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おまけのようなエピローグ 2
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「ヒート中、あんなにヤりまくったのにな」
続けて秀一は、藍時のなだらかな肩に腕を回すと、そのまま自身に引き寄せた。逞しい腕の中ですっぽりと収まる華奢な身体は、金縛りにでもあったかのようにたちまち全身を硬直させる。
抱く方の手で、チョーカーを外している藍時の白い首元を指でなぞると、彼は小さく震えつつ秀一に答えた。
「あっ……あの、時は……その……わ、我を……失っていて……」
怯えているわけではない。この震えは、ただの緊張からくるものだ。相手もそうだとわかっているからか、大きなその手は自分に触れるのを止めない。
次第に、首元に触れている手は顎に伸び、互いの顔が向き合う形にされてしまった。漆黒の両目と自身のそれが合わさると、途端喉の奥がヒュッと窄まった。しかしこれまでのように、声が出せなくなったわけではない。この反応もまた、恐怖からくるものではないのだと、藍時の頭は告げていた。
今はただただ、目の前のαに惹かれている。藍時は瞬きをすることすら忘れて、秀一を見つめていた。
そんな藍時の真意に気づいていない秀一は、またも固まってしまう彼を前に微苦笑を浮かべた。そして顔を伏せつつ彼から視線を外し、卵の先のような形の顎から手を引いた。
「わかっているよ。あれは仕方のないことだ。処理だとでも思えばいい」
そう言って自身から離れようとする秀一に、藍時がハッとして声を張り上げた。
「あ、あれを……っ、しょ、り……とは……思いたく、ありませんっ……」
辿々しくも必死な様子を見せる彼に、てっきり恐がらせてしまったものだと思っていた秀一は、うっすらと口を開いて驚いた。
そして自分の肩に自然と手を伸ばし、引き留めようとする番を前に、秀一は開いた口元を緩ませると、
「じゃあ、どう思いたいんだ?」
桜色に染まるなだらかな頬に手を添えて、再び視線を合わせた。
「そ、れは……」
引き留めたのはいいものの、秀一からの質問に明確な答えを用意していなかった藍時は言葉を詰まらせた。たまらず、視線を逸らしてしまうと、その笑みを邪悪なものへと変化させた秀一が、唐突に藍時の身体をソファの座面に押し倒した。
「えっ……? あ、あのっ……」
ぐるんと視界が回り、驚きを隠せない藍時は表情に戸惑いの色を見せる。しかし秀一はそれに構わず、藍時が纏うTシャツの裾から手を挿し込むと、彼の薄い腹を手の平で撫で上げた。
「藍時。どう思いたい?」
撫でるその手は腹から胸へと上がっていき、やがてプツンとした小さな突起に辿り着く。
「んっ……」
その突起を指先で転がすように動かすと、藍時の口から微かな喘ぎ声が上がった。ヒート中のΩは全身が性感帯のように過度に敏感になるが、そうでなくとも藍時は元から感じやすい方らしい。タレ目がちの両目に涙がじわりと潤み出し、仄かに色づいていた頬が火照ったように赤くなった。
ヒートとはまた違う藍時の反応にほくそ笑みながら、秀一は下唇をペロリと舐めた。
「煽るなよ」
組み敷くΩに覆い被さる秀一は、これまでに二度も自分を惑わし甘い香りを放った相手の首筋に唇を寄せると、チュッ、チュッ、と音を立てながら啄むようなキスを落としていく。
一方で、藍時は擽ったいと感じるほどの優しい愛撫に身悶えながら、今自分達がいる場所がそれを行うにあたってふさわしくないことを訴えた。
「ふっ……ぁ……しゅ……いち、さ……んっ……ここ……っ……リ、ビング……で……んっ……だ、め……」
「ん? ベッドがいいって?」
「んんっ……ちが……」
行うのであれば、せめて場所を移したい。それが本音だが、秀一の言うようにベッドがいいと答えるのも、何かが違う気がした。
(だって、それじゃまるで……俺がしたいって言っているようなものじゃないか……)
よくよく考えると、自分は付き合うことはおろか、性行為自体もろくな経験を積んでいない。どころか、藍時の方から相手を誘ったことはなく、またヒート以外で誰かに欲情したこともなかった。あるのは一方的な処理行為。愛撫とは名ばかりで、その行為はただ痛く、苦しいものだった。
今、こうして押し倒されているのは、目の前のαが自分に欲情したからだろう。決して自分からではない。そのはずなのに……
「や……音、立て……ない、で……」
いつの間にか、下着の中に挿し込まれた相手の手が腰より下の双丘に滑り込み、その奥にある秘部へと侵入した。太く、かつ長い中指が、クチュ、クチュ、と粘り気のある水音を立てて、藍時の中をゆるゆると掻き回した。
「すげえ濡れてる……下着がぐっしょりだな」
耳元で囁かれて、さらに愛液が滲み出た。こんな感覚は知らない。藍時は自身に起こっている変化に戸惑いながら、この溢れて止まらない愛液がソファの座面に移らないようにしようと、必死に腰を浮かせていた。
それにはもちろん、秀一も気づいていたようで……
「藍時。お前が何も言わないなら、ここで抱くけど?」
と、相手の耳朶を舐め上げながら囁きかけた。藍時はビクビクと身体を震わせ、左右に首を振った。
だが、何かのスイッチが入ったかのように、秀一はそれを聞かなかった。あくまで、藍時の口から言わせたいらしい。
はあ……と甘い吐息を吐き出す藍時の下唇に、秀一は濡れた指でそっと触れると、
「この口で、オレに言って?」
酷く優しい声音でそう言った。それが快楽に溺れつつある藍時にとっては、悪魔の囁きのように聞こえた。
「……っ、べ……んっ、ベッ……ド……が……いい……」
瞬きをすると、一雫の涙が零れた。その声量は本当に微かなもので、普段であれば聞き取れないほどだ。しかし秀一は満足そうに微笑みながら「わかった」と答えると、藍時を抱き上げ彼の部屋へと場所を移した。
続けて秀一は、藍時のなだらかな肩に腕を回すと、そのまま自身に引き寄せた。逞しい腕の中ですっぽりと収まる華奢な身体は、金縛りにでもあったかのようにたちまち全身を硬直させる。
抱く方の手で、チョーカーを外している藍時の白い首元を指でなぞると、彼は小さく震えつつ秀一に答えた。
「あっ……あの、時は……その……わ、我を……失っていて……」
怯えているわけではない。この震えは、ただの緊張からくるものだ。相手もそうだとわかっているからか、大きなその手は自分に触れるのを止めない。
次第に、首元に触れている手は顎に伸び、互いの顔が向き合う形にされてしまった。漆黒の両目と自身のそれが合わさると、途端喉の奥がヒュッと窄まった。しかしこれまでのように、声が出せなくなったわけではない。この反応もまた、恐怖からくるものではないのだと、藍時の頭は告げていた。
今はただただ、目の前のαに惹かれている。藍時は瞬きをすることすら忘れて、秀一を見つめていた。
そんな藍時の真意に気づいていない秀一は、またも固まってしまう彼を前に微苦笑を浮かべた。そして顔を伏せつつ彼から視線を外し、卵の先のような形の顎から手を引いた。
「わかっているよ。あれは仕方のないことだ。処理だとでも思えばいい」
そう言って自身から離れようとする秀一に、藍時がハッとして声を張り上げた。
「あ、あれを……っ、しょ、り……とは……思いたく、ありませんっ……」
辿々しくも必死な様子を見せる彼に、てっきり恐がらせてしまったものだと思っていた秀一は、うっすらと口を開いて驚いた。
そして自分の肩に自然と手を伸ばし、引き留めようとする番を前に、秀一は開いた口元を緩ませると、
「じゃあ、どう思いたいんだ?」
桜色に染まるなだらかな頬に手を添えて、再び視線を合わせた。
「そ、れは……」
引き留めたのはいいものの、秀一からの質問に明確な答えを用意していなかった藍時は言葉を詰まらせた。たまらず、視線を逸らしてしまうと、その笑みを邪悪なものへと変化させた秀一が、唐突に藍時の身体をソファの座面に押し倒した。
「えっ……? あ、あのっ……」
ぐるんと視界が回り、驚きを隠せない藍時は表情に戸惑いの色を見せる。しかし秀一はそれに構わず、藍時が纏うTシャツの裾から手を挿し込むと、彼の薄い腹を手の平で撫で上げた。
「藍時。どう思いたい?」
撫でるその手は腹から胸へと上がっていき、やがてプツンとした小さな突起に辿り着く。
「んっ……」
その突起を指先で転がすように動かすと、藍時の口から微かな喘ぎ声が上がった。ヒート中のΩは全身が性感帯のように過度に敏感になるが、そうでなくとも藍時は元から感じやすい方らしい。タレ目がちの両目に涙がじわりと潤み出し、仄かに色づいていた頬が火照ったように赤くなった。
ヒートとはまた違う藍時の反応にほくそ笑みながら、秀一は下唇をペロリと舐めた。
「煽るなよ」
組み敷くΩに覆い被さる秀一は、これまでに二度も自分を惑わし甘い香りを放った相手の首筋に唇を寄せると、チュッ、チュッ、と音を立てながら啄むようなキスを落としていく。
一方で、藍時は擽ったいと感じるほどの優しい愛撫に身悶えながら、今自分達がいる場所がそれを行うにあたってふさわしくないことを訴えた。
「ふっ……ぁ……しゅ……いち、さ……んっ……ここ……っ……リ、ビング……で……んっ……だ、め……」
「ん? ベッドがいいって?」
「んんっ……ちが……」
行うのであれば、せめて場所を移したい。それが本音だが、秀一の言うようにベッドがいいと答えるのも、何かが違う気がした。
(だって、それじゃまるで……俺がしたいって言っているようなものじゃないか……)
よくよく考えると、自分は付き合うことはおろか、性行為自体もろくな経験を積んでいない。どころか、藍時の方から相手を誘ったことはなく、またヒート以外で誰かに欲情したこともなかった。あるのは一方的な処理行為。愛撫とは名ばかりで、その行為はただ痛く、苦しいものだった。
今、こうして押し倒されているのは、目の前のαが自分に欲情したからだろう。決して自分からではない。そのはずなのに……
「や……音、立て……ない、で……」
いつの間にか、下着の中に挿し込まれた相手の手が腰より下の双丘に滑り込み、その奥にある秘部へと侵入した。太く、かつ長い中指が、クチュ、クチュ、と粘り気のある水音を立てて、藍時の中をゆるゆると掻き回した。
「すげえ濡れてる……下着がぐっしょりだな」
耳元で囁かれて、さらに愛液が滲み出た。こんな感覚は知らない。藍時は自身に起こっている変化に戸惑いながら、この溢れて止まらない愛液がソファの座面に移らないようにしようと、必死に腰を浮かせていた。
それにはもちろん、秀一も気づいていたようで……
「藍時。お前が何も言わないなら、ここで抱くけど?」
と、相手の耳朶を舐め上げながら囁きかけた。藍時はビクビクと身体を震わせ、左右に首を振った。
だが、何かのスイッチが入ったかのように、秀一はそれを聞かなかった。あくまで、藍時の口から言わせたいらしい。
はあ……と甘い吐息を吐き出す藍時の下唇に、秀一は濡れた指でそっと触れると、
「この口で、オレに言って?」
酷く優しい声音でそう言った。それが快楽に溺れつつある藍時にとっては、悪魔の囁きのように聞こえた。
「……っ、べ……んっ、ベッ……ド……が……いい……」
瞬きをすると、一雫の涙が零れた。その声量は本当に微かなもので、普段であれば聞き取れないほどだ。しかし秀一は満足そうに微笑みながら「わかった」と答えると、藍時を抱き上げ彼の部屋へと場所を移した。
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