24 / 65
第1章 本章
第14話 未知なるもの・前編
しおりを挟む
主人公、中島義行一行は、無事に引っ越しを終える事が出来た。
飯田が手伝ってくれた事もあり、引っ越し作業は大分捗った。作業の合間にマリに対してアプローチを試みていたが……。うん。結果については言わなくてもいいかな。
前に住んでいたアパートから現在の住居までは、高速道路を使って移動をしてきたが、村瀬さんの異物回収活動に関して“距離的影響は特にない”と言っていたので、現在の一軒家に引っ越しが決まったのである。
付近の住民に新しい住人である事を周知してもらうため、粗品のお渡しや、軽い挨拶をしていく。
その時、ご近所さんから少し気になる話を聞いた。どうやら、この付近では変な動物が時々現れるらしい。
どんな動物なんですか?と、話題がてら話を振ってみると
「ああ、ほれ。あれじゃ。丁度そこに」
ご近所さんが指をさすその先に目線をやると、村瀬さんがハッとした顔で小声で私に
「中島さん。あれは……。魔物です」
と、教えてくれた。私は表情を崩さずに、直接的な害はないのかとご近所さんに聞いてみたところ。
今のところ人的被害はないとのことだが、嚙まれたりしたら怖いと言っていた。引っ越したばかりではあるが、新たな問題に直面することになってしまった。しかし、困っている人がいるならば、助けてあげるのが人情というもの。
色々と調査をしてみる必要がありそうだ。だが、その前に街中に出没した魔物について、村瀬さんに聞いてみる必要がある。ご近所さんと別れた後、私たちは家の中に入り、リビングで村瀬さんに質問をしてみた。
「村瀬さん。先ほど言っていた魔物というのは、どんな生物なのでしょうか」
村瀬さんは説明口調で話し始めた。
「そうですね。魔物というのは本来、私たちの世界にいる動物の種類の総称で、大まかに言うと人間に対して害のある生物がほとんどです」
「と、いうと……先ほど見た魔物も……」
「あの魔物はまだ大人しい種類ですが、詳しい事は調べてみないと分からないですね」
先ほどみた魔物は一般的な成人男性の半分くらいの身長しかなく、4本脚の、犬に近い外見をしていた。私たちの方を見た後、どこかへ消えてしまった。
私と、村瀬さんと、マリの3人で、その魔物を探してみる事にした。
とりあえず街中を散歩がてら探索してみる。付近の地理を覚えるのにも役に立つので一石二鳥だ。
しばらく歩いていると、マリが見つけてくれた。
《いました。あそこです》
その方に目をやると、確かにさっき見たのと同じ動物――いや、魔物か。よく観察すると見た目は普通の犬に見えなくもない。こちらを気にする様子がないので、私たちは跡をつけてみる事にした。
魔物が進む方向に対して後ろを歩いていると、前方から人影が走ってこちらに近づいてきた。
???「あー! いたいた! お前、こんなとこにいたのか」
付近に住んでいる住民だろうか、男の人が魔物に近づいて、頭をナデナデしている。
私はその人に質問をしてみた。
「あのー。すみません。そちらのまも――、動物は、貴方が飼っているんですか?」
男はこちらに気づき、質問に応答してくれた。
「あー。そう――ですね。飼っているというか、なんというか」
歯切れの悪い返答だった。村瀬さんが続けて問いを投げかける。
「付近の住民が不安がっているわよ。“噛まれるんじゃないか”って」
男は申し訳なさそうな顔をして対話を続ける。
「あぁ……。やっぱりそんなことになってましたか……。申し訳ない。こいつ、頭が良いみたいで、紐で繋いでも勝手に抜け出しちゃうんです。立ち話もなんなので、ウチに来ませんか? ここでは話しづらいことも」
私たちは男の申し出を受ける事にした。
飯田が手伝ってくれた事もあり、引っ越し作業は大分捗った。作業の合間にマリに対してアプローチを試みていたが……。うん。結果については言わなくてもいいかな。
前に住んでいたアパートから現在の住居までは、高速道路を使って移動をしてきたが、村瀬さんの異物回収活動に関して“距離的影響は特にない”と言っていたので、現在の一軒家に引っ越しが決まったのである。
付近の住民に新しい住人である事を周知してもらうため、粗品のお渡しや、軽い挨拶をしていく。
その時、ご近所さんから少し気になる話を聞いた。どうやら、この付近では変な動物が時々現れるらしい。
どんな動物なんですか?と、話題がてら話を振ってみると
「ああ、ほれ。あれじゃ。丁度そこに」
ご近所さんが指をさすその先に目線をやると、村瀬さんがハッとした顔で小声で私に
「中島さん。あれは……。魔物です」
と、教えてくれた。私は表情を崩さずに、直接的な害はないのかとご近所さんに聞いてみたところ。
今のところ人的被害はないとのことだが、嚙まれたりしたら怖いと言っていた。引っ越したばかりではあるが、新たな問題に直面することになってしまった。しかし、困っている人がいるならば、助けてあげるのが人情というもの。
色々と調査をしてみる必要がありそうだ。だが、その前に街中に出没した魔物について、村瀬さんに聞いてみる必要がある。ご近所さんと別れた後、私たちは家の中に入り、リビングで村瀬さんに質問をしてみた。
「村瀬さん。先ほど言っていた魔物というのは、どんな生物なのでしょうか」
村瀬さんは説明口調で話し始めた。
「そうですね。魔物というのは本来、私たちの世界にいる動物の種類の総称で、大まかに言うと人間に対して害のある生物がほとんどです」
「と、いうと……先ほど見た魔物も……」
「あの魔物はまだ大人しい種類ですが、詳しい事は調べてみないと分からないですね」
先ほどみた魔物は一般的な成人男性の半分くらいの身長しかなく、4本脚の、犬に近い外見をしていた。私たちの方を見た後、どこかへ消えてしまった。
私と、村瀬さんと、マリの3人で、その魔物を探してみる事にした。
とりあえず街中を散歩がてら探索してみる。付近の地理を覚えるのにも役に立つので一石二鳥だ。
しばらく歩いていると、マリが見つけてくれた。
《いました。あそこです》
その方に目をやると、確かにさっき見たのと同じ動物――いや、魔物か。よく観察すると見た目は普通の犬に見えなくもない。こちらを気にする様子がないので、私たちは跡をつけてみる事にした。
魔物が進む方向に対して後ろを歩いていると、前方から人影が走ってこちらに近づいてきた。
???「あー! いたいた! お前、こんなとこにいたのか」
付近に住んでいる住民だろうか、男の人が魔物に近づいて、頭をナデナデしている。
私はその人に質問をしてみた。
「あのー。すみません。そちらのまも――、動物は、貴方が飼っているんですか?」
男はこちらに気づき、質問に応答してくれた。
「あー。そう――ですね。飼っているというか、なんというか」
歯切れの悪い返答だった。村瀬さんが続けて問いを投げかける。
「付近の住民が不安がっているわよ。“噛まれるんじゃないか”って」
男は申し訳なさそうな顔をして対話を続ける。
「あぁ……。やっぱりそんなことになってましたか……。申し訳ない。こいつ、頭が良いみたいで、紐で繋いでも勝手に抜け出しちゃうんです。立ち話もなんなので、ウチに来ませんか? ここでは話しづらいことも」
私たちは男の申し出を受ける事にした。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
グライフトゥルム戦記~微笑みの軍師マティアスの救国戦略~
愛山雄町
ファンタジー
エンデラント大陸最古の王国、グライフトゥルム王国の英雄の一人である、マティアス・フォン・ラウシェンバッハは転生者である。
彼は類い稀なる知力と予知能力を持つと言われるほどの先見性から、“知将マティアス”や“千里眼のマティアス”と呼ばれることになる。
彼は大陸最強の軍事国家ゾルダート帝国や狂信的な宗教国家レヒト法国の侵略に対し、優柔不断な国王や獅子身中の虫である大貴族の有形無形の妨害にあいながらも、旧態依然とした王国軍の近代化を図りつつ、敵国に対して謀略を仕掛け、危機的な状況を回避する。
しかし、宿敵である帝国には軍事と政治の天才が生まれ、更に謎の暗殺者集団“夜(ナハト)”や目的のためなら手段を選ばぬ魔導師集団“真理の探究者”など一筋縄ではいかぬ敵たちが次々と現れる。
そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。
しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。
更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。
彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
■■■
あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも掲載しております。
私は逃げます
恵葉
ファンタジー
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
異世界バーテンダー。冒険者が副業で、バーテンダーが本業ですので、お間違いなく。
Gai
ファンタジー
不慮の事故によって亡くなった酒樹 錬。享年二十二歳。
酒を呑めるようになった二十歳の頃からバーでアルバイトを始め、そのまま就職が決定していた。
しかし不慮の事故によって亡くなった錬は……不思議なことに、目が覚めると異世界と呼ばれる世界に転生していた。
誰が錬にもう一度人生を与えたのかは分からない。
だが、その誰かは錬の人生を知っていたのか、錬……改め、アストに特別な力を二つ与えた。
「いらっしゃいませ。こちらが当店のメニューになります」
その後成長したアストは朝から夕方までは冒険者として活動し、夜は屋台バーテンダーとして……巡り合うお客様たちに最高の一杯を届けるため、今日もカクテルを作る。
----------------------
この作品を読んで、カクテルに興味を持っていただけると、作者としては幸いです。
貧乏で凡人な転生令嬢ですが、王宮で成り上がってみせます!
小針ゆき子
ファンタジー
フィオレンツァは前世で日本人だった記憶を持つ伯爵令嬢。しかしこれといった知識もチートもなく、名ばかり伯爵家で貧乏な実家の行く末を案じる毎日。そんな時、国王の三人の王子のうち第一王子と第二王子の妃を決めるために選ばれた貴族令嬢が王宮に半年間の教育を受ける話を聞く。最初は自分には関係のない話だと思うが、その教育係の女性が遠縁で、しかも後継者を探していると知る。
これは高給の職を得るチャンス!フィオレンツァは領地を離れ、王宮付き教育係の後継者候補として王宮に行くことになる。
真面目で機転の利くフィオレンツァは妃候補の令嬢たちからも一目置かれる存在になり、王宮付き教師としての道を順調に歩んでいくかと思われたが…。
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
勇者パーティーを追放された転生テイマーの私が、なぜかこの国の王子様をテイムしてるんですけど!
柚子猫
ファンタジー
「君はもういらないんだ。勇者パーティーから抜けてもらうよ」
勇者パーティーを追い出された私は、故郷の村で静かに生きて行くことに決めた。
大好きだった勇者様の言葉は胸に刺さったままだけど。強く生きていかなくちゃ。
私には、前世の記憶と神様からもらった『調教師(テイマー)』の能力があるし、平気よね。
でも。
偶然テイムした、まるいドラゴンが、実はこの国の王子さまだったみたい!?
せっかく動物にかこまれてスローライフを過ごそうと思っていたのに、いきなり計画がつぶれたんですけど!
おまけに、何故か抜けたはずの勇者パーティーメンバーも、次々に遊びにくるし。
私のおだやかな異世界生活、どうなっちゃうの?!
◆転生した主人公と王子様の溺愛ストーリーです。
◆小説家になろう様、カクヨム様でも公開中です。
異世界人の父は筋力がありません。勿論、息子の俺も筋力が無く武器を持てません。武器を持てないハンターの成り上がり。
やーま
ファンタジー
モンスターと共存する世界
その一国、ガンバルム国では男は18歳になると強制的にハンターとして送り出させられる。
ハンターとなる為の試験に来たガルダと他の4人の試験者。
4人はそれぞれ得意の専用武器を使い難無く試験を突破。
しかしガルダの順番になると周囲は困惑の声を挙げる。
なぜなら彼は専用武器を持っていなかった。
彼は武器を持てない理由があった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる