異世界での監禁デスゲームが、思っていたものとなんか違った

天白

文字の大きさ
上 下
31 / 60

「ゲーム2」6

しおりを挟む
 ヒュッ、と入り込む酸素を貪るように、俺はやや荒い呼吸を繰り返した後、バイロンに向かって首を横に振った。

「い……痛くは、ない……でも……擽ったくて……あまり、たくさん……舐められると……」

「ああ、すまない」

 最後まで言わずとも、こちらの気持ちは理解してくれたらしい。バイロンは短く謝った。謝ってくれた。

 しかし、舐めていた俺の臍が気になるのか……

「んああっ」

「舐め残しがあるといけないからな。我慢してくれ」

 そう言って舌先を尖らせると、それを臍の溝に挿し込むように押し当てた。舐め残しなんて言葉、初めて耳にしたぞ。いやいやそれよりも、何で臍ばかりを舐めるんだ? そこに何か美味しいポイントでもあるのか? ペロッと舐めて終わりじゃ駄目なの?

「ん、んんうっ……」

 執拗に舐められ逃げ腰になってしまう俺の身体を、片手でがっちりと固定するバイロンは「もう少しだから」とあやすように言って、舌を小刻みに動かした。

 ピコピコと動く耳も相まって、さながら本物の猫のように舐められる。笑えるような擽ったさじゃない。俺の口から、誰のものかもわからないような声が溢れて止まらなくなっていた。

「あ、あぁっ……や、め……んっ……変……んんっ……変に、なる……んっ……からあっ……」

 泣きそうな声を上げてバイロンに訴えると、そこでようやく、彼は腹から顔を離してくれた。

「はあっ……あっ……はあっ……んっ……」

 何だよ、これ。ただ臍を舐められただけなのに、頭から爪先までが痺れるようだ。それに、さっきの気持ち悪い声……俺のものなのに、俺のものじゃないみたいだった。

 いつの間にか、目には涙が溜まっていて、視界がさらに不鮮明になった。視線を上げると、仰向けになる俺へ覆い被さるように、バイロンの顔があった。ジッとこちらを見ているようだけれど、どうしたんだろう。彼の表情がわからない。ただ黙って見ている。この程度で音を上げる俺に、呆れているのだろうか。

「ば、バイロン……? どうし、たの……」

「いや……」

 俺が尋ねると、バイロンはハッとしたように口元を手で押さえた。本当にどうしたんだ? 上半身とはいえ、このまま俺を舐め続けることが厳しくなってきたのだろうか。

「ごめん……変な声を出して……俺、擽ったいのが苦手で……でも、頑張るから。大丈夫だから。だから……バイロンも、舐めるのは嫌かもしれないけれど……がんばっ」

「嫌ではない。不快でもない。苦でもない。こちらに対する気遣いは不要だ。安心しろ」

「え? あ、うん……ご、ごめん……」

 食い気味に、かつ力強く否定された。悪いことを言ったわけでもないのに、口をついて出たのは謝罪だった。

 嫌でも苦でもないのか。じゃあ、今の沈黙は何だっだんだろう?

「続けるぞ」

「お、お願いします……」

 バイロンは再び身体を屈めると、今度は俺の胸周りを舐め始めた。膨らみのない平らな胸を、腹回り同様に丁寧に舐めていく。臍ほどではないが、擽ったいのでやはり声が出そうになる。爪先が湿った靴の中で、鷲の爪のように曲がった。

「んっ、んんっ……」

 プツンと尖った乳首に、バイロンの舌の突起がやんわりと当てられた。その瞬間、臍を舐められた時と同様、あの痺れるような感覚が俺を襲った。

「や、ああっ……!」

 背をのけぞらせて甲高い声を上げると、バイロンの耳がピン! と立った。

「ああ、ここか」

 バイロンは何かを悟ったように呟くと、今度は俺の乳首をむしゃぶりつくように舐め出した。

「っん、や……ああっ……だ、め……バイ、ロン……」

 そんなところ、ひと舐めでいいだろと思うのに、バイロンは乳首の先端をそれこそ擽るように舌先で舐める。かと思ったら、わざとこちらに強い刺激を与えるように、吸ったり歯の先を当てたりする。何で? 何で俺の乳首をここぞとばかりに弄ってくるの? そこに恨みでもあるの? というか、声が……声が抑えられない。堪えようとするとバイロンが乳首を甘噛みしてきて、一層高い声が上がってしまう。

 そんなはずはないだろうと思っていたけれど、まさかバイロン……俺をめちゃくちゃ嫌っているのか?

「や、んっ……バイロ……バイロンっ……んあっ……も、やだ……そこばっか……やあっ……んんっ……やだあっ……」

 イヤイヤと頭を振るも、今度は反対の乳首をバイロンは舐め出した。臍の時は言葉だけの謝罪を口にしてくれたのに、こと乳首に関しては二つもあるからか言葉だけの謝罪すらくれない。

 そして反対の乳首も、散々舐めしゃぶられた方と同様、執拗に責められた。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

俺が総受けって何かの間違いですよね?

彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。 17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。 ここで俺は青春と愛情を感じてみたい! ひっそりと平和な日常を送ります。 待って!俺ってモブだよね…?? 女神様が言ってた話では… このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!? 俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!! 平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣) 女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね? モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

処理中です...