合わせてきた。
「スグル。私はあの壁に、何が書かれているのかがわからない。だがこれだけは先に言っておこう。私は君を傷つけることは絶対にしない。だから隠しごとなく、正確に、こちらへ伝えてくれるかな?」
「る…………う、うん……」
カチカチと鳴る奥歯。ルイスに抱かれて初めて気づいた。俺は恐怖のあまり、震えていた。
しかしずっとそうしているわけにもいかない。カウントダウンは、すでに始まっているのだから。
俺は今回、俺達に課せられたゲームのルールを読み上げた。
『ゲーム3。
・プレイ人数2人。プレイヤー1。生贄1。
・クリア条件→プレイヤーが生贄の四肢、あるいは性器を切断すること。もしくはプレイヤーが生贄のアナルを刺激し、射精させること。どちらか一方を選び、実行しなさい。ただし、生贄の射精において、ペニスを刺激することは認めない。制限時間は1時間。
・注意事項→魔法の使用は可。時間切れ、または生贄が気絶した場合、失格とする』
意外な台詞に、俺はルイスの腕の中で身体を捩りつつ戸惑った。
「あの……二人は二人で、俺を気遣ってくれていたよ。ゲームの間にインターバルっていう休憩時間を挟むんだけど、その時だって二人ともわざわざ……」
「庇わなくていい。全く、帝国最強の騎士とビーストテイマーが聞いて呆れるな」
ルイスはその言葉通りにため息を吐いた。こんなルイスは本当に珍しい。普段はもっと余裕があり、穏やかでいる彼なのに、今はその表情に怒りすら感じる。
ルイスが俺の肩から顔を離すと、銀色の髪が流れるように長い耳から零れて俺の頬を擽った。
ただそれだけの、僅かな刺激だった。それがいったいどうして……
「んっ……」
「スグル?」
どうして、バイロンに舐められた時と同じくらい、変に感じてしまうんだろう。
ビクッと肩を震わせた俺は慌てて、怪訝な顔を浮かべるルイスに、翳した両手と頭を振った。
「ち、違っ……これは違ってっ……最初からこんな風では……その……昔からっ、昔から擽ったいのが苦手でっ……それでっ……!」
って、何で俺はこんなにも必死に言い訳しているんだ? ただ刺激に敏感なだけで、そう答えればいいだけの話なのに、どうして……どうして俺は、それを恥ずかしいと思ってしまうんだろう。
「それで……だから……っ……」
カッと腹の奥が火でもついたかのように熱くなり、その熱はたちまち全身へと広がった。俺は右手を上げてシャツの袖を真っ赤になった顔へと近づけると、眼鏡から下を隠すようにあてがった。
そんな挙動不審の俺の様子を、ルイスは目を細めながら静かに見つめて、
「ふぅん。なるほど?」
と、妙に納得した様子で呟いた。ふぅん、なるほど? なるほどって、何がなるほど?
そのルイスの声は、静かなのにどこか冷たいものを含んでいた。そして彼は、下を向く俺の左の首元へ、自身の手の甲を向けてピタリと添えると、触れたまま首から胸元へと流すように下ろした。
「んんっ……!」
その際、シャツの上からバイロンによって散々舐められた乳首に触れて、俺はまたも変な声を上げてしまった。
それを見たルイスは、またも呆れたように首を振った。
「やれやれ。君がこんな状態では、セルはともかくバイロンは交代するのを渋っただろうな。まったく……」
「ルイ、ス……?」
それはどういうこと? と、ルイスの言っている意味がわからない俺は、視線だけを上げて彼の様子を窺った。けれど、呆れているはずの彼の口元は、どこか皮肉めいた笑みを浮かべていた。
対して、俺の視線に気づいたルイスは、すぐにいつもの穏やかな彼へと変わり、今度はポンポンとこちらの頭を撫でてきた。
「ともかく、二人に物申すのはここから脱出した後だな。まずは今回のゲームのルールを確認しよう」
「う、うん」
何だろう。目の前にいるのはルイスのはずなのに、なんだか知らない人を前にしているみたいだ。このゲームステージ内へ姿を現した時から、ルイスがルイスでないようで……まさか、目の前のこのエルフは別エルフ?
そんなわけはないよな、と思いながらもセルやバイロンがいる鑑賞スペースへ視線を移すと、そこにルイスの姿はなかった。つまりここにいるルイスは本物ということになる。そもそも、ここにいるルイスがルイスでなかったら、すでに外にいる二人が、何かしらの行動を起こしているはずだ。
「スグル?」
「あ、ごめん。ルールを読むね。ええと……」
名前を呼ばれて、壁面へ顔を上げた時だった。フッ、と空から、何かが降ってきた。
「うわっ……!?」
俺とルイスの周りを囲むように落ちてきたそれらは、ゴトン、ゴトン、と派手な音を立てて床へと転がった。何だ、これは? と、転がったそれらへ視線を落とすと、それは斧と、日本の伝統的工芸品であるコケシに似た何かだった。
「何だ、これ……それも、こんなにたくさん……」
はじめはそれが何を意味しているのかがわからず、目を細めて首を傾げた。しかし、改めて壁面へと視線を戻し、今回のゲームのルールを読んだ時、俺は顔を強張らせた。
この斧と、無数のコケシ達が、何を意味しているのかがわかってしまったからだ。
サッと顔から血の気が引いていくのがわかる。壁面に表示されたルールは、俺にとってあまりに酷だったからだ。
そしてなかなかルールを読み上げない俺を、ルイスはどう思っただろう。これが雅相手なら、俺は今頃後頭部を叩かれているところだ。
けれどルイスは叩くどころか俺の肩を抱くと、そのまま自身へと引き寄せた。そしてこちらの顎に手を添えると無理なく上げて、黒い両眼に銀色のそれを合わせてきた。
「スグル。私はあの壁に、何が書かれているのかがわからない。だがこれだけは先に言っておこう。私は君を傷つけることは絶対にしない。だから隠しごとなく、正確に、こちらへ伝えてくれるかな?」
「る…………う、うん……」
カチカチと鳴る奥歯。ルイスに抱かれて初めて気づいた。俺は恐怖のあまり、震えていた。
しかしずっとそうしているわけにもいかない。カウントダウンは、すでに始まっているのだから。
俺は今回、俺達に課せられたゲームのルールを読み上げた。
『ゲーム3。
・プレイ人数2人。プレイヤー1。生贄1。
・クリア条件→プレイヤーが生贄の四肢、あるいは性器を切断すること。もしくはプレイヤーが生贄のアナルを刺激し、射精させること。どちらか一方を選び、実行しなさい。ただし、生贄の射精において、ペニスを刺激することは認めない。制限時間は1時間。
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