25 / 51
妙な違和感
しおりを挟む ある日の放課後、私たちは課題のため図書室に赴いた。
テーブルの最奥に並んで座り、資料を広げる。
真面目に手を動かし、作業は順調に進む。
そんな中、ふと魔が差してしまった。
「……ねぇ、萌恵ちゃん」
近くに人はいないけど、もちろん二人きりというわけではない。
迷惑をかけないように声を抑えて呼びかける。
「ん、どうしたの?」
萌恵ちゃんは手を止め、私の方を向いて小首を傾げた。
髪がふわっと揺れていい匂いが漂ってきたことは言うまでもなく、私が激しく興奮するのも当然というもの。
「誰にも気付かれないように、イチャイチャしてみたい」
付き合っているからこそ浮かんだ欲求。
以前は頭の中で自己完結させるしかなかったけど、いまなら萌恵ちゃんの同意さえ得られれば実現できる。
「お~、いいね。なんかワクワクする」
やった!
ど、どうしよう。テーブルの下でえっち――いやいや、いくらなんでも突飛すぎるし、最悪の場合は萌恵ちゃんの裸を私以外に見られてしまう。
落ち着け、落ち着くんだ。
下着を脱いでお互いに嗅ぐとか? うーん、嬉しいのは私だけだからダメ。
どんなことがいいかな。
頬にキスなんて、さすがに大胆――
「ちゅっ」
「!?」
考えていたことを不意打ちで行われ、心臓が飛び跳ねる。
大声を上げそうになったけど、両手で口を塞ぐことでかろうじて阻止できた。
「ほらほら、次は真菜の番だよ~」
萌恵ちゃんが自分の頬を指差し、静かに声を弾ませる。
念のために周囲を確認してから、私はほのかに赤らんだ瑞々しい肌にキスを落とす。
ひゃーっ、やっちゃった! 見られていないとはいえ、他に人がいる状況でほっぺにちゅーしちゃった!
心臓がドキドキしてる。顔が熱い。
嬉しさとか幸せな気分だけじゃなくて、達成感に似たなにかが胸の奥から込み上げてくる。
「んふふっ、ありがと」
ただでさえ胸の高鳴りがすごいのに、天使の微笑みを見せられて理性が弾け飛びそうだ。
「も、萌恵ちゃん、どうしよう……私、我慢できそうにない」
「じゃあ、次は唇同士でしてみる?」
今度は悪魔の誘惑が私を襲う。
いくらなんでも……いや、でも、こんなの抗えるわけがない。
「うん、したい」
「それじゃあ――」
さっきより念入りに辺りを見回してから、緊張感と高揚感を胸に、お互いに相手の方を向いて唇を近寄せる。
突然のハプニングに邪魔されないかという不安は、小さく発せられた艶めかしい水音によって消し去られた。
不用意に音を立てないよう気を付けつつ、最大限にキスを堪能する。
いつもより短めに終えたものの、集中していたせいか不完全燃焼という感じはしない。
ちょっとばかり刺激が強すぎるけど、たまにはこういった趣向もいいものだ。
テーブルの最奥に並んで座り、資料を広げる。
真面目に手を動かし、作業は順調に進む。
そんな中、ふと魔が差してしまった。
「……ねぇ、萌恵ちゃん」
近くに人はいないけど、もちろん二人きりというわけではない。
迷惑をかけないように声を抑えて呼びかける。
「ん、どうしたの?」
萌恵ちゃんは手を止め、私の方を向いて小首を傾げた。
髪がふわっと揺れていい匂いが漂ってきたことは言うまでもなく、私が激しく興奮するのも当然というもの。
「誰にも気付かれないように、イチャイチャしてみたい」
付き合っているからこそ浮かんだ欲求。
以前は頭の中で自己完結させるしかなかったけど、いまなら萌恵ちゃんの同意さえ得られれば実現できる。
「お~、いいね。なんかワクワクする」
やった!
ど、どうしよう。テーブルの下でえっち――いやいや、いくらなんでも突飛すぎるし、最悪の場合は萌恵ちゃんの裸を私以外に見られてしまう。
落ち着け、落ち着くんだ。
下着を脱いでお互いに嗅ぐとか? うーん、嬉しいのは私だけだからダメ。
どんなことがいいかな。
頬にキスなんて、さすがに大胆――
「ちゅっ」
「!?」
考えていたことを不意打ちで行われ、心臓が飛び跳ねる。
大声を上げそうになったけど、両手で口を塞ぐことでかろうじて阻止できた。
「ほらほら、次は真菜の番だよ~」
萌恵ちゃんが自分の頬を指差し、静かに声を弾ませる。
念のために周囲を確認してから、私はほのかに赤らんだ瑞々しい肌にキスを落とす。
ひゃーっ、やっちゃった! 見られていないとはいえ、他に人がいる状況でほっぺにちゅーしちゃった!
心臓がドキドキしてる。顔が熱い。
嬉しさとか幸せな気分だけじゃなくて、達成感に似たなにかが胸の奥から込み上げてくる。
「んふふっ、ありがと」
ただでさえ胸の高鳴りがすごいのに、天使の微笑みを見せられて理性が弾け飛びそうだ。
「も、萌恵ちゃん、どうしよう……私、我慢できそうにない」
「じゃあ、次は唇同士でしてみる?」
今度は悪魔の誘惑が私を襲う。
いくらなんでも……いや、でも、こんなの抗えるわけがない。
「うん、したい」
「それじゃあ――」
さっきより念入りに辺りを見回してから、緊張感と高揚感を胸に、お互いに相手の方を向いて唇を近寄せる。
突然のハプニングに邪魔されないかという不安は、小さく発せられた艶めかしい水音によって消し去られた。
不用意に音を立てないよう気を付けつつ、最大限にキスを堪能する。
いつもより短めに終えたものの、集中していたせいか不完全燃焼という感じはしない。
ちょっとばかり刺激が強すぎるけど、たまにはこういった趣向もいいものだ。
20
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》
市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。
男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。
(旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。

成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
噛痕に思う
阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。
✿オメガバースもの掌編二本作。
(『ride』は2021年3月28日に追加します)
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。

捨てられオメガの幸せは
ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。
幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる