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どうしてこうなった 1
しおりを挟む首元で切り揃えられている短い髪が、俺の額や頬に貼りついて気持ちが悪い。頭の片隅でそんなことを考えながら、歯を食い縛る俺の口からは何かを堪えるようなくぐもった声が発せられていた。
「んっ……ん、んんぅ……!」
「スグル、腰が引けてる……もっと力を抜いて……」
「あ、ああっ……だめ……だめ、いまっ……今、おくっ、挿れたらっ……あああぁっ!」
歯の上下間に隙間が空いた瞬間、どこから出たのか知れない悲鳴がこの部屋全体に轟いた。浮いた臀部が痙攣し、両脚のつま先がこれでもかと折れ曲がる。それほど強い衝撃だった。つい昨日まで、排泄の用途としてしか使用されていなかった器官に、赤子の腕ほどもある極太のペニスで貫かれたのだから、これで声を殺せる方がどうかしている。
痛みなのか、苦しみなのか、ただ驚いただけなのか。身体の中心が裂けたような感覚が俺を襲う。破瓜とはこんな感覚なのか。とすると、俺は今、尻の孔から血を滴らせているのだろうか。
実際に裂けてはいないようだが、じゃあそれで「よかった。よかった」ということにはならない。例えば俺が生物学的に女性の立場なら、彼のそれを抵抗なく受け入れられたのかもしれない。女性は男性と違って子を産むことができる。個人差はあれど、大抵は赤子の頭ほどのサイズが通れるように身体ができている。だが俺は、生まれた時から身も心も男だ。元から赤子を産む器官が装備されていない。
だからといって、男の場合はここに挿れるのか? 男のアレを? 尻の中に? 同性同士の性交に明るくない俺は、アナルセックスを知らなかった。身体から不要となったものを排出する為だけの器官に異物を挿入して感じることなどありえない。
ありえない……そう思っていたのに。
「はあ……はあ……ぅ……」
激しく身体を動かしたわけでもないのに、全身が熱い。萎えるどころか下肢で反り勃つ自身からは、涎のような透明な体液がテラテラと流れ出ている。これが漏らしているかのようで、かなり恥ずかしい。当然だ。この場には、一糸纏わず醜態を晒す俺を見下ろす者が、三人もいるのだから。
肩で息をする俺を正面に、両膝裏を軽々と抱えて己のペニスを俺の中に埋め込む虎顔の男が、白い牙を口元から覗かせる。
「今のは一回にカウントされたのか?」
ズン、と腰に響く低い声。ぶるっと身体を震わせると、武骨な手の甲でそっと頬を撫でられる。頬に触れたのは俺を犯している虎顔の男ではない。俺の上体を背面から抱えるようにして支えている別の男だ。その男の長い耳にかかる銀髪が、光に反射して眩しく見えた。
「いや……」
銀髪の男は俺から視線を外して、ある一方の壁上を見つめる。そこには蛍光色で『カウント 3』と表示されており、男は緩やかに首を振った。
「変動なし。残念だな」
まったく残念そうに聞こえない調子なのは俺の気のせいなのか。銀髪の男の答えに、俺の中にペニスを埋める男は舌なめずりをしながら宣言する。
「仕方ない。そういうわけだから、スグル。このまま責めさせてもらうぞ」
せめる? それは俺に言ったのか?
死刑宣告を受けたような気がした。嫌々と頭を振るも、二人の男に……それも自分より一回りも二回りも大きな体躯の男達に身体を制されては、いくら同性といえど逃れられるはずがない。
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